0話 生きがい
やぁ!みんな!僕だよ!
・・・・・・・・・
と言っても初めて会うから知らないか〜!
僕はとあるゲームのマスコットをしてるんだ!
・・・・・・・・・
今回のお話は、なななんと!お爺さんが主人公なんだ!
これから始まるのは、孤独な主人公の生きがいを求めるものがたり。
・・・・・・・・・
さぁ!それでは見てみようか!これから始まる冒険の
・・・・・・・・・
1ページ目を!!
*********
「あぁ〜、暑いのぉ」
ミーン!ミン!ミン!
せみの声がうるさい。私は、何をするわけでも無くただ畳に寝転がっていた。
「あぁ〜、暇じゃのぉ」
ツクツクボーシ!ツクツクボーシ!
せみの声がうるさい。私は、生きがいを失っていた。
私の名は、梅野林蔵。歳は今年で80になる。
結婚をしていたのだが今は一人だ。
だから家事は自分でこなしている。そのおかげか、体はまだ元気だった。
しかし・・・
「生きがいが無い!!!」
そう、これなのだ。
私に友達はほぼいない。
定年までは仕事を毎日していたので、こう感じることは無かったのだが、定年退職をしてから20年間、楽しかったと思えることは数えられるほど少ない。
「このまま…いや!いかんいかん」
一人でいると、つい弱気になってしまう。
わしは気分転換にと、日課の散歩をすることにした。
*********
今日は、いつもと違う道を通っています。
どうも、梅野です。
散歩というのはいい。
木々が並ぶ景色を見て、心が晴れやかになっていく。
私は気分良く歩いていた。
すると、住宅街の端に「ゲーム」と書かれた店を見つけた。
「あぁ、そういえばあったな」
私が定年退職をした年にできた店だ。
もちろん1回も入ったことは無い。
せっかくなので近くまで行こうと、歩みを進めた。
店に近づいていくと、子どもたちの笑い声が聞こえた。
子どもたちは今こういう店にいるのか、と思った。
それと同時に私にはある感情が生まれた。
「めっちゃ…楽しそー」
そう、楽しそうなのだ。私もあの子どもたちの様に、思いっきり笑いたい!そう思って
ガラガラガラ…
「ゲーム」と書かれた店の扉を開けた。
*********
「いらっしゃい!」
「やぁ、どうも…」
この店の店主であろう人の大声に、少しすくんでしまった。
「今日は何のようで?」
「い、いやのぉ、あんまりにも楽しそうな声が聞こえたもんだから…」
私が答えると、店主は目をキラキラと輝かせた。
「そうか!いやぁ珍しいお客さんが来たって思ったけど、そういうことなら大歓迎だ!」
「それは…どうも」
久しぶりに会話できてとても嬉しいのだが、思うように言葉が出てこない。
私は、先程から気になっていることを聞いてみた。
「ところで、あの子たちがつけている装置は一体?」
「あぁ!あれはVRMMOのゲーム機です!」
謎の黒いヘルメットをして子どもたちは眠っていた。
「あれを使うことで、ゲームの世界にダイブできるんです!」
「ほぉ…!」
「そして…」
店主はVRMMOとは何かを説明してくれた。
私は、ゲームというのをやったことが無い。しかし、
店主の話を聞いているうちに私は、VRMMOに興味が湧いてきた。
「あれは一体、いくらなんじゃ?」
「そうですね!ざっと10万円です!」
「10万かぁ…」
予想していたより、遥かに高かった。しかし私はVRMMOをしてみたいという好奇心に勝てず、
「お金を持ってくるから、買わせてくれ!」
そう店主に頼んだ!
「毎度あり!」
店主はにこやかに笑いそう言った。
*********
ついに私の家にVRMMOが届いた。財布を取りに帰ろうとしたのだが
「重いですから、持って行きますよ!」
そう言って、ゲーム機と「ゲームソフト」という物を
担いでもらったのだ。
早速ダンボールを開封してみる…。
「ふぉおおおおおお!!」
夜中なのに、大声を上げてしまった。
そして店主に言われた通り、頭に装置をつけてみる。
・・・しかし何も起こらない。
おかしいと思っていると、ソフトの事を忘れていた。
「おぅ・・・」
ソフトを入れて改めて横になり装置をつける。
私の胸は、ワクワクでいっぱいだった。
*********
私が目を開けると、そこには透明色に光り輝く空間と小さな生き物がいた。
「いらっしゃーい!異門の世界へようこそー!!」
小さな生き物にそう言われた。何が何だかわからなかったが
「よろしくお願いします!」
小さな生き物に挨拶をしたのだった。