第八十九話 織田信長家督継承(3)
【織田信長家督継承(2)の続き】
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では、義藤さまの登場です。じっくりと足元から見て行きましょう♪
まず足元を着飾るのは、膝上の黒のニーハイソックスでございます。
残念ながらゴムがないので、同系色の紐で縛って中に折り込んで履いて貰っておりますが、見た目に違和感はございませんので問題ナッシングです。
そして義藤さまの美味しそうな脚線美を嘗め回すように上に追いかけますと、紺色のプリーツのミニスカートにたどり着きます。素材は贅沢にも無理いって輸入させたウールになります。
(博多商人から倭寇経由で中東からペルシャ絨毯っぽいものでもう少し薄いヤツを輸入して、それを茶屋明延に頼み込んで、裁断して染め直して仕立てさせました)
ニーハイソックスとミニスカートが織り成す「絶対領域」によって、義藤さまのふとももの美しさが引き立ち、よりいっそう美味しそうに輝いております。たまんねーな、おい。
さて、上半身に参りましては、贅沢に絹を使って仕立てさせた白いブラウスと、これまたウール素材で縫製させた紺のブレザーを、とっても可愛らしく着こなしております。
首元には蝶ネクタイが作れなかったので、残念ながら普通のネクタイを締める形であります。
まったく胸が強調されない、少し残念な着こなしではございますが、「まじめな委員長」感をかもし出しているので、これはこれでグーな感じに仕上がっております。
そうなのです! このたび満を持して用意した新作のコスプレ装束は、女子高生のブレザー制服スタイルになるのだ!
15歳に成られた義藤さまには、まさにピッタリのコスプレだとは思わないか?
今の義藤さまにこれ以上に萌える格好があると君は思うのか?
いや、まあセーラー服という物もすごく良いのだが、手に入る素材の関係で今回はブレザーになったのだがな。
「ど、どうであるか? 似合っているのか?」
義藤さまが恥ずかしそうに聞いてくるのだが、ちょっとマテ。
JKスタイルの義藤さまだぞ?
こんなもん回答なんぞ決まっとるわ。
「さいっこうデス! こんなにも可愛い義藤さまに出逢えるなんて、この藤孝、明日討死することになっても、もはや思い残すことはありませぬ」
この戦国時代において苦労して財をなし、室町幕府において権力をちゃくちゃくと掌握するは、まさに義藤さまにコスプレさせるためであると言い切ってもよいだろう。幕府の復興とかついで仕事だ。
「ば、馬鹿者! そなたが討死なんてしてしまっては、わしが困るではないか、それに可愛いとかあまり言うでないわ」
ぼんっ。真っ赤になる義藤さまがトニカクカワイイ。
そうだった。JKスタイルな義藤さまと制服にゃんにゃんをしないと死んでも死に切れないわな。
「義藤さま、この装束は南蛮人っぽい女子が、修練を積む学び舎で身なりを整える装束になります。今後、私と勉学をする際には是非のその装束でお願いいたしまする」
「ほう、寺子屋などで着る装束ということか……せっかくだから何か講義でもしてはくれまいか?」
「講義ですか? そうですねえ……」
――ピン!
「では、剣術の稽古などいかがですか?」
「剣術とな? だが、外にこの格好で参るわけには……」
「大丈夫であります。こたびは室内での剣術を伝授いたしましょう。その名も抜刀術と申します」
「抜刀術? それは、いったいどのようなものだ?」
「では、失礼して」
ババっ! ササッ!
無双直伝なんとか流の横雲や虎一足などの基本型を何本か演舞して義藤さまに見せる。
抜刀術とは今で言う「居合い」のことだ。
「ほほー、カッコイイものだな」
「この抜刀術というものは室内にて刺客に襲われた際に有益なものとなります。先日に伊勢派の連中が押しかけることなどありましたが、とっさの時に身を守る術を心得ておくことは必要なことでありましょう」
「うん、もっともなことだ。だが、その方はこのような技も修めているとはさすがであるな。このような術はあまり見たことがない」
そらそうだ。一般的に居合いの元祖とされるのは林崎甚助になるが、1544年頃の生まれとされるので、まだこの時代には居合いの術は体系だってないということだ。
義藤さまが知らないのも無理はないだろう。
「では、わしもやってみるので、指導をお願いするぞ――」
役得として、制服姿の義藤さまに手取り足取り、いろいろお触りしながら居合いの術を教えるのである。居合いの神様が見たら、間違いなく斬って捨てられる所業だろうが、まだ7歳くらいだから問題ないな。
「ちがいます! そこはもっとこう、ガバっと膝を立てて、こうです!」
「こ、こうか?」
ミニスカートで元気に膝をガバっとする義藤さまである。
……うーん、ナイスパンチラだ。サイコーだ。
座学の講義じゃなくて、無理やり居合いの稽古にしたのは、むろんこのパンチラを拝むためだが、何か文句があるか?
「なかなか難しいものであるな」
「少し義藤さまにその刀は長過ぎるようですね。もう少し刀身の短いものを選んだほうがよろしいでしょうか……」
体のちっこい義藤さまは、腕も短くてかわいらしいので、素早く抜刀するには短い刀にしなければならないだろう。
「無銘のようですが、これなどいかがでしょう?」
義藤さまの刀コレクションから適当なサイズの刀を選んでみる。
刀を受け取った義藤さまがパンチラしながら刀を振るう。剣術って本当に最高だな。
「よい感じじゃ」
「義藤さま、せっかくなのでその刀に銘をつけてもよろしいでしょうか?」
「ん? よいぞ、どんな名じゃ?」
「小柄でも強かったという源義経公の幼名の遮那王からとって、遮那という名はいかがでしょうか? 義藤さまにはピッタリと思いますが」
「遮那か、うむ。よい銘じゃな」
義藤さまもその名を気に入り、嬉しそうに覚えたばかりの居合いの型をパンチラしながら続けている。
絶対領域の制服姿でパンチラしながら刀を振るう美少女と言ったら、遮那しかないだろ? そうは思わないか?
◆
さて、居合いの稽古で十分にパンチラを堪能したし、仲良く稽古したことで、このところのギクシャクな感じも無事に解消できた。
あとは無事にしっぽりタイムに突入するだけだな。
制服姿で絶対領域を装備した萌え萌えのJK義藤さまにひざまくらをしてもらう。義藤さまもなにか嬉しそうである。
「やはり義藤さまのひざまくらは落ち着きます」
絶対領域のむちむちなふとももの感触で、下半身は落ち着かないけどな。
「そなたは本当に馬鹿であるな。ひざまくらなど毎日でもしてやるのじゃ。ちゃんとわしのところに毎日来るがよいのだ」
「忙しさにかまけて来れずにすいませんでした」
「ほ、ほんのちょっとだけ寂しかったんだからな」
俺の顔を両手で挟み込んで、口をとがらせながら顔を近づけて覗き込んで文句を言う義藤さまである……なんだこの可愛い生き物は。
俺はおもわず義藤さまのご尊顔を見つめてしまう……
すると義藤さまが髪をかき上げながらさらに顔を近づけて来る。
俺は目をつぶりながら、義藤さまの間近な吐息を口に感じる……
さらに近づいた義藤さまの唇が、まさに俺の唇に触れるその瞬間に――
ピシャっ!
「しっぽりしてるところに誠に誠に申し訳ありませぬ! 一大事です!」
ほんと毎度のことながらお邪魔虫が部屋に駆け込んで来やがるのだ。
「うきゃーっ」
義藤さまが突然の乱入に恥ずかしがりながら奇声を発し、往年のアメリカ超人の必殺技テキサスコンドルキックの如く膝で俺の後頭部を蹴り上げた。
「ぐぎゃーっ」
おーっと藤孝くん、ふっとばされたー!
だが、ナイスセービング!
お邪魔虫な守護神金森五郎八に受け止められた俺は、後頭部の痛みに苦しみながらも告げるのだ。
「ブルータスお前もか……なんでいつも邪魔すんねん……」
「十分に子作りする時間はあったでしょうが、ちんたらやってる御屋形が悪いっす。それより一大事です」
いつまでもゴリマッチョに抱きとめられているのも嫌なので、五郎八から離れて改めて用件を聞く。
ちなみに恥ずかしかったのだろう義藤さまは、奥の隠し部屋に逃げ去っている。
「んで、何事だよ?」
「はっ、織田弾正忠様が武衛殿をともない上洛してまいりました」
「なんだそら、なんで信長と斯波が……で、いつ来るの?」
「いえ、すでにこの勝軍山城に入城し、大広間にてお待ちであります」
「は? 先触れもなしでもう来たの?」
「いえ、先触れが弾正忠様だそうです。武衛殿はまだ織田家本隊とともに大津にあるとのことです」
「意味が分からない……つーか、家督相続の許可とか任官とかそんな話だったと思うけど、なんでわざわざ上洛して来たんだよ」
「弾正忠様曰く、手紙とかめんどうだから来ちゃった……だ、そうです」
ぷちーん。
「ぷじゃけるなぁぁぁ! あんの野郎、手順つーものがあるだろうがぁぁ! あんの馬鹿のせいで、俺は俺はぁ、JK義藤さまとのにゃんにゃんを邪魔されたのかぁぁぁ!」
「お、御屋形様?」
「もう、頭来た! どいつもこいつも邪魔ばかりしくさりやがって! たたっ斬ってくれるわぁぁぁ!」
頭に血が昇って、初号機のごとく藤孝は暴走を始めた。
義藤さまの部屋に転がっていた、「二つ銘則宗」のような気がする太刀(重要文化財です)を掴んで抜き放ち、義藤さまの部屋を飛び出して階段を駆け下り、天守閣を飛び出して行った。
「御屋形様がご乱心だ、ご乱心じゃあぁぁ! 誰か、御屋形様を止めてくれー」
叫びながら五郎八も藤孝を追いかけ、無人となった部屋で着替えながら義藤さまが一人呟くのだ。
「ばか……」
◆
【織田信長家督継承(4)へ続く】
やばい、話が締まらない。
なぜかコスプレ回は筆が暴走して長くなる。
4分割になってしまい申し訳ないです。




