表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/32

5話 異門

「ん…んむぅ…もう朝か」


私はサコッタ平原の木に囲まれた場所で目を覚ます。


「よく寝たのぉ」


隣を見ると、小さな鴉が私の足に寄り添いながら眠っていた。


「可愛いの…」


私は鴉の頭をそっと撫でた。


「カ、カァ?」


おっと、鴉は起きてしまったようだ。


「ほっほっほ、起こしてしまったかな?」


「カァ!!」


鴉は元気よく鳴いた。


「怪我の具合は…」


私は鴉の足を見ると、火傷の腫れが収まっていた。


「大丈夫そうじゃな!よっこいしょ…」


私は腰を上げて、鴉に手を振りバイサクラへと戻るのであった。






*********






「う、うーむ…」


「カァ!」


どうも、絶賛VRMMOにはまっています。

梅野林蔵、キャラクターネーム「リンカ」です。

今はバイサクラという街に帰ってきたのですが、


「カァ!」


小さな鴉に懐かれてしまいました。

親元に戻らせた方がいいとは分かっているものの、親の居場所は分かるわけが無く。


私は、小さな鴉と共に旅をする事にしました。

いずれ親元に返すと誓って。


道を歩いていると、見知った顔を見かけた。


「やぁサチミチ」


「あ…ハーイ!リンカ!」


サチミチは、笑顔で手を振った。






*********






「へぇ〜、それでこの子を拾ったんだね」


「うむ、いつか親に返してやりたいものだが」


サチミチは小さな鴉を撫でている。


「この子の名前は?」


「ん〜、愛着が湧いてしまいそうで…決めてないのぉ」


すると、サチミチは腕を組み考え始めた。


「それなら!ブラくんなんてどうかな?」


「むぅ、な〜んか違う気がするのぉ」


「む、そうかな。いいと思ったんだけど」


そう言って、また考え込むサチミチ


「リンカは何かいいアイデア無いの?」


私は鴉を見て考えた。

言いやすくて、この子に会った名前…


「ミカヅキなんてどうかな?」


「どういう事?」


「ほら…昨日、三日月だったしこの世界にも合ってるかなと…」


「ミカヅキ…うん!美しい名前だ!」


「カァ!」


小さな鴉も、心なしか嬉しそうに鳴いている。


「よぉし…!」


私は鴉を抱え上げた。


「ミカヅキ…よろしく頼むぞ」


「カァ!」


ミカヅキが元気よく鳴いた時、異変は起こった。


私は急に体が重くなり、地面に手をついた。

ミカヅキも苦しそうに鳴いていて、サチミチが必死に手を伸ばす。


視界が揺らぎ、まるで世界が割れるような感覚に襲われる。


薄れゆく中で私が見たもの、それは…


「異界へと繋がる禍々しいオーラを纏う門だった」


私たちは、この門を後に「異門」と呼ぶ事になる。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ