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第41話 条件

目が覚めた。

時計を見ると5時。

いつもの時間だ。

思い切り伸びをしてから、起きあがる。

気合いを入れて身支度を整えて、そっとリビングを開けると

トオルがちょうど起きたのか、布団の上で座って目をこすっていた。

「おはよう。」

「ぅお~ぅ。おはよー。」

眠そうな声で挨拶が返ってくる。

トオルって寝起き悪いのかな?

「昨日買ってた残りで、軽く食べて出かけようか。

用意しておくから、出かける準備してきて。」

「ぉう。悪いな。」

立ち上がって伸びをしてからリビングを出ていった。

トオルはおにぎりとインスタント味噌汁。

僕はパンとインスタントスープだ。

これにサラダも付くはずだったんだけど、昨日の夜全部食べてしまった。

僕は朝は食べないことが多いからいいけど、トオルが足りないかもな。

お湯が沸く頃にタイミング良くトオルがリビングに戻ってきたので一緒に食べる。

トオルが着替えている間に後片づけをして人見町ひとみちょうに出発した。

「そう言えば、職業 どうだった?

まだ決まってないだろうけど、ザッと見てみて気になったのは有った?」

「んー。そうだな・・・魔法使い系以外って話だったから、それ以外でって思ってるけど、そもそも魔法使い“系”の“系”がどれなのか分からん。何々使いって“使い”が付いてるのを外して見てたが、何々使いっての結構多いよな。」

顎に手をあてて少し首を傾げながら言うトオルの様子に、帰ったら全職業をザッと説明した方がいいかもなと思いながら。

「うん。何々使いってのは多いね。

ただ、全部が魔法使い系ではないんだ。

帰ったら、全職業をザッと説明するね。」

何々使いって“使い”が入ってる職業全部が魔法使い系ではないけれど、その中の何個かは非常に使い勝手が悪い。

そう言う事も含めて説明してから選んでもらおう。

人見町に着くまでキャラメイクやダンジョンの話をした。

中級以上になると、ただ通路を進めばボス部屋に辿り着く訳じゃ無くなってくる。

家で攻略してもらおうと思っている中級の低レベルダンジョンだと数えるほどしか無いから、後でダンジョン名をメールする事にした。

「さて、俺に見えるかな?」

人見町の駅前を魔法陣に向かって歩きながら、トオルが期待のこもった声で言った。

「見えると良いんだけど、どうだろうね。魔法陣が見えるための条件が分からないから何とも言えないかな・・・。」

二人とも緊張のためか会話が無くなり黙々と進む。

魔法陣の場所に着いた。

僕にはもう淡い光が見えているけれど、そのまま進んで魔法陣の手前に立ち止まる。

トオルを見上げると、トオルが目を見張って魔法陣の場所を凝視していた。

「見えてるんだよね?」

そう聞くとぎこちなく首を動かして僕を見て、

「これが?」

と聞いてきた。

「うん。淡い光で光ってるこれが魔法陣。」

頷いてそう言うと

「へぇ・・・。」

と見開いた目で魔法陣に目を向けた。

しばらく見つめているトオルを見ていたが、次の段階に進もう。

「その魔法陣の中に立ってみて。」

指さしながらトオルに言うと

「おう・・・。」

躊躇いがちに歩を進め魔法陣の中央に立った。

「ぅおっ!」

宙を凝視している目線を見て、条件画面が出ているのだろうと判断する。

「条件画面出てる? どういう条件になってるか、読み上げてくれる?」

「わかった。

まずは、初級ダンジョンはクリアしているようで、数が表示されてない。

中級ダンジョンは、30分の1になってて、上級ダンジョンは15分の0だ。」

読み上げられた条件に、ほぼ予想通りだったと頷く。

「やっぱり、あの上級ダンジョン攻略ではソロ認定されないみたいだね。でも、中級がソロ攻略認定されてるって事はレンタルキャラを連れて行けないって訳じゃないから・・・どういう条件か検証できればその後が楽になりそうだね。」

呟きながら考えていたが、トオルの反応が全くないことに気付いてトオルを見ると、トオルが手を自分の前で上下に振っていた。

何しているんだろう?

そのまま見ていると、今度はしゃがんだり飛んだりくるっと回ったりしている。

その後魔法陣から出てきて、手を握ったり開いたりしながら見下ろしている。

大丈夫かな・・・?

少し心配になってきた。

「すごいな!何だこれ?

あの条件画面、俺が立ち位置を変えても常に同じ位置にあるし、確実に見えているのに手で触れない。

魔法陣?から出ると途端に見えなくなったし、かといって俺の体に何か悪影響が出たような様子もない。

変わらず目の前には魔法陣があるしな!

すごいな!これ!」

かなり興奮しているようだ。初めて見るトオルのテンションに少し驚いた。

「だよね。何なんだろうねこれ。」

返事をしてみたものの、耳に入っている様子もなく、手を開いたり握ったりしながら自分の体を見回している。

落ち着くまで少しかかりそうだ。

その間に次の事を考えようかな。

せっかくここまで来ているんだから、ここで検証できることはしておいた方がいい。

まずは、トオルが落ち着いてから二人で一緒に魔法陣に入ってみる。

ヨウイチの時はヨウイチに手を触れて、思わず出た言葉・・・たぶんあれが呪文の条件に合致したんだろう・・・を呟いて二人一緒にダンジョン前に行けた。

トオルと試してみて行けるんだったら、根を詰めて条件達成をしなくても一緒に行けるって事になる。

ただ、問題はそれで一緒に行ったとしても僕とのレベル差が大きすぎてトオルのダウンが怖いって事だね。

ダンジョン内でのダメージが現実にどう影響するのか分からないんだから、作業ゲーチックになったとしても僕のレベル近くまで急造してからじゃないとダンジョンに行くのは躊躇われる。

でも、行けるかどうかは試しておこう。

条件を満たしていないプレイヤーは、絶対に行けない。となった場合は、中級高レベルと上級ダンジョンのソロ攻略について検証しないと・・・。

中級ダンジョンにレンタルキャラを付けても条件を満たしてカウントされていたという事は、レンタルに関して条件が付けられてるって事だよね。

連れて行く数?

それともレベルとか・・・?

中級の低レベルだったから、連れて行ったのは回復用と強化用の低ランクキャラだったよな・・・。

ランクが条件?

それとも特化スキルが条件?

上級ダンジョンの時は、トオルのレベルだと攻撃が通らなかったから攻撃はレンタルキャラに任せる形になった・・・攻撃キャラを入れたらカウントされないとか?

その辺りの条件設定が分からないと・・・。

データ量が大きいからチョット嫌だけど、ここにノートパソコン持ってきて何パターンか検証するしかないかな・・・・。

んー・・・。

クルスさん達、ギルドメンバーに声をかけてパーティーを大きくするみたいだったよね。

クルスさん達でも条件クリアに至ってなかったんだから、新メンバー達も条件クリアには今一歩足りないって事は有ると予想できる。

今の段階でトオルに協力してもらって検証しておいた方が後々楽かも・・・。

ポンと肩をたたかれた。

顔を上げると、落ち着いた様子のトオルが

「この後どうする?」

と聞いてきた。

「あ、うん。今出来る検証だけして一旦家に帰るつもり。

一緒に魔法陣に入ってくれる?」

二人で魔法陣の中に立ち、トオルのどの部分に触れればいいのか考える。

ヨウイチの時は腕を掴んだと思うけれど、ヨウイチの服はあちらの物だ。

・・・。

2回試せばいいか。

まずはトオルの腕に触れて

「何。これ。」

と呟いてみる。

目の前の景色が変化し、ダンジョン前に着く。

予想はしていたが、トオルの姿は無い。

ダンジョン前の魔法陣に乗って、リアル世界に戻るとトオルが若干青い顔をしながら

「何をどうするのか、何の検証なのか説明してからにしろ。慌てるだろ。」

と言われてしまった。

確かに。

逆の立場で急に目の前からトオルが消えたら狼狽えて真っ青になるだろうと想像できる。

「ごめん。

条件を満たしていないプレイヤーでも、連れて行けるのかの検証をしたいんだ。

ヨウイチの時は、ヨウイチに触れて一緒に行けたから。

ただ、ヨウイチの服ってあっちの世界の物だから、もう一度今度は直に肌に触れて試してみたいけどいいかな?」

「条件を満たしていない状態で連れて行っても役に立たないんじゃないか?

まぁ、ハッキリさせておいた方が何かの時に対応しやすいとは思うが。」

「うん。トオルの言うとおり、今トオルを連れて行けたとしてもダンジョン攻略を一緒に出来るとは思えないし、ダメージが現実に与える影響も確認できていない状態では危険すぎるからダンジョンに入るつもりはないんだ。

行けるのか行けないのかを確認するだけが目的だね。

もし行けたらトオルもステータスが見えるようになるかも?とは思うけどね。」

「わかった。じゃぁ試してみるか。手でいいか?」

と言いながらトオルが手を差し出してきた。

「うん。ありがと。」

トオルの手を握って

「何。これ。」

と呟いてみる。

目の前の景色が変わって、ダンジョン前に居た。

周りを見回してトオルが居ないことを確認してから、魔法陣で戻る。

「おまたせ。

やっぱり条件を満たしていないプレイヤーは移動できないみたいだね。」

「だな。チョット行ってみたい気はしていたが、仕方ない。

条件クリアに向けてダンジョン攻略を頑張るしかないな。」

「そうだね。」

頷いて、さっき考えていた検証も出来たらしておきたいと、トオルの予定を聞くことにした。

「でね。条件クリアに関しての検証もしたいんだけど、トオルって今日の予定は何かある?」

「条件クリアの検証?

何をするつもりか先に聞いてもいいか?」

「あ、うん。

条件クリアで、中級は1個クリアにカウントされてて、上級はカウントされてなかったでしょ?

どちらもレンタルキャラを付けて攻略しているのに、片方だけソロクリアのカウントがされていた。

その検証がしたいんだ。

どのラインがクリア基準か。

連れて行くキャラの数なのか、特化スキルの種類なのか、レベルやクラスなのか。

もしかしたら、トオルを越えないレベルのキャラなら何体でもOKなのかもしれないし・・・。

中級のクリア回数が残っている間に検証できれば、上級の条件クリアがかなり楽になるんじゃないかと思うんだ。

だから、ここにノートパソコン持ってきて条件を変えながら攻略してみて条件クリアにカウントされるかを見てみたい。

どのくらい時間がかかるかはチョット予想できないけど、もしかしたらあっさりと条件が分かるかもしれない・・・んーあっさりとは無いか・・・。

トオルは今日予定が入ってるかな?」

顎に手をあてて考えながら聞いていたトオルが

「いや、今日は予定を入れてないから大丈夫だ。その検証はしておいた方が後々楽そうだ。」

「だよね。じゃぁ、ノートパソコンを取りに家に戻るけどトオルは朝ご飯足りなかったんじゃない?

何か買って帰るか、どこかで食べる?」

少し考えて腕時計を見たトオルが

「いや、今はいいや。

少々長引いたとしても途中で休憩と昼飯は挟むだろ?

その時でいいかな。出来れば健一さんのお店のランチがいいが、ちょっと離れるからな・・・。」

「そぉ?んじゃ、家に行こうか。

僕も健一さんの所のランチがいいから、昼は健一さんのお店で食べよう。」

「了解。んじゃ、健一さんに連絡入れとくよ。」

「ありがとう。」

ケータイを手にしたトオルを横目に、検証の順番をどうするのか考えながら家へ向かった。





ーーートオルーーー

パタパタカタカタと遠慮気味に動いているような物音に静かに目が覚めた。

自分の部屋ではない天井を見て、あぁ、そうだった。と昨日のことを思い出す。

起きるか。

体を起こして座ったまま大あくびをする。

リビングのドアが開いた。

「おはよう。」

さとるの声に

「ぅお~ぅ。おはよー。」

全く目覚めてないような声で答える。

仕事がハードで寝不足が続いていたからか、昨夜は早めに寝たのに全然寝足りない感じがする。

「昨日買ってた残りで、軽く食べて出かけようか。

用意しておくから、出かける準備してきて。」

あぁ、そうだった。朝一で人見町に行くんだったな。

「ぉう。悪いな。」

答えて気合いを入れて立ち上がる。

思いっきり伸びをしてから身支度に取りかかる。

後は着替えるだけになってリビングに戻ると、さとるが準備してくれた朝ご飯を食べる。

さとるって仕事の時もそうだけど、細々したことを嫌がらないよな・・・。

俺が実家暮らしだから尚更そう思うのかもしれないけれど、男の一人暮らしには思えない部屋だと思う。

食べ終わって準備をした後人見町に向かった。

「そう言えば、職業 どうだった?

まだ決まってないだろうけど、ザッと見てみて気になったのは有った?」

さとるが、期待のこもったキラキラと心配が混ざったような視線で聞いてきた。

「んー。そうだな・・・魔法使い系以外って話だったから、それ以外でって思ってるけど、そもそも魔法使い“系”の“系”がどれなのか分からん。何々使いって“使い”が付いてるのを外して見てたが、何々使いっての結構多いよな。」

そう。一応見てみたけれど、よく分からんってのが正直な所だ。

「うん。何々使いってのは多いね。

ただ、全部が魔法使い系ではないんだ。

帰ったら、全職業をザッと説明するね。」

その方が良さそうだ。

さとるに初心者でもある程度使いやすい職業を教えてもらってそれに決める方が良さそうだ。

イメージだけで選んで後で苦労するのも、今の目的からすると遠回りすぎるからな。

さとるはきっと、ゲームの楽しさのために俺に選択権を残してるんだろうけど。

正直、わからん。

後で説明してくれるって事だし、その時に話し合おう。

駅に着いて、魔法陣とやらが有る方向にさとるについて歩き出す。

ちょっとドキドキしてきた。

「さて、俺に見えるかな?」

ドキドキの気持ちのまま呟くと

「見えると良いんだけど、どうだろうね。魔法陣が見えるための条件が分からないから何とも言えないかな・・・。」

さとるが真面目に答えて考え込んだ。

俺も期待と不安とが入り交じり、二人とも無言になった。

どの辺りにあるんだろう?とさとるについて歩きながら周りを見回す。

あれは?

進む先に地面が光っている部分を見つけて凝視する。

これがもしかして?

と思っていると、さとるがその光の手前で立ち止まる。

ぼんやりと光っているように見えた部分を上から見ると、丸い円を書いた中に模様や文字?のような物が光で描かれているような不思議な物だった。

目が釘付けになっていると

「見えてるんだよね?」

さとるに声をかけられた。

凝視していた目を離してさとるを見る。

小首を傾げながらも、俺が見えている確信があるのか、確認するように聞かれた。

「これが?」

魔法陣か?

「うん。淡い光で光ってるこれが魔法陣。」

「へぇ・・・。」

これが・・・。

目が再び魔法陣の光に釘付けになる。

ファンタジーなんだから当然だが、電気のコードが延びてたりする訳じゃない。

それに、魔法陣に描かれている文字のような物も全く馴染みのない物で読めたり理解したりは出来なさそうだ。

「その魔法陣の中に立ってみて。」

さとるが指さしながら言ってきたので、

「おう・・・。」

と答えたものの、ちょっと勇気がった。

魔法陣の中央に立つとピンッと言う音が鳴り、目の前に画面が現れた。

「ぅおっ!」

思わず驚いて声が出てしまったが、目の前に現れた画面がさとるが言っていた条件画面だというのはすぐに分かった。

目の前には

【条件未達成

ダンジョンクリア・ソロ

初級 クリア

中級 1/30

上級 0/15】

と表示された画面が出ている。

中級はまだしも、あの上級ダンジョンを15個も攻略しないといけないって・・・なかなか厳しいな。

しかも、昨日の攻略の仕方だとクリアにカウントされないようだ。

俺自身のレベル上げをしないと無理って事だよな・・・。

「条件画面出てる? どういう条件になってるか、読み上げてくれる?」

一人考え込んでいるとさとるに声をかけられた。

「わかった。

まずは、初級ダンジョンはクリアしているようで、数が表示されてない。

中級ダンジョンは、30分の1になってて、上級ダンジョンは15分の0だ。」

読み上げると、納得したようにさとるが頷く。

そんなさとるを見つつ、この目の前の不思議現象が気になってしょうがない。

表示画面を手で触れようとしたけれど触れられない。

画面位置は場所固定なのか?が気になって自分が動いてみると自分からの定位置固定のように画面がついてくる。

へぇ・・・面白い。

ジャンプしてみたり、いきなり反対方向を振り向いたりするが、全く影響無く同じ位置に有る。

最終的に魔法陣の外に出てみると条件画面は消えた。

「すごいな!何だこれ?

あの条件画面、俺が立ち位置を変えても常に同じ位置にあるし、確実に見えているのに手で触れない。

魔法陣?から出ると途端に見えなくなったし、かといって俺の体に何か悪影響が出たような様子もない。

変わらず目の前には魔法陣があるしな!

すごいな!これ!」

胸の中に感情が渦巻いている。

小学生の時に、今となれば近場の空き地や河川敷に探検と言う名の冒険に出かけていた時と同じような湧き上がる感情だ。

久し振りすぎて、自分に有るなんて思ってもいなかった感情に気持ちが振り回される。

落ち着かなきゃと思う物の、何ともいえない心地よい感情にしばらく身をゆだねる。

徐々に落ち着いてきたので、一度深呼吸をしてさとるを見ると、右手人差し指をこめかみにあてて考え込んでいた。

ずっと見られていた訳じゃ無いものの、子供のような状態を見られてしまった気恥ずかしさに何度か深呼吸を繰り返し心を落ち着けた。

考え込んでいるさとるの肩をポンとたたき、

「この後どうする?」

と聞くと

「あ、うん。今出来る検証だけして一旦家に帰るつもり。

一緒に魔法陣に入ってくれる?」

何事も無かったように答えた。

ホッとするのと同時にチョット肩すかしを食った気分だ。

言われたとおり魔法陣の中に立つと、さとるが少し考えた後に俺の腕に触れ、消えた。

え!???

消えた!???

思わず周りを見回す。

ヨウイチが来てからの一連の事をファンタジーな事として受け止めていたはずなのだが、目の前からさとる忽然こつぜんと消えた事実に頭と気持ちが混乱した。

え?!どうしたらいいんだ?!

ココからダンジョンに行けるって言ってたから、ダンジョンに行ったって事か?

じゃ何で俺も一緒に魔法陣に立ったんだ?

何か予想外のことが起きたんじゃ??!

どうしたらいい?

何か非常事態が起こったとして、俺に何が出来る?

クルス達の連絡先、俺も交換しておけば良かった!!

狼狽えて後悔していると、目の前にさとるが現れた。

無事な様子にホッとする。

「何をどうするのか、何の検証なのか説明してからにしろ。慌てるだろ。」

ほんとに。説明してからにしてくれ。

「ごめん。

条件を満たしていないプレイヤーでも、連れて行けるのかの検証をしたいんだ。

ヨウイチの時は、ヨウイチに触れて一緒に行けたから。

ただ、ヨウイチの服ってあっちの世界の物だから、もう一度今度は直に肌に触れて試してみたいけどいいかな?」

そう言う検証だったのか・・でも

「条件を満たしていない状態で連れて行っても役に立たないんじゃないか?

まぁ、ハッキリさせておいた方が何かの時に対応しやすいとは思うが。」

「うん。トオルの言うとおり、今トオルを連れて行けたとしてもダンジョン攻略を一緒に出来るとは思えないし、ダメージが現実に与える影響も確認できていない状態では危険すぎるからダンジョンに入るつもりはないんだ。

行けるのか行けないのかを確認するだけが目的だね。

もし行けたらトオルもステータスが見えるようになるかも?とは思うけどね。」

まぁ、あらゆる可能性は確認しておいた方がいいってのはわかる。

とにかくファンタジーで、現実ではあり得ない事が起こるんだからな。

「わかった。じゃぁ試してみるか。手でいいか?」

と手を差し出すと

「うん。ありがと。」

さとるが手を握って何か呟いた。

さとるが手を握っていた感触だけ残して消えた。

今度は、少し落ち着いてしばらく待ってみる。

すぐにさとるが現れて

「おまたせ。

やっぱり条件を満たしていないプレイヤーは移動できないみたいだね。」

と言ってくる。

「だな。チョット行ってみたい気はしていたが、仕方ない。

条件クリアに向けてダンジョン攻略を頑張るしかないな。」

さっきの子供の頃の感情が残っているからか、行ってみたい気もしていたのだが行ったところで冒険は出来ないだろうからな。

まぁ何にしても、一つ確認できたって事で。

「そうだね。

でね。条件クリアに関しての検証もしたいんだけど、トオルって今日の予定は何かある?」

「条件クリアの検証?

何をするつもりか先に聞いてもいいか?」

「あ、うん。

条件クリアで、中級は1個クリアにカウントされてて、上級はカウントされてなかったでしょ?

どちらもレンタルキャラを付けて攻略しているのに、片方だけソロクリアのカウントがされていた。

その検証がしたいんだ。

どのラインがクリア基準か。

連れて行くキャラの数なのか、特化スキルの種類なのか、レベルやクラスなのか。

もしかしたら、トオルを越えないレベルのキャラなら何体でもOKなのかもしれないし・・・。

中級のクリア回数が残っている間に検証できれば、上級の条件クリアがかなり楽になるんじゃないかと思うんだ。

だから、ここにノートパソコン持ってきて条件を変えながら攻略してみて条件クリアにカウントされるかを見てみたい。

どのくらい時間がかかるかはチョット予想できないけど、もしかしたらあっさりと条件が分かるかもしれない・・・んーあっさりとは無いか・・・。

トオルは今日予定が入ってるかな?」

しておいた方が良さそうな検証だな。

たぶんクルス達も仲間を増やす計画だろうから、その時に役立ちそうだ。

「いや、今日は予定を入れてないから大丈夫だ。その検証はしておいた方が後々楽そうだ。」

「だよね。じゃぁ、ノートパソコンを取りに家に戻るけどトオルは朝ご飯足りなかったんじゃない?

何か買って帰るか、どこかで食べる?」

確かに、いつもはもっとしっかり朝食を食べるから足りないと言えば足りない。

けど

「いや、今はいいや。

少々長引いたとしても途中で休憩と昼飯は挟むだろ?

その時でいいかな。出来れば健一さんのお店のランチがいいが、ちょっと離れるからな・・・。」

「そぉ?んじゃ、家に行こうか。

僕も健一さんの所のランチがいいから、昼は健一さんのお店で食べよう。」

「了解。んじゃ、健一さんに連絡入れとくよ。」

「ありがとう。」

さとるも健一さんのお店を気に入ってくれたようで嬉しく思いながら、健一さんにランチを食べに行く連絡をして、さとるの家に向かった。

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