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第60話 朝一 一択だよね?

先週の怒濤の日々が終わって平和な通常業務をこなしていく。

トオルは無事上級ダンジョンをこなしているだろうか?

そわそわとする気持ちはあるけれど、進捗を聞いてプレッシャーになるのもイヤだしな。

週末を楽しみにしておこう。

週半ばを過ぎた頃に先週の仕事の事務関係が問題なく完了したと連絡が入った。

ほー…。

安堵の息を吐き、中原さんと勝原くんにお礼のメールを送った。

中原さんからはライトに、また一緒にいい仕事しようと返信が来た。

大先輩の中原さんに、また一緒にと言ってもらえるのがすごく嬉しい。

勝原くんからは、丁寧なお礼のメールが来た。

良い経験が出来ただろうと思う。

あのクラスの大きい仕事はそうそうないし、今まで任されたことがない事務処理にも果敢に挑戦していたし経験値は積めたんじゃないかな。

中原さんとダブルチェックしたけれど問題なかった。

思ってた以上に優秀で驚いたんだよね。

後半尻上がりに仕事のスピードも上がって来ていたし、また一緒に仕事するのが楽しみだ。

ユグドラシルは、変わらずオーナー目指して周回を重ねる日々。

今オーナーを狙ってるダンジョンに時間がかかりすぎているけれど…他のダンジョンオーナーより魅力的なんだよね。

まぁ仕方ない。



ーーーーー



金曜日になった。

ソワつく気持ちで出勤し、退社時間。

あぁどうだっただろう?

急かしてるようになりそうで、トオルには一切進捗を聞かなかった。

ソワソワしながら帰り支度を整え、トオルのデスクを見ると周りに声をかけてこちらに歩いてきた。

目が合うと笑顔でサムズアップを決めてトオルが近付いて来る。

ドクンと心臓が高鳴り、トオルが目の前に立つまで動けずにいた。

「条件クリア!」

やりきった笑顔のトオルに

「ホントに?」

ドキドキしながら確認する。

「おぅ!上級のクリアも終わったから条件達成のはずだ。魔法陣で確認するまで確定じゃ無いけどな。」

「すごい!」

すごいよトオル。

ユグドラシル始めてまだ…あれ?一月経ってなくない?

いろいろ好条件もあったとは言え、驚異的なスピード。

あー…絶対クルスさんとハイトさんに詰め寄られるな…。

まぁそれは置いておいて。

リアルダンジョン!

その先にある新しいワールドにいよいよ行けるんだ!

ぅわー。ワクワクする!

「明日行く?明後日?」

人見町にいく日を訊く声が震える。

「明日だな。さとるの予定は大丈夫か?」

「明日。明日だね。もちろん他の予定なんて入れてないよ。」

「だよな。 何時に待ち合わせる?」

「何時…。」

正直始発で向かいたいくらいだ。

ダメだ。トオルに決めてもらおう。

「トオルの都合のいい時間にしよう。」

「ん?そうか? んー…どうするかな。」

顎に手を当てて考え込む。

え?なんで?ここは朝一 一択だよね?

いやいや。そうじゃないかもしれないからトオルに決めてもらおうと思ったんだし。

明後日じゃないんだから、午後からでもオーケーだし。

うん。午後からでも…。 え?でも朝一じゃないの?

行きたい気持ちが大きすぎて混乱してる。


少し上向きだった視線が僕に戻ってくる。

決まった?朝一だよね?せめて午前中!!

祈るような気持ちでトオルを見上げていたら

「ブフォッ!」

トオルが噴き出して笑い出した。

??

何?

笑ってないで明日の予定は!?

「クク……悪い悪い…ゥクク……スマン。

さとるの表情が素直すぎて!

始発で行きたい。とか思ってなかった?」

「…思ってた…。」

え?そんなにわかりやすかった?

顔が熱くなるのを感じて俯いて頬に手を当てる。

熱い。

「まんま表情に出てたからツボった。

笑ってスマン。」

「…いいよ…。」

「始発はさすがに早すぎるから。

そうだな…現地に7時でどうだ?」

現地に7時!

「うん!」

出勤より早い時間設定に、浮かれる。

やたっ!

明日の7時には新ワールド!

「今日は早めに寝るように。

未知の場所なんだから体調万全にして安全第一!」

「わかった!」

確かに、意識して早めに寝るようにしないと興奮で眠れなさそう。

食事してすぐ帰って、朝する諸々を済ませて寝よう!

そうしよう!

「じゃあ!明日!現地で!」

「オーケー。じゃ。」








ーーートオルーーー




金曜日になった。

上級ダンジョンの攻略は昨日終わらせた。

上級ダンジョンは場所によってとんでもなく時間がかかるのは身に染みたから、ラスト2個のダンジョンも時間がかかると見てかなり前のめりに攻略に取り組んだ。

週前半は制限時間いっぱい使って。

ラストのダンジョンが少し楽だったので木曜日で攻略完了。

もしかしたら金曜日までかかって最悪土曜日までかかるという予想も途中していたが木曜日で終わらせられて良かった。


だってさ。

終業時間で俺と目が合ったときのさとるの表情!

期待でキラッキラの目で、どこか不安そうな表情で。

いやぁーこれで、今日まであるいは明日までかかりそうだ。なんて言ったらションボリ帰っただろうと思うと、ホント昨日で終わらせられて良かったと思う。


サムズアップしてさとるに近付く。

「条件クリア!」

笑顔で告げるとパッと表情が明るくなる

「ホントに?」

「おぅ!上級のクリアも終わったから条件達成のはずだ。魔法陣で確認するまで確定じゃ無いけどな。」

「すごい!」

ワクワクしているさとるが緊張からか少し声を震わせる。

「明日行く?明後日?」

「明日だな。さとるの予定は大丈夫か?」

「明日。明日だね。もちろん他の予定なんて入れてないよ。」

「だよな。 何時に待ち合わせる?」

「何時…。」

少し間が空いて

「トオルの都合のいい時間にしよう。」

俺に投げてきた。

「ん?そうか? んー…どうするかな。」

顎に手を当てて考え込む。

どうするかな…一緒にダンジョンに入れるかどうかの確認だけならすぐ結果はでるが…。

もし一緒に行けたらダンジョン攻略終わらせたいだろうし。

あの日、さとるは一日でダンジョン攻略したんだよな?

午前中、それほど早い時間に行った訳じゃ無さそうだったし、午後早い時間で家に帰っていたはず。

午前中に行けばダンジョン攻略は出来るだろうけれど、その後ダンジョン抜けた先が全く予想出来ないからな…。

余裕を持って早めの時間の方がいいよな。

いつも家を出る位の時間でどうだろう?

そう思ってさとるに視線を戻すと

俺を見上げて必死な顔をしていた。

「ブフォッ!」

思わず噴き出してしまう。

もう、なんて言うか表情にダダ漏れ?

たぶん、すぐにでも行きたいと思ってる。

始発で!

とか思ってるよな?

俺に配慮して時間の決定権を渡したんだろうけど…。

なんだろう。

なんで迷ってるの?考えてるの?

って顔だろ。

「クク……悪い悪い…ゥクク……スマン。

さとるの表情が素直すぎて!

始発で行きたい。とか思ってなかった?」

「…思ってた…。」

やっぱり!w

「まんま表情に出てたからツボった。

笑ってスマン。」

「…いいよ…。」

真っ赤な顔をして恥ずかしそうにしている。

ちょっと笑いすぎたな…反省。

出社時間と同じ位で提案しようと思っていたが、少し早い時間で提案してみるか。

「始発はさすがに早すぎるから。

そうだな…現地に7時でどうだ?」

「うん!」

パァッと明るい表情で即答された。

高揚している様子に、釘を刺しておく。

「今日は早めに寝るように。

未知の場所なんだから体調万全にして安全第一!」

「わかった!」

即答!w

「じゃあ!明日!現地で!」

「オーケー。じゃ。」

ワクワクしてスキップしながら帰りそうな様子のさとるに軽く手を挙げて別れる。

さとるの様子に微笑ましいものを感じていたが、俺も結構浮かれている。

ちゃんと早く寝て、明日(さとる)に迷惑かけないようにしないとな。

気持ちを落ち着ける努力をしながら帰宅した。



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