第9話 説明・・・出来るのかなぁ・・・
これって、どうしたらいいんだろう?
トオルを見る。
トオルは不思議そうな顔をしている。
「なぁ。聞いてもいいか?」
怪訝そうな顔のまま聞いてくるトオルにうなづく。
「その・・・よくわからないんだけど。
・・・異世界?
異世界って言ったよな?
それって何?
ヨウイチもわかってない様子だし、説明してもらえるか?」
だよねー。
説明。出来るのかなぁ・・・。汗
「トオルって、ラノベとか読む?」
「ラノベ? なんだ? 本?」
「ライトノベルに分類される小説とか・・・。」
「小説か。いや。読まないな。」
「だよね。
じゃあさ。映画とかドラマとかアニメとかで、別世界に行っちゃった。みたいな物語は見た事ある?」
首をかしげて考えたトオルは、
「別世界?とは違うだろうけど、タイムスリップとかなら・・・。それとは違うか?」
「いや、まぁ。似たようなものだね。
つまりは、何かの拍子に自分の世界とは違う世界に迷い込む事があるっていう。
ファンタジーが起こったんじゃないかと思うんだ。
それ以外のすっきりする答えが見つからなくて。」
そう言うと、トオルが目をまるくする。
「真面目な話か?
じゃぁ、ヨウイチはどこから来たんだ?」
え?今まで横で聞いてたならわかると思うんだけど・・・。
「僕がプレイしているゲームの中から。」
それ以外の可能性は、ヨウイチが運営スタッフでドッキリイベントをしている。とか。
悪い想像だと、何かが目的の詐欺。”何か”が何なのかはわからないけど。
お金そんなに持ってないし・・・。
「へぇ~・・・。」
トオルが一言だけ言って、焦点の合っていない目をしている。
そうだよね。そうなるよね。僕も同じ気分だよ。さっき頭が現実逃避したし。
「え・・・と。トオルとケーボーの話の内容はよくわからないけど。
俺をコールで呼んだのがケーボーじゃないのは確かなんだよな?」
腕組をして考え込んでいる顔のままヨウイチが聞いてきた。
「うん。僕じゃない。」
「そうか。」
そう言って考え込んだヨウイチとトオルと僕。
しばらくして、顔を上げたヨウイチが、
「んじゃまぁ。呼んだのがケーボーじゃないなら、俺行くわ。」
片手を軽く上げて席を立とうとするヨウイチをぼーっと見送りかけて、
「え?何処に行くの?」
と聞く。
「最初に呼ばれた地点を中心に適当に動いてコール主を探すよ。飲み物代はケーボーのおごりでいいんだよな?」
「え?あ、もちろん!僕が勝手に頼んだんだし。」
慌てて答える。
「ゴチ。じゃ!またゲインダンジョンで」
立ち上がったヨウイチを引き止めていいのかわからず動けない僕に代わってトオルが声をかけた。
「ヨウイチ」
「ん?」
「ちょっといいかな。」
と言ってイスに座るように手で差し示す。
ヨウイチが促されてもう一度腰掛ける。
「事情が今ひとつ飲み込めないが・・・。
今から当てもなく探して、見つからなかった時はどうするつもりだ?」
少し眉間にしわを寄せてヨウイチに聞くトオルに
「どうする?見つかるまで探すしかないんだけどね。・・・条件クリアしないと帰れないだろうし。」
ヨウイチは不安そうな顔をしながらもしっかりとした口調で答える。
「すぐに見つからなかったら、今夜泊まる所はどうするつもりだ?
異世界?的な物だとしたら、今使えるお金は持ってないんじゃないか?」
そうだよ。ラノベでも最初の資金繰りに困るってくだりはよくある。
ヨウイチも日常の延長でココに居るならお金持ってないよね。
トオルってラノベ読んでる訳でもないのにこの状況で判断が出来て凄いなぁ。
と感心しながらトオルとヨウイチのやりとりをボーッと見ている。
「泊まる所は無いけど、野宿でも大丈夫そうな気温だし問題無い。
お金は、確かに無い。
持って来てないし。
持ってたとして、使えなさそうだ。
よかったら、参考までに使えるお金を見せてもらってもいいかな。」
そう言うヨウイチにトオルが財布を出してお金を取り出し、
テーブルに並べる。
「小さい順に。
硬貨で、一円、五円、十円、五十円、百円、五百円。
紙幣で、千円、五千円、一万円。
あと二千円札もあるが、最近使っている人はほとんど居ない。
そうだな・・・。
何にでもピンキリあるが、店で食事をするなら一食千円前後かかる。
安いホテルで一泊五千円前後。
一日8時間働いた場合の賃金は、おおよそ六千円から。
って所か。」
トオルが一呼吸入れたタイミングで、ヨウイチが
「すごく参考になったよ。ありがとう。」
とお礼を言った。
トオルは続けて
「ただ、このまま飲まず食わずで居るわけにいかないだろうし、
見つからなければ野宿すると言うのもどうにも・・・。
そこで、だ。」
と話を進める。
決意のようなものが見える
「今現在使えるお金を持っていなくて、おおよその物価もわかっていないヨウイチを、”はい、そうですか” と見送るわけにはいかない。」
ヨウイチがジッとトオルを見つめる。
「その ”コール主” を探さないといけないのだろうけど、すぐに見つからなかった時の次善の策も用意しておかないか?」
そう言うトオルに間髪入れずに
「トオルが考える次善の策は?」
とヨウイチが聞くと、トオルがちらりと僕を見る。
「そうだな・・・。
まず1つ目は、一緒に探す。
見つかればラッキー。
見つからない時は、ある程度で切り上げて3択。
ヨウイチをホテルに泊めて、明日また合流する。
3人でホテルに泊まる。
3人でケーボーの家に泊まる。」
僕の家が候補に出てきて、驚いてトオルを見る。
気付いたトオルが掌をこちらに向ける。
発言は少し待って。という意味だろう。
「2つ目は、ヨウイチに当座必要なお金を渡してここで別れる。
その場合、お金は返さなくていい。
ただ、無事見つかっただろうか?大丈夫だろうか?と心配な気持ちが残るから、あまりこちらは選びたくない。
ヨウイチが、俺達と一緒に行動したくない場合の選択肢だな。
とにかく。
この時間から当てもなく。というのがどうにも気持ち悪い。」
そう言ってトオルは顔をしかめる。
「”一緒に行動したくない”なんて事はないさ。
ココはいつものダンジョンと様子が違う。
知りあいが全くいない状況になるのは正直怖い。
それに、ココから家まで陸続きで頑張れば帰れるって事もなさそうだ。
なんとしてもコール主を探し出してクリアしないと・・・。
トオルの提案はありがたい。
1つ目の提案で行動したい。
ケーボーはどう思ってる?」
少しボーッとしながら二人の会話を聞いていた僕は
「え?!どう?って・・・」
急に振られてワタワタする。
トオルを見ると、トオルも返事待ちの顔で見つめていた。
「い・・・いいと思う。」
勢いでそう答えた。
ーーーヨウイチーーー
戸惑った顔のケーボーが助けを求めるような顔をしてトオルを見る。
トオルは物問いたげな顔をしてケーボーを見て
「なぁ。聞いてもいいか?
その・・・よくわからないんだけど。
・・・異世界?
異世界って言ったよな?
それって何?
ヨウイチもわかってない様子だし、説明してもらえるか?」
とケーボーに聞く。
「トオルって、ラノベとか読む?」
「ラノベ? なんだ? 本?」
「ライトノベルに分類される小説とか・・・。」
「小説か。いや。読まないな。」
「だよね。
じゃあさ。映画とかドラマとかアニメとかで、別世界に行っちゃった。みたいな物語は見た事ある?」
「別世界?とは違うだろうけど、タイムスリップとかなら・・・。それとは違うか?」
「いや、まぁ。似たようなものだね。
つまりは、何かの拍子に自分の世界とは違う世界に迷い込む事があるっていう。
ファンタジーが起こったんじゃないかと思うんだ。
それ以外のすっきりする答えが見つからなくて。」
トオルが目をまるくして
「真面目な話か?
じゃぁ、ヨウイチはどこから来たんだ?」
「僕がプレイしているゲームの中から。」
「へぇ~・・・。」
トオルが考え込んだ。
じっと考えながら二人のやり取りを聞いていたが、さっぱり理解出来ない。
「え・・・と。トオルとケーボーの話の内容はよくわからないけど。
俺をコールで呼んだのがケーボーじゃないのは確かなんだよな?」
確認したいのはまずこの点だ。
「うん。僕じゃない。」
「そうか。」
ケーボーがコールしたんじゃないとしたら、他にコール主が居るはずだ。
今現在マップ内に他の知り合いの表示は見あたらない。
少しマップを動かせば出てくる可能性は有るか・・・。
と言う事は、ココでじっとしていても始まらないな。
「んじゃまぁ。呼んだのがケーボーじゃないなら、俺行くわ。」
片手を軽く上げて席を立とうとしたらケーボーに
「え?何処に行くの?」
と聞かれた。
「最初に呼ばれた地点を中心に適当に動いてコール主を探すよ。飲み物代はケーボーのおごりでいいんだよな?」
「え?あ、もちろん!僕が勝手に頼んだんだし。」
「ゴチ。じゃ!またゲインダンジョンで」
立ち上がり、トオルにも、じゃ!と挨拶をしようとしたタイミングで
「ヨウイチ」
と話しかけられた。
「ん?」
「ちょっといいかな。」
と言うとイスを手で差し示す。
促されてもう一度腰掛ける。
「事情が今ひとつ飲み込めないが・・・。
今から当てもなく探して、見つからなかった時はどうするつもりだ?」
そう聞かれても、正直俺自身もわからない。
「どうする?見つかるまで探すしかないんだけどね。・・・条件クリアしないと帰れないだろうし。」
「すぐに見つからなかったら、今夜泊まる所はどうするつもりだ?
異世界?的な物だとしたら、今使えるお金は持ってないんじゃないか?」
「泊まる所は無いけど、野宿でも大丈夫そうな気温だし問題無い。
お金は、確かに無い。
持って来てないし。
持ってたとして、使えなさそうだ。
よかったら、参考までに使えるお金を見せてもらってもいいかな。」
そう言うとトオルが財布を出してお金を取り出した。
テーブルに並べると
「小さい順に。
硬貨で、一円、五円、十円、五十円、百円、五百円。
紙幣で、千円、五千円、一万円。
あと二千円札もあるが、最近使っている人はほとんど居ない。」
お金の単位は”エン”と言うのか・・・。
「そうだな・・・。
何にでもピンキリあるが、店で食事をするなら一食千円前後かかる。」
確か、ケーボーが食べていた食事が1200と書いてあったから、1200エンで、少し高めの食事と言う事か。
「安いホテルで一泊五千円前後。
一日8時間働いた場合の賃金は、おおよそ六千円から。
って所か。」
と説明してくれる。
「すごく参考になったよ。ありがとう。」
一泊で食事5回分か・・・。
トオルは続けて
「ただ、このまま飲まず食わずで居るわけにいかないだろうし」
いや、あの食事を食べるくらいなら帰るまで食べなくてもいいんだけどな。
明日以降も戻れないとなるとキビシいけど・・・。
「見つからなければ野宿すると言うのもどうにも・・・。
そこで、だ。
今現在使えるお金を持っていなくて、おおよその物価もわかっていないヨウイチを、”はい、そうですか” と見送るわけにはいかない。」
トオルの話がドコに着地するのか。トオルの次の言葉をジッと見つめて待つ。
「その ”コール主” を探さないといけないのだろうけど、すぐに見つからなかった時の次善の策も用意しておかないか?」
次善の策?
「トオルが考える次善の策は?」
そう聞くと、トオルがちらりとケーボーを見る。
トオルがケーボーに視線を送るのは、ケーボーを気遣ってって感じなのかな・・・?さっきは何か企みがあるのかと警戒したけれど、トオルやケーボーにそう言った気配は無さそうだ。
「そうだな・・・。
まず1つ目は、一緒に探す。
見つかればラッキー。
見つからない時は、ある程度で切り上げて3択。
ヨウイチをホテルに泊めて、明日また合流する。
3人でホテルに泊まる。
3人でケーボーの家に泊まる。」
そう言ったトオルを、弾かれたように反応して見るケーボー。
さっきの視線は、これをケーボーに許可なく提案するからだったのかな。
「2つ目は、ヨウイチに当座必要なお金を渡してここで別れる。
その場合、お金は返さなくていい。
ただ、無事見つかっただろうか?大丈夫だろうか?と心配な気持ちが残るから、あまりこちらは選びたくない。
ヨウイチが、俺達と一緒に行動したくない場合の選択肢だな。
とにかく。
この時間から当てもなく。というのがどうにも気持ち悪い。」
気持ち悪い。か・・・。
たぶんとても良い人なんだろうな。さっき会ったばかりで知り合いでもない俺を心配して気持ち悪くなってしまうなんて。
「”一緒に行動したくない”なんて事はないさ。
ココはいつものダンジョンと様子が違う。
知りあいが全くいない状況になるのは正直怖い。
それに、ココから家まで陸続きで頑張れば帰れるって事もなさそうだ。
なんとしてもコール主を探し出してクリアしないと・・・。
トオルの提案はありがたい。
1つ目の提案で行動したい。
ケーボーはどう思ってる?」
ボーッとしたままのケーボーに意見を求める。
「え?!どう?って・・・」
なんだろう、この違和感・・・。いつものケーボーはもっと頼りになる人物だったんだけど・・・。
「い・・・いいと思う。」
ちゃんと考えてるのか疑問に思うような返事を返してきた。
二人が良いなら良いと思う。って感じの判断っぽいな。
ーーートオルーーー
次の言葉を考えているような同僚に質問する。
「なぁ。聞いてもいいか?
その・・・よくわからないんだけど。
・・・異世界?
異世界って言ったよな?
それって何?
ヨウイチもわかってない様子だし、説明してもらえるか?」
一番の疑問だ。
「トオルって、ラノベとか読む?」
「ラノベ? なんだ? 本?」
「ライトノベルに分類される小説とか・・・。」
「小説か。いや。読まないな。」
「だよね。
じゃあさ。映画とかドラマとかアニメとかで、別世界に行っちゃった。みたいな物語は見た事ある?」
別世界・・・昔映画で過去にタイムスリップして云々って内容のを見た事あるけど、同じなのか?
「別世界?とは違うだろうけど、タイムスリップとかなら・・・。それとは違うか?」
「いや、まぁ。似たようなものだね。
つまりは、何かの拍子に自分の世界とは違う世界に迷い込む事があるっていう。
ファンタジーが起こったんじゃないかと思うんだ。
それ以外のすっきりする答えが見つからなくて。」
へ?
いやいやナイだろ。
物語の話ならまだしも・・・でも同僚自身が”ファンタジー”という言葉を使っている。と言う事は、有りえないとわかっていての話?
「真面目な話か?
じゃぁ、ヨウイチはどこから来たんだ?」
過去?未来?
「僕がプレイしているゲームの中から。」
プレイしているゲーム?
プレイしているゲーム?
ゲーム?
「へぇ~・・・。」
それってどういう事なんだ?
ゲームの中の人間?も生きていて?って事か?
ん?ゲームの中ってオンラインの別プレイヤーの事か?
それならそもそもこんなズレた会話にはならないよな?
「え・・・と。トオルとケーボーの話の内容はよくわからないけど。
俺をコールで呼んだのがケーボーじゃないのは確かなんだよな?」
同僚との会話を黙って聞きながら考え込んでいたヨウイチが口を開く。
「うん。僕じゃない。」
同僚のあっさりとした戸惑いのない返答に
「そうか。」
と返事をしたヨウイチが考え込む。
しばらく3人とも黙っていたが、顔を上げたヨウイチが
「んじゃまぁ。呼んだのがケーボーじゃないなら、俺行くわ。」
と、片手を軽く上げて席を立とうとする。
同僚が
「え?何処に行くの?」
と聞くと。
「最初に呼ばれた地点を中心に適当に動いてコール主を探すよ。飲み物代はケーボーのおごりでいいんだよな?」
「え?あ、もちろん!僕が勝手に頼んだんだし。」
「ゴチ。じゃ!またゲインダンジョンで」
とそのまま立ち去ろうとする。
この状況の同僚の説明も納得できていないが、あてもなく動こうとするヨウイチを引き止める。
「ヨウイチ」
「ん?」
「ちょっといいかな。」
と言ってイスに座るように手で差し示す。
ヨウイチが促されてもう一度腰掛ける。
「事情が今ひとつ飲み込めないが・・・。
今から当てもなく探して、見つからなかった時はどうするつもりだ?」
「どうする?見つかるまで探すしかないんだけどね。・・・条件クリアしないと帰れないだろうし。」
ヨウイチは不安そうな顔をしながらもしっかりとした口調で答える。
「すぐに見つからなかったら、今夜泊まる所はどうするつもりだ?
異世界?的な物だとしたら、今使えるお金は持ってないんじゃないか?」
異世界に納得していないが、タイムスリップみたいな物だとしても今現在使えるお金を持っていないだろう。
お金も無しに、もう夜になろうとしている時間に探しに出て見つからなかったらどうするのか。
同僚は、人に対して遠慮がちな面が有るから強引に引き留めたりしないだろう。
「泊まる所は無いけど、野宿でも大丈夫そうな気温だし問題無い。
お金は、確かに無い。
持って来てないし。
持ってたとして、使えなさそうだ。
よかったら、参考までに使えるお金を見せてもらってもいいかな。」
ヨウイチにそう言われ、すぐに財布を取り出す。
お金をテーブルに並べると、二千円札以外揃っていた。
へぇ~案外揃ってるもんなんだ?と感心しながらヨウイチに説明する。
「小さい順に。
硬貨で、一円、五円、十円、五十円、百円、五百円。
紙幣で、千円、五千円、一万円。
あと二千円札もあるが、最近使っている人はほとんど居ない。」
あとはある程度の物価がわかっていた方がいいだろうけど・・・難しいな。
「そうだな・・・。
何にでもピンキリあるが、店で食事をするなら一食千円前後かかる。
安いホテルで一泊五千円前後。
一日8時間働いた場合の賃金は、おおよそ六千円から。
って所か。」
「すごく参考になったよ。ありがとう。」
とお礼を言うヨウイチに続けて
「ただ、このまま飲まず食わずで居るわけにいかないだろうし、
見つからなければ野宿すると言うのもどうにも・・・。
そこで、だ。
今現在使えるお金を持っていなくて、おおよその物価もわかっていないヨウイチを、”はい、そうですか” と見送るわけにはいかない。
その ”コール主” を探さないといけないのだろうけど、すぐに見つからなかった時の次善の策も用意しておかないか?」
そう言うとヨウイチがすぐに
「トオルが考える次善の策は?」
と聞いてきた。
考えているのが、同僚を巻き込むものだから先に確認を取るべきなんだろうけど・・・。
気になって同僚を見るが、そのまま言って後で話し合う方が早いだろうと判断する。
「そうだな・・・。
まず1つ目は、一緒に探す。
見つかればラッキー。
見つからない時は、ある程度で切り上げて3択。
ヨウイチをホテルに泊めて、明日また合流する。
3人でホテルに泊まる。
3人でケーボーの家に泊まる。」
案の定驚いて何か言いそうになる同僚に、チョット待ってと手を上げて同僚の言葉を止める。
「2つ目は、ヨウイチに当座必要なお金を渡してここで別れる。
その場合、お金は返さなくていい。
ただ、無事見つかっただろうか?大丈夫だろうか?と心配な気持ちが残るから、あまりこちらは選びたくない。
ヨウイチが、俺達と一緒に行動したくない場合の選択肢だな。
とにかく。
この時間から当てもなく。というのがどうにも気持ち悪い。」
そう。気持ち悪いのだ。
お金は持ってないし、野宿するなんて言っている人を今まで関わりがなかった人だからと、はいさよなら で終わらせるのがとんでもなく気持ちが悪い。
「”一緒に行動したくない”なんて事はないさ。
ココはいつものダンジョンと様子が違う。
知りあいが全くいない状況になるのは正直怖い。
それに、ココから家まで陸続きで頑張れば帰れるって事もなさそうだ。
なんとしてもコール主を探し出してクリアしないと・・・。
トオルの提案はありがたい。
1つ目の提案で行動したい。
ケーボーはどう思ってる?」
一緒に行動すると選択した事に少しホッとしながら、同僚を見る。
「え?!どう?って・・・」
急に聞かれて慌てている同僚の判断を待つ。
「い・・・いいと思う。」
・・・まったくコイツは・・・あまり考えずに答えたな。