8話 老婆の話
「…ユキ…ちゃん…?」
ミカヅキの言葉に、老婆は優しく頷いた。
老婆の目には涙がたまっている。
「あぁ…!そうだよそうだとも!よく…帰ってきてくれたね…」
「えぇ!?どうしたのその姿は!!」
「€%*÷…?」
老婆の後ろでは、さっきまで私たちを襲おうとしていた村人たちが困惑しているようだった。
「おばあさーん、これは一体ー?」
サチミチが老婆に聞くと
「あぁ、あなたたちにも説明してやるから…私の家においで…」
老婆は村人たちを諭し、先ほどの家に戻っていった。
「一体どうなってるんだ…」
「行きましょー!リンカ!ミカヅキ!」
「う、うむ」
私たちは、老婆の後を追って家の中に入った。
*********
老婆の家は木造だ。とても古い家で、私たちが足を踏み入れるとギシギシと音がなった。
果物を干したものが家の中には吊るされていた。
「ふっふっふ、長生きはするもんだねぇ…」
老婆はそう言った。
「本当にユキちゃんなの?」
ミカヅキが聞くと
「あぁ。私は老けちゃったけど、ツキちゃんは若返ったんじゃないかい?」
老婆は笑う。
「若返る…そんな訳が…」
「あれは、今から…うむ。60年ほど前だったか。
私はいつもの様に…そこにいる「ツキ」と話していたんじゃ」
「60年!?」
ミカヅキが驚く。
「その頃には私たちも大人になっていた。それでも私たちは、小さな頃と変わらずに仲が良かった…」
「そんなある日、私はいつもの場所でツキちゃんを待っていた」
「しかし、いつまで経ってもツキちゃんは来なかったよ…」
「それは、ミカヅキが居なくなった…と?」
サチミチが聞いた。老婆は頷いて
「あぁ、いつまで経っても来なかったよ…」
「しかしある時、一人の男が訪ねて来てな。私はこう言われたのよ」
[ツキは必ず戻ってくる。だからそれまでにこの言葉を覚えて欲しい]
「そう言って、男は本だけ渡して帰っていったのよ」
「なるほど!それが日本語ですねー!」
サチミチは納得したようだ。
「でも、あの言葉を信じて良かった…!だってまたツキちゃんに会えたもの!」
老婆は、まるで少女のように嬉しそうだった。
「ユキちゃん…」
ミカヅキは優しく老婆、ユキを撫でた。
ユキは温かい涙を流したのだった。
「あぁ…それから…」
ユキは何かを思い出したように
「男に貰った本、最後の行に解読できていない言葉があってねぇ…」
老婆はそう言って本を見せてくれた。
本は日本語で書かれていたが、最後の文だけ英語だった。
「わ、わしにも分からんよ…」
リンカは英語が大の苦手だった。
「そういうことなら!僕に任せて下さーい!」
サチミチが、ユキの方に駆け寄ると
「すごいテンションだね…」
と、ミカヅキに呟いていた。
「ん〜!どれどれ〜!?」
サチミチが本を見た瞬間に、サチミチの激しい動きが止まった。
「ん、何か書いてるか。サチミチ?」
私の問いかけに答えない。
「読めなかった?」
ミカヅキの問いに、サチミチは首を横に振った。
「違うんです…」
サチミチは冷や汗を書いていた。
「読みますよ…いいですか…?」
私たちは頷いた。
Sachimichi,Rinka,and Mikazuki.You are wrong
サチミチ、リンカ、そしてミカヅキ
君たちは間違っている
3人がこの言葉の意味を知るのは、いつになることだろうか…。