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オタク姫 ~100年の恋~  作者: 菱沼あゆ
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なんというビフォアーアフター

 


 お待たせしましたっ、とドアを開けたあと、朝霞が佐野村ともめていると、部屋の中を見た十文字が呟く。


「これは、泥棒の侵入できない部屋か?」


 えっ!?

と朝霞は振り向いた。


 見れば、いつの間にやら、ローボードの上に、ゲームと漫画が積み上げられていて、窓を覆っている。


「佐野村ー!

 なんで棚の上に積み重ねたのーっ」


「だって、押し入れに入りきらなかったから。

 片付けろって言ったじゃないか」


 いや……余計散らかっている気が……。


 こいつの部屋はおそらくこんな感じなんだな、と朝霞は思った。


 最初は手伝ってくれたお礼に明日なにかおごってあげようか、なんて思っていたのに。


 佐野村は、来たときよりも美しく、ではなく。


 来たときよりも危険な感じに部屋を仕上げてくれている。


 なんというビフォアーアフター。


「わかった。

 悪かったよ」

と言いながら、佐野村は片付けようとしてくれたので、


 ちょっと強く言いすぎたかな。


 手伝ってくれたのに、申し訳なかった、と思った朝霞が、


「いいよ。

 置いとい……」


 ……て、と言おうとしたとき、枕許のとは別の乙女ゲームのパッケージをつかんだ佐野村が叫び出した。


「お前、こんな男いるわけねーよっ!


 なんで、一個の学校に十人以上もすごいイケメンがいるんだよ」


 ひー、ゲームだからっ。

 それ、ゲームだからっ。


 夢の世界くらい楽しくすごさせてっ、と思いながら、朝霞は十文字をチラと見た。


 だが、十文字は淡々と、


「隠すな。

 知っている。


 それ、俺がお前に売ったヤツだから」

と言ってきた。


 ……そうでしたね。


 っていうか、


 先輩、なんか口調が悪徳ブローカーみたいですよ……と思いながら、朝霞はもう片付けることを諦めた。





 夢の中で、王子が山の洞穴で穴を掘っていた。

 宝石を探して売るらしい。


 相変わらず、女王様と折り合いが悪いので、宝石で一儲けして、国を出ようとしているようだ。


「手伝います」

と言って、朝霞は一緒に穴を掘り始めた。


 すると、王子が言う。

「宝石が出たら、ひとつお前にくれてやろう。

 なにかお前のように明るくて――」


 王子っ。


「騒がしい石があったら」


「……どんな石ですか」

と呟いたところで目が覚めた。


 昨日の悪徳ブローカー発言のせいかな、と思いながら、学校に行く。





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