おまけ 高島七頭の解説（１）
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おまけの解説「高島七頭」
謎の作家細川幽童著「どうでもよい戦国の知識」より
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【佐々木氏】
京の隣国であり大国の近江には「佐々木氏」が繁栄している。その中でも佐々木氏の嫡流であり近江の守護でもある「佐々木六角家」の力は北斗兄弟の「ラオウ」みたいに強かった。
室町幕府は六角家がラオウの如く世紀末覇王にならないように同じ佐々木一族の「京極家」や「大原家」と「西佐々木」を近江守護である六角家の統制下に置かずに牽制させることで六角家の強大化を阻もうと目論んだ。
六角家は近江守護を基本的には世襲したが、近江一国を守護領国化することは出来なかったので室町幕府の目論みは成功したと言えるだろう。
バサラ大名で有名な佐々木道誉（京極高氏）の京極家は出雲・隠岐・飛騨の守護を世襲し、四職の一家にも数えられ侍所頭人や相伴衆という高い家格を誇り、近江国内では伊香郡・浅井郡・坂田郡を所領とし江北の雄として江南の六角家と勢力を二分している。
京極家は名門として江戸時代にも存続したので「ケンシロウ」みたいなものかもしれない。
大原家は近江の坂田郡大原庄を領し奉公衆として室町幕府の直属となり、やはり六角家の支配を受けていなかった。だが六角定頼の弟の大原高保が養子に入るなどして、戦国時代には六角家に被官化されてしまう。
ちなみに細川藤孝が養子に入った淡路細川家はこの大原家を出自としている。
大原家は血筋としては佐々木家の長男の血筋なのだが、最弱でありほぼ史実では無視される存在なので「ジャギ」扱いでいいと思います。
そして最後の「西佐々木」であるのだが、これが「高島七頭」と呼ばれる奴らの中心になる。高島七頭も史実ではあまり活躍しない存在であるが、朽木家とか大名として家名を残した家もあるにはあるので「トキ」なのかもしれない。
高島七頭はその名のとおり高島郡に勢力を持っている。「高島七頭」や「西佐々木七人」、「西佐々木同名中」とひと括りにされることが多いのだが、西佐々木の嫡流である「佐々木越中家」の被官というわけではなく、それぞれが幕府の外様衆の地位を持っている。
高島七頭は室町幕府に直轄され、六角家が幕府と対立すると六角家を攻撃することもあった。
【高島家（佐々木越中家）】
高島一族の嫡流である高島家は「高島越中」として一部で有名かもしれない。だが「高島」を名字としては名乗っていなかったりする。
西佐々木一族の惣領として高い家格を誇り、佐々木宗家の六角家からも「佐々木」の名乗りを許されており、正確には「佐々木越中家」や「越中家」を家号としている。（本来高島姓は佐々木越中家の分家が名乗っていた）
「佐々木越中家」が「高島家」と称するようになったのは六角家を扱った偽書とされる「江源武鑑」が出典だとも思われる。
「江源」とは近江源氏の略で、「江源武鑑」は六角家の歴史を日記形式に綴った史書であるのだが、基本的には偽書とされる。
まったくもって有名ではないのだが、この「佐々木越中（高島）家」と細川藤孝は実は縁が深かったりする。
細川藤孝の実の姉は「佐々木越中室」とされ、高島越中家の恐らくは年代的に高島高賢に嫁いでいると思われる。
また細川藤孝とは兄妹のように仲良く育ったという「清原枝賢の娘」も「佐々木越中室」とされ高島家に嫁いでいるのだ。
佐々木越中家は戦国期に滅び去ってしまったのでとにかく史料がない。マジでない。どのように滅亡したのかまったく分からないのだ。
六角家の衰退により高島郡には浅井家が勢力を伸ばし、浅井家が織田信長と対立すると、高島郡は浅井・朝倉ｖｓ織田家の争いの場となってしまう。
最終的には１５７３年に織田信長が高島郡に侵攻し、朽木家以外の高島七頭は領主としては残ることが出来なかった。
高島氏の子孫を称する人物としては幕末の兵学者・高島流砲術の「高島秋帆」がいる。高島秋帆は長崎の町年寄を代々努めてきた高島四郎兵衛家の出身で有るが、初代高島四郎兵衛は佐々木越中家の一族であったとされる。
高島四郎兵衛家の初代とされる「高島茂春」は近江高島の領主であった「高島河内守頼春」の庶子高島八郎兵衛氏春の子とされる。
高島氏春は子の高島四郎兵衛茂春（良悦）とともに天正元年（１５７３年）の織田信長による高島侵攻で一族が離散したため肥前に逃れ、翌年長崎に移住し長崎町年寄を世襲するようになった。
だが高島河内守頼春が誰なのかが分からない。恐らくは佐々木越中家の庶流と思われるのだが、系譜上は全く持って不明である。
ほかには同じ高島七頭である平井家の平井秀名の孫である平井宗綱の母が「佐々木越中守源高賢女」とされ、清原枝賢の孫の舟橋秀賢の室も「佐々木越中女」とされるので女系として血筋は残ったようだ。
ただし、清原・舟橋の系図では清原枝賢の娘は「六角貞禎室」とされたり、舟橋秀賢の室を「佐々木義賢女」としたり混乱が見られる。
（個人的には後年に系図を作る際に「佐々木越中」の意味が分からなくなったのではないかと考えている）
絶えてしまったため佐々木越中家の系図の末期は不明だったりするが、不確定な私案だが系図を作ってみたので参考にしてもらえると嬉しい。
あと、とっても胡散臭いのだが、のちの豊臣秀吉である木下藤吉郎が高島氏の出身だという説があったりしますが……まあ無いでしょう。
【平井家（佐々木能登家）】
佐々木越中守泰氏の三男である平井左衛門尉師綱を祖とする家系になり、高島七頭としては嫡流の佐々木越中家と最も血筋が近い家になる。
能登守を代々世襲したので佐々木能登家や能登殿と呼ばれることもある。（平井家の分家を能登家と称する説も有る）
戦国期には「平井河内守頼氏」の名が見える。平井頼氏は六角定頼の要請により小谷城攻めや太尾山城攻めなどに従軍している。
その後は浅井長政に敗れて従属したものと思われるが動向はやっぱりよく分からない。居城の舟木城は織田信長の高島郡侵攻により廃城となったもようである。
高島七頭の領主としては滅んでしまったようだが、平井家の家名を残すことは出来た。
平井頼氏の子とされる「平井秀名」が足利義昭を矢島館や本国寺の戦いで助け、足利義昭が織田信長と対立すると信長に属し、ついで豊臣秀吉にも仕えるなどしている。
平井秀名は秀吉没後の大坂の陣の前には大坂城を退去して隠棲するなど、豊臣家と運命を共にすることもなく、戦国の世を巧く渡り歩いた。
また平井秀名は千利休に茶道を学んだ風流人でもあり、隠棲後に何故か蕎麦屋を開いて、そば粉を使った和菓子を創作したりしている。
既に閉店してしまっているが、京都で「如心松葉」を売っていた老舗の和菓子屋「井筒屋重久」は平井秀名を初代としていたりする。
平井秀名の子の「平井昌綱」は讃岐生駒氏（藩祖生駒親正、讃岐高松藩１７万３０００石）に仕え、朝鮮出兵や関ヶ原の戦いで戦功を上げたという。
前述したがこの「平井昌綱」の室は「佐々木越中守源高賢女」になる。
ちなみに守護六角家に仕え六宿老と呼ばれた平井定武は佐々木能登平井家とは関係がなく、高島七頭の山崎家と同じく佐々木愛智流平井家になるので注意が必要だ。（佐々木経方－佐々木行定－愛智家行－平井家次）
ほかに平井家の子孫としては「下坂家」がある。平井家初代の平井師綱の五男が河内源氏で北面の武士であった下坂氏の下坂重茂の養子となり「下坂重秀」となっている。
この下坂家は京極家の根本被官であり、京極家の戦国期の動静を知ることができる「江北記」を残した。浅井家が台頭してくると浅井家の婿になったりして（下坂与一）、京極家から浅井家の被官になっている。
戦国時代には「下坂四郎三郎正治」と「下坂左馬助」父子の名が見られ、浅井家の滅亡後は帰農したようだ。
江戸時代には彦根藩の郷士として存続し、子孫は現代に至っている。
戦国時代の館平城の遺構をそのまま残す「下坂氏館跡」（母屋などは江戸時代）が２０２０年の８月に一般公開されているので滋賀県に行けるなら是非見学に行ってみよう。
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【参考】西佐々木・高島七頭系図
画像をクリックして、飛んだ先で「画像最大化」を押してさらに拡大すればなんとか見えると思います。（手間かけてすいません）
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【おまけ 高島七頭の解説（２）に続く】
ラブコメ展開をやったあとに懲りずにガチ考察をぶち込んでいく
高島郡編がそろそろ終わるので高島七頭の解説をしたかったのです
ラブコメが少なくタイトル詐欺っぽいのでタイトルを変更しました
でもラブコメは作者がやりたいので問答無用で入れていくもん
