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第52話 指輪

目が覚めた。

時計を見たら5時、いつもの時間だ。

軽く足を上げて反動をつけて起きあがる。

「昨日はずいぶん早く寝たのに、いつもの時間?

やっぱり疲れてたんだなー。」

大きく伸びをしてベッドを出て、いつも通り身支度を整える。

温かいお茶を飲みながら今日の予定を考える。

「ダンジョン。行くか行かないか…。

どうしようかなぁ…。」

ふと思い出して、腕や足を動かし筋肉痛が無いか確認してみる。

「筋肉痛は無さそう。

とは言っても、昨日は結局剣を数回振って各武器数回使った位だから。

剣をメインに使ってモンスター倒したりしないとわからないよね。」

充分寝たのに… いや、寝過ぎたからかな?少しボンヤリする。

「まずはユグドラシル入って、昨日のアイテム確認するかなー。」

部屋のパソコンからログインする。

特に考えずにすむルーティンをまず終わらせる。

情報屋で最新の情報を確認して、周回中のダンジョンを3周する頃に頭がハッキリしてきた。

「さて。」

昨日のアイテム確認するか。

宝箱から出てきた分と、モンスターからのドロップ品を確認する。

希少な素材が並んでいる。

「わぁー…錬金術師なら飛び上がって喜びそう。」

モンスターからのドロップ品も、新ワールドだからだろう見慣れない名前ばかりだ。

「へぇ…。」

一通り目を通した後、気になったアイテムの詳細確認をする。

一番の注目アイテムは指輪だ。

詳細を開いても『指輪』のみの表示。

「おぉー!ついに初ゲットかも?!」

入手したプレイヤーが名付ける権利を手に出来るアイテムが有る。そう言うアイテムは入手時の詳細が、アイテム分類名だけなのだそうだ。

そして、最終的に名付ける権利を手に出来るのはアイテムの詳細を解き明かす事が出来たプレイヤーだ。

「ぅわー…ドキドキする。」

この指輪がどういう力が有るのか、早く試したい。

レアアイテムなのか、それとも新ワールドで必須のアイテムなのかも気になる。

さっきまで迷っていた人見町ひとみちょうダンジョン行きも、早く行きたくてソワソワした気分になる。

「よし!」

ログアウトして立ち上がる。

しなければいけないことを早々に終わらせるべく動く。

洗濯をしている間に部屋の掃除や明日の準備をし、洗濯乾燥をしている間にコンビニで食事を買って来て食べる。

8時を過ぎたタイミングで、今日もダンジョンに行く事をチャットで伝える。

洗濯を完了して歯磨きをしたら準備完了だ。

あまり間をおかずに、気をつけて行くよう返信があった二人に了解の返事をしてウキウキ気分で出かけた。



ーーーーー



ダンジョン前に着くとステータス確認をした後、早速指輪を装備する。

左中指に装着した指輪を観察する。

金の指輪に見えるけれど、肌色に妙に馴染んでいて目立たない。

石が一つ付いているけれど、何故か手の平側の中央に配置されている。

「普通は手の甲側に付いていそうなのに…なにか意味が有るのかな…?」

石も半透明の石で、下の肌色を映しているのか目立たない。

意識せずに手を見たら、指輪をしている印象が残らないアイテムだ。

「うーん?目立たないって言うのが重要なポイントなのかな…?」

ステータスを開いて、変動が有ったかの確認をする。

「んー。数値が変わってる項目が無いなー。ステータスアップ効果では無いって事?

…特殊な攻撃手段アイテム?それとも防御アイテム?

でも、それだとステータス表示に何らかのアイコンが点きそうな物だけど」

アイコン表示には何も点いていない。

首を傾げ、詳細情報を解き明かすのは難しそうだと考え込みながら装備を調える。

防御魔法の重ね掛けをした後ダンジョンへ入った。

「あ。そう言えばセーブポイントに飛べるんだった。」

ダンジョンを出ると、入ってきた時の魔法陣に乗る。

案の定浮かび上がった画面でセーブポイントへ飛ぶ。

ダンジョン通路に出て、モンスター出現を待つ。

「あの雲だと、とんでもない攻撃を放つアイテムの場合危ないし…チョット弱めのモンスターが単体で出てくれるといいんだけど。」

通路に出た場所で動かず、キョロキョロと見ていたが一向に現れない。

「? あれ? 何で? …雲も現れない…。」

チョット冷や汗が出てきた。

「もしかして、やらかした?」

ハハハと乾いた笑いがダンジョン通路に吸い込まれる。

すでにほぼ確信していたけれど、しばらく待ってみる。

「ぅん。だね。」

これは、やらかしちゃってるね。

それでも念のため通路に座り込んで周りに注意をはらいながら考える。

「そういえば…。」

あの宝箱、ダンジョンクリア率【100】って書いてあったよね。

「あー。うん。確定だね。」

これはもう、どうしようもないね。

このままダンジョン出口に出てしまってもいいんだけど、もしかしたらトオルと一緒に来れる可能性が有るかもしれないと考え直し、入り口方面へ向かう。

入り口前に着くと現実世界へと戻り、ガッカリしながらケンイチさんのお店へ向かった。

電車の座席に力なく座り、

「はぁー」

重いため息を吐いてしまう。

一度しかチャレンジできないダンジョンと言うのがある。

どうやらアンファングダンジョンはその類のダンジョンだったようだ。

あのギチギチに詰まった雲の爆発でボスまで倒してしまったのだろう。

「そう言えば、ドロップ品が異様に多かった気がする。」

様子見だけのつもりだったのに、初日クリアかぁ。

「ふふっ」

ちょっと嬉しくなって笑ってしまう。

トオルのガイドの事を考えると困った事態なんだけど、プレイヤーとしては嬉しい事ではある。

「あ!」

ふと思いついてステータスを開く。

称号タブを開いて見ると

「有った!」

やっぱり新称号を手に入れていた。

称号の効果は伏せられている。

たぶん、条件が揃って効果が発揮されれば表示される。はず。

良い効果が付いてるといいんだけど。

あれこれ考えながらケンイチさんのお店に着いた。

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