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第七十一話 はいてない(2)

【はいてない(1)から続いてしまいました】

 ◆


 義藤さまの衝撃発言にビックリして飛び起きてしまった。マジマジと義藤さまが「紐パン」を履いているであろうとある箇所を凝視してしまうのだが、何だかすごくエロく感じるから不思議なり。


「あ、あまりジロジロ見るでない。母御前(ははごぜ)佐子(さこ)(の(つぼね))に打掛(うちかけ)やらを買おうと思ってな、呉服屋の茶屋明延(ちゃやあきのぶ)が来ていると聞いたので先ほど呼んだのじゃ。茶屋は紐パンとやらはそなたに頼まれて作ったと申しておったぞ」


「ちゃ、茶屋がそう申したのでありますか?」


 おのれ茶屋明延、裏切りおったなぁ。


「茶屋を怒るでない。茶屋にはわしが無理やり白状させたのだ」


「だからどうやって白状させるのでありますか?」


「それは……内緒じゃ。念のため言っておくが、茶屋は紐パンをわしに売りつけてはおらぬぞ。そなたへの予備の品であった物をわしが無理やり献上させただけじゃ」


「ぬぐぐ」


「そなた茶屋明延と何やらいろいろな物を作っているようじゃな。ほかにも『えぷろん』やら『三角巾(さんかくきん)』やら『包帯』というのも貰ったぞ。今度こそ最高傑作という体操着とやらはまだ完成していないと残念がっていたがな」


 三角巾や包帯は怪我の治療用だけどね。この時代の怪我は金瘡医(きんそうい)という外科専門の医者が治療を行っていたりするのだが、駆血(くけつ)止血(しけつ)の概念すらない怪しい治療法が多かったりするのでマキュアン友の会で研究しようと作らせたものだ。


 エプロンはむろん料理における衛生の確立のために作らせたものだ。決して義藤さまに「裸エプロン」をやってもらおうと作ったわけでは……ないぞ。

 しかし体操着の件までバレそうではないか、茶屋の野郎はどこまで白状させられたのだ?



 ――注意:ここからアホな力説がはじまります――



 説明しよう♪ 


 実はこの時代というか戦後に洋服が広まり、女性用の下着が普及するまで、日本の女性には下着を着用するという習慣がほとんどなかったりした。


 江戸時代には男のような(ふんどし)や布を巻いただけの腰巻などを着用することもあったようだが、基本的には下着をつけるという概念は希薄なものであった。


 そう、この時代の女子は「はいてない」のである。

 義藤さまも実は、今まで「はいてない」のであった。


 男どもが多くの貢物(みつぎもの)(たずさえ)えご機嫌伺いのために日参し、恥ずかしきセリフを吐きながら幾多の困難を乗り越え、ついに魅惑の「秘境(ゾーン)」へ到達できたとしてもだ……この時代ではそこは「モロだし」なのだ。


 諸君、そんなことが許せるか? いいや許せるはずがないのだ。

 そこにはあるべきものがなければならないはずなのだ。

 そう……純白に輝く「パンティー」がなぁ!


 そこで俺は純白に輝くパンティーを作ろうとしたわけだ。だがそこで愕然とすることになるのだ。

 体操服とりわけブルマを作る時にもその問題に直面したのだが、この時代にはまだ「ゴム」がないのだ。(ゴムひもです)


 ブルマはなんとか伸縮性のある綿布(めんぷ)を厳選することで、それっぽいものが作れたのだが、さすがに純白のパンティーを作るのは無理があった。伸縮性があって純白の綿布なぞ簡単に手に入るかボケェェェェ!


 では、どうすれば良いか。ようするにゴムを使わなければよいのだ。だが、ゴムを使わないで作れる下着なぞがあるのか? 

 俺は戦のことなどそっちのけで必至に考え抜いた。


 そして生み出されたのが――「紐パン」だ。


 明治の世になり西洋から下着が輸入されるようになっても、戦後までパンティーが普及しなかったことには実は理由がある。

 パンティーは用を足すのに不便であったのだ。


 洋式便器が日常となった現代の人には分からないだろう。あの()()()の恐怖に怯えながら、またがり踏ん張らなければならなかった和式便器の苦労などは……


 そう、和式便器では「またがる」という行為が必要であり、下着を()()()()()用を足すというスタイルを行うには困難がともなうのだ。

 ()()を駆使できぬ者は下着を汚すことも多かったという。


 これが我が国において女性用下着、いわゆる「パンティー」が普及しなかった要因とされるのだ。

(いろんな説がありますというか、とても()()()()()()()()を力説しておりますので暖かいお気持ちで聞き流して下さい)


 だが、それが「紐パン」であればどうであろうか?

 脇の紐をひっぱるという実に簡単な行為で()()()()()()!(脱衣)することが出来るのだ。


 そう紐パンこそが我が国のトイレ事情にマッチングするフェイバレットなパンティーであると言っても過言ではないのだ!


 この紐パンを日の本の津々浦々(つつうらうら)の女性に届けることができれば、日本の下着の歴史を塗り替えることができるだろう。

 紐パンは売れる。たぶん、もしかしたら、きっと売れるはずだ。これは大きな(あきな)いの話なのだ。


 義藤さまに「紐パン」を履かせたいとか。

 義藤さまの「紐パン」姿を拝んでみたいとか。

 義藤さまの「紐パン」をこの手で脱がせてみたいとか。


 決して、そんな邪な気持ちで作ったわけではないのだ。紐パンは(あきな)いのため、創業まもない高島屋の目玉商品とするために心血注いだ魂の傑作なのだよ!!!

 この紐パンは日の本津々浦々の女子の心を奪うこと間違いなしであろう。日の本すべての女性に紐パンをお届けすることが、俺が戦国時代に転生した使命であったのだ!


 ――アホな力説おわり、お疲れ様でした――



「高島の平定のために頑張ったそなたに何か褒美となることはできないかと、わしなりに考えたのじゃ。わしのために作らせたであろう紐パンを履くことはそなたへの褒美にはなるのか?」


 さ、誘っていやがる。あ、明らかに誘ってらっしゃっていやがる。

 なんだ? これは孔明(こうめい)の罠か?


「もしかしてそなたはわしがこの紐パンとやらを履いているところを見たいのではないかと思ったのだが……そうではないのか?」


「それがしに褒美をとお考えであれば、是非ともお願いしたい仕儀が」


「うむ。それは何であろうのう」


「よ、義藤さまの、ひ、紐パン姿を所望したく……」


「そなたは……やはり高価な太刀や所領よりも、わしの紐パンがよいと申すのであるか?」


「は、はい……そのとおりであります」


「そんなにわしの紐パンが見たいのであるか? そなたが土下座をしてわしの下僕になるのでお願いしますと、必死に頼むのであれば……考えなくもないぞ」


 頭の中の種か何かを割った俺は人間の限界を超える速度で光速土下座を決め、頭を畳に擦り付けて願い出るのだ。


「私は義藤さまの忠実なる下僕でございます。哀れな下僕に何卒、義藤さまのパンチラのお恵みを(たまわ)りとうございまする」


 この俺をみくびるな!

 義藤さまのパンチラを拝むためなら尊厳などかなぐり捨てる男よ!

 土下座なんて屁でもないわ!


「そ、そこまでするのかお主は。じょ、冗談じゃ。そ、そんな破廉恥なことをするわけが……ところでパンチラってなんじゃ?」


 俺のただならぬ雰囲気に立ち上がって後ずさりしてしまった義藤さまの足元に、パサリと落ちるものがあった。

 それは紛れも無い……紐パンであった。


 慣れぬ下着の着用であり脇の紐が緩んでしまったのであろう。

 義藤さまが今の今まで着用していた「ほかほか紐パン」が俺の眼前に現れたのである。


 そう義藤さまは今現在、「はいてない」のだ。

 さっきまではいていたのに、今は「はいてない」のだ。


 征夷大将軍であろうが年下の可愛い女の子であろうが、もはやそんなの関係ねえ!


「フオオオオオオオオッ!!」


 パンチラをどうしても拝みたい俺は奇声を発して、義藤さまが落とした紐パンをむしり取った。


「よ、よるでない。こ、このケダモノー!」――義藤さまは身の危険を感じた。


「この紐パンを今すぐ()()()()()()()! 少しだけでよいのです。何卒、チラッと、私めに()()()()をー!」


 だが、安心してください……()()()()()

 義藤さまが「はいてない」のは認めることができないのだ。

 モロダシではダメなのだ。

「はいている」パンチラこそが究極でありパンチラこそが至高なのだよ!


「け、ケダモノのような目でわしを見るでないわー」


 パンチラのためならケダモノにでもなってくれよう。というか、すでに心はケダモノと化していた。義藤さまは紐パンを()()()()()()()()()()()()のだ。

 義藤さまに対し奉り、紐パンを持ってにじり寄る所であったのだが、そこに余計な侵入者がやって来てしまう。


()()()()()()()()申し訳ありませぬ。勝軍山(しょうぐんやま)城より急使が参りました。ご報告申し上げてよろしいでしょうか」


 お邪魔虫は米田(こめだ)源三郎(げんざぶろう)求政(もとまさ)の兄貴であった。


「とってもお楽しみ中だ! 主命である、邪魔するな源三郎!」


「べ、別にお楽しみ中でもなんでもないわ。それより源三郎よ、良い所へ参った。このケダモノを手打ちにするための()()()()()()を早う持って参るのじゃ!」


 だが、源三郎の告げた言葉は「お楽しみ中」なぞやっている場合ではないものであった。


「恐れながら申し上げます。勝軍山城の大御所様がご危篤であり、明日をも知れぬ容体とのことであります――」

タイトルから察してくれたかもしれませんが

たまに思いっきりアホな話を書きたくなるのです

反省はしているが、どうせまたやる


この話で貴重な女性読者を失ったかもしれないが

喜んでくれる読者もいると信じよう


こんな話でも良いという貴重な読者様は

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魂のハゲましを……

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次話は180度違うマジメな話を書いているから

許してちょんまげ♪

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[良い点] 褌あるから大の後紐で後処理してたのは普通だったとか 女性のあの日が出血で縁起悪く出陣式等で近寄らせなかったとか出てくるよねww
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