第二十三話 室町殿とは(3)
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『観応の擾乱』をご存知であろうか?
その難解さから日本史の授業などでは華麗にスルーされてしまうものであり、こんなもん説明していると紙面がいくらあっても足りない。
ある程度割愛させていただくが、それは足利家累代の執事であった「高氏」の「高師直」と足利尊氏の弟の「足利直義」との政治的路線の対立が、幕府内の革新派と保守派の対立という形となり、あげく拗れまくって感情的な対立へと発展したものである。(いろんな説があります)
観応の擾乱が開始される前に、足利直義は高師直のクーデターに遭い足利尊氏の屋敷に逃げ込んだ。
足利氏の執事であるはずの高師直は、なんと将軍である足利尊氏が在する『御所』であろうがお構いなしに包囲したのである。
室町幕府の将軍というものは実は初代からこんなことをされているのである。
御所を包囲された足利尊氏は政務を任せていたはずの弟の足利直義をあっさりと見捨てた。
足利直義は出家し幕政から外されることになる。
だが足利尊氏の庶長子である足利直冬の追討に足利尊氏が出陣すると、直義は京都を出奔し足利氏が擁する「北朝」の敵のはずの「南朝」と手を結んで尊氏に対して反抗を開始した。
観応の擾乱の幕開けである。
わずか3年前に自ら南朝の討伐をしていたことを都合よく忘れる直義なのである。
観応の擾乱の推移はめんどくさいのですっとばすが、足利尊氏とその嫡子である足利義詮は南朝と結んだ足利直義にフルボッコにされる。
そして都合の悪くなった尊氏はここであっさりと高師直を見捨てるのである。
哀れな高師直はさくっと直義にぶっ殺されます。
高一族が滅亡しようが治まらないのが室町幕府である。
というか治めるつもりがあるのかもはや疑うレベルで揉め始める。
婆沙羅大名の佐々木道誉さんが暗躍を開始し、足利尊氏はまたもや直義を京から追い出すのである。
そしてここで足利尊氏はあろうことか南朝と和議を結ぶというか、南朝相手にほぼ無条件降伏するのである。
尊氏は自分が推戴していたはずの北朝を、足利直義・直冬を倒すためにあっさりと見捨てるのである。
これを「正平一統」というのだが、歴史好き以外にはもはや意味がまったく分からないものである。
そして足利直義を南朝から切り離して、追い込んでぶっ殺して観応の擾乱は終結する。
だが、今度は南朝の方がアホなことをやり始める。
よせばいいのに足利尊氏を征夷大将軍から解任するのである。
足利直義をぶっ殺した足利尊氏と足利義詮にとって、南朝なんかもう必要ないのである。
「正平一統」何それ? 美味しいの? である。
もう美味しくないので南朝なんか当然捨て去ります。
都合が悪くなったので裏切ったことを『無かったこと』にして北朝をもう一度擁立するのである。
しかも北朝の『三種の神器』(元々偽物だったりするが)を南朝にあげちゃったものだから、『開き直って』天皇の即位に三種の神器は必要ないもーんと言い張る始末である。
室町幕府の将軍の初代と2代はこんなことを平気でやっているのである。
こいつら(将軍様です)がここまで何回『ちゃぶ台返し』をしたかお分かりであろうか?
(あ、回数なんてどうでもいいので数えなくてよいです)
以後も室町幕府のちゃぶ台返しは続いていく。
足利義詮は自身を支えた実質的な執事であった斯波高経(名目上は高経の息子の義将が執事)を有力守護大名の不満の高まりから「貞治の変」であっさりポイ捨てする。
3代将軍の足利義満ですら初代管領の細川頼之を「康暦の政変」で斯波義将が率いる軍勢に『花の御所』を包囲されたためポイ捨てしている。
(これは義満の自作自演とする説もある)
4代将軍足利義持は父の義満の政策をいろいろ『無かったこと』にして、明との冊封関係を否定し明との国交を断絶した。
(儲かる日明貿易を捨てるのはアホの極みではある)
6代将軍となった義持の弟の足利義教は兄義持の政策をさらに『無かったこと』にして、父の義満の政策を復活させる。
国交断絶したことは都合よく忘れて、明との冊封関係を復活し勘合(日明)貿易を再開している。政策継続とか室町幕府にはないのである。
第8代将軍の足利義政も「文正の政変」で細川勝元・山名宗全らに迫られ、重用していた側近の伊勢伊勢守貞親らをポイ捨てしている。
また義政は応仁の乱が起こった当初はしらんぷりして中立を保ったりもしている。
応仁の乱の東軍の総大将である義政の弟の足利義視などは、自分の立場が悪くなれば、東軍の総大将だったのに西軍にとんずらして、あろうことか西軍の総大将に納まってしまう。
室町幕府の『ちゃぶ台返し』の歴史はもういい加減これぐらいでいいかな?
室町幕府の将軍というものは、言ってみれば「何でもあり」なのである。
今回、大御所は確かに勇み足をしでかした。
だが、それがどうした?
そんな都合の悪いことはさっさと忘れてしまえばよいのだ。
バカボンのパパの名言ではないが、室町幕府の将軍というものは、「これでいいのだ」
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【室町殿とは(4)へ続く】
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