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第32話 ギルド『リースト』のギルドマスターです。

ヨウイチに会った日からの話をしようと、正面に座るフェーリさんを見上げて目が合う。

「・・・・・・・。」

なんだろう・・・。

何かが引っかかる。

改めて正面に座るものすごくガタイのいいゴツイ男=ものゴッツい男=ギルド『フォルティス』のギルドマスターだと言う フェーリを見る。

んー?

何か引っかかる・・・。

ゲームユグドラシルの上位ギルドの話はネットに転がっている。

ぼっちギルドの僕は、うらやましい気持ちと同時に一人は気楽で良いよな~♪と言う気持ちと両方持ちながらたまに情報をひろっていた。

特にギルド『フォルティス』は情報が多く、そのギルドマスターの話もよく見かける。

面倒見が良くてさっぱりした性格、強くて優しくて格好良い。

ネット情報で誰かが例えていたのが、有名マンガの山の民を統べる王。

圧倒的に強くて美しい女王だ。

!!

そう!

女性だ!

『フォルティス』と言う巨大なギルド

ゲーム始まって以来1位をとり続けているギルドのギルドマスターが女性だという事もあって、すごく話題になる人だ。

そう。

そうだ。

違和感はコレだ。

「あの・・・。

『フォルティス』のギルドマスターのフェーリさんで間違いないんですよね?」

「ん?あぁ。間違いない。」

「そうですか。

じゃぁ女性でキャラメイクしたと言うことですね。」

「あ・・・あぁ。そういうことだ。」

そうなんだぁ。

そっかー。

そうだよね。

僕だって、現実の自分の姿に似せずに細マッチョイケメン風に作り上げてるもんなー。

さっきまで疑問だった引っかかりの正体はわかったからスッキリ。

では、改めてヨウイチと初めて会った時からの話を。

「前回、ここでお会いした前日。

お昼ご飯を終えた後、ヨウイチに声をかけられました。

ーーーーー。」

最初からの話を、かいつまんで話し終える。

その上で、今日、ここに来た理由を伝える。

「それで。今日ヨウイチと一緒に来た理由なんですが。

今はコール画面のヨウイチはグレイアウトしていて、コール出来ない状態ですが。

次、ヨウイチがゲーム世界に戻ってコール出来るようになったら僕がコールします。

と言う事をお伝えにきました。」

待遇改善については、僕がコールする事を拒否してきた場合伝えればいいかと判断してヨウイチの望みの形を先に伝える。

フェーリさんは少し目を見開き、グロースさんはゆったり座っていた上半身を起こした。

その後二人で目を合わせた後、フェーリさんが口を開く。

「それは?どう言う事だ?」

“どう言う事だ?“って何だろう?何を聞きたい質問なんだろう?

「えっと・・・?

システム上、僕がヨウイチをコールする事は出来ると思いますが・・・。

もしかして、コチラではゲームと違って最初に呼んだ人しかコール出来なくなる仕様だったりしますか?」

もちろんゲーム内では、同時に複数の人がレンタル出来ているはずだ。ゲーム内でグレイアウトしていた事なんて無い。

でも、こちらではグレイアウトしていて今現在は呼べない状態だった。

確認出来ないので、なんとも言えないけれど・・・ゲーム内と違って、一人が呼んだらその人しか呼べなくなる仕様になっていたりするかもしれない。

1度目も2度目もフェーリさんが呼んでいるし、もしかしてそういう可能性もあるかと聞いてみる。

もう一度二人が目を見合わせる。

「いや、コールは一度ヨウイチが帰れば俺以外でも出来る。

・・・はずだ。

グロースのコール画面は、一度帰った後は呼べる状態になっていた。

ただ、俺が聞きたいのは何故“君が”コールしないといけないのか?と言う事だ。

コールは、・・・ヨウイチが言っているからコールと言っているがゲーム内でのレンタルだ。

ゲーム内同様レンタル料がかかる。

『フォルティス』は巨大ギルドで、そのギルドマスターの俺にはいろんな特典がある。

そのおかげでレンタル料を全く気にしないでいい状態なんだ。

グレイアウトしていたという事は、レンタル料も見えてないよな?」

確かに、他のキャラのレンタル料は見えたけれどヨウイチと思われる枠のレンタル料は見えなかった。

頷くと。

「通常プレイヤーには、少々キツいと思うぞ。」

ヨウイチはそんなに料金が高く設定されているのか・・・。

他の枠のレンタルキャラの料金とそれほど変わらなければ、全く問題ないと思っていたんだけれど・・・。

右手人差し指をこめかみに当てて考え込んでいると、

腕を組んで同じように考え込んでいたフェーリさんが顔を上げて聞いてきた。

「そう言えば、ケーボー。

君の所属ギルドはどこなんだ?

聞いていなかったな。

人見町ひとみちょうのダンジョン条件を満たしていると言う事はかなりのレベルだろうとは思うんだが・・・。

それに、あの魔法陣に行った時点で条件を満たしていたのか?

それとも、まさかとは思うが、昨日今日でクリアしたのか?

まさかだよな?」

探るような驚いたような顔で尋ねられる。

あれ?

ギルド名とか言ってなかった・・・ね。

そう言えば言ってなかった。

でも、有名なギルドじゃないし・・・言った所で何の情報源にもならないと思うんだけどな。

「僕は、ギルド『リースト』のギルドマスターです。」

名乗るが、思った通りフェーリさんは自分の頭の中の情報を探っているような表情になる。

でしょ?

名乗る意味ないと思うんだよね。

そう思っていたら、

「『リースト』のギルドマスター。

『フォルトゥーナ』の所持者5人の内の一人。

『ケ=ツゲボー=ボー』。

だよ。」

ヨウイチが、わからないの?と言わんばかりに高らかに言い放つ。

わーーーーーっっっ!!!

フルネームを言われ、顔が真っ赤になりながらヨウイチの口を塞ごうと手が伸びる。

もう言ってしまった後だから意味ない上に、ヨウイチには軽くかわされてしまったが。

「次のコールはケーボーがしてくれないかと頼んだのは俺だ。

ケーボーが了承した以上、“レンタル料”に関しても大丈夫と言う事だろう。

とにかく、俺はケーボーとダンジョンに入る。」

そうヨウイチが宣言すると、二人が目を見合わせた。

今回は二人とも目を見開いて驚きの表情で、しばらく見つめ合っていた。

僕は真っ赤な顔を意識しながら、トオルの様子をうかがう。

トオルにフルネーム知られたくなかったなー。

お願いだからフルネームで呼ばないでよ・・・。





ーーーヨウイチーーー

「あの・・・。

『フォルティス』のギルドマスターのフェーリさんで間違いないんですよね?」

しばらく考え込んでいたケーボーがコール主に聞いている。

そう!そうなんだよ。

ケーボーのヒョロさにも驚いたが、コール主の見た目の違いの激しさにもかなり驚いた。

いつもの世界と“異世界”との違いを実感できる違いだよな。

「ん?あぁ。間違いない。」

「そうですか。

じゃぁ女性でキャラメイクしたと言うことですね。」

“女性キャラでキャラメイクした“??

またわからない言葉だ。

「あ・・・あぁ。そういうことだ。」

どこか居心地悪そうにコール主が答える。

何度か頷いたケーボーが“異世界”での俺との出会いから話し始めた。

「前回、ここでお会いした前日。

お昼ご飯を終えた後、ヨウイチに声をかけられました。

ーーーーー。

それで。今日ヨウイチと一緒に来た理由なんですが。

今はコール画面のヨウイチはグレイアウトしていて、コール出来ない状態ですが。

次、ヨウイチがゲーム世界に戻ってコール出来るようになったら僕がコールします。

と言う事をお伝えにきました。」

俺がお願いした事をコール主に伝える。

コール主は驚いたような顔でギルド長と顔を見合わせた後

「それは?どう言う事だ?」

探るような口調で聞いている。

「えっと・・・?

システム上、僕がヨウイチをコールする事は出来ると思いますが・・・。

もしかして、コチラではゲームと違って最初に呼んだ人しかコール出来なくなる仕様だったりしますか?」

少し首を傾げて聞くケーボーに、コール主とギルド長は戸惑ったように顔を見合わせた後

「いや、コールは一度ヨウイチが帰れば俺以外でも出来る。

・・・はずだ。

グロースのコール画面は、一度帰った後は呼べる状態になっていた。

ただ、俺が聞きたいのは何故“君が”コールしないといけないのか?と言う事だ。

コールは、・・・ヨウイチが言っているからコールと言っているがゲーム内でのレンタルだ。

ゲーム内同様レンタル料がかかる。

『フォルティス』は巨大ギルドで、そのギルドマスターの俺にはいろんな特典がある。

そのおかげでレンタル料を全く気にしないでいい状態なんだ。

グレイアウトしていたという事は、レンタル料も見えてないよな?」

“レンタル料”?

俺を呼ぶのに料金がかかると言う事か・・・。

頼んだ時にケーボーはそう言う心配をしていなかったし、大丈夫なんだろう。

もし大丈夫じゃなければ、この場で無理だと俺に言ってくるはず。

「通常プレイヤーには、少々キツいと思うぞ。」

考え込むケーボーを見るが、特に俺に断ってくることはないようだ。

と言う事は、“レンタル料”に関しては問題ないだろう。

「そう言えば、ケーボー。

君の所属ギルドはどこなんだ?

聞いていなかったな。

人見町ひとみちょうのダンジョン条件を満たしていると言う事はかなりのレベルだろうとは思うんだが・・・。

それに、あの魔法陣に行った時点で条件を満たしていたのか?

それとも、まさかとは思うが、昨日今日でクリアしたのか?

まさかだよな?」

コール主が尋ねている。

所属ギルドってステータスで見れなかったか?

試しにケーボーとコール主を見てみる。

見れるよな・・・。

やっぱり俺のステータス情報とコール主やギルド長のステータス情報は違うようだ。

今まで比較するような場面が無かったから知らなかったが、俺のはコール主やギルド長より詳細な情報がわかるみたいだ。

ケーボーとも違うんだろうか?

確認できるタイミングが出来たら確認してみよう。

「僕は、ギルド『リースト』のギルドマスターです。」

ケーボーがギルド名を名乗るが、コール主は思案顔だ。

知らないはずがないのに思い当たらないのは、重要な情報をケーボーが言わないからだ。

こんな事に時間を使っててもらちが明かない。

少しのイラ立ちを覚えて

「『リースト』のギルドマスター。

『フォルトゥーナ』の所持者5人の内の一人。

『ケ=ツゲボー=ボー』。

だよ。」

横から口を出す。

コチラで最初に出会った時のように、ケーボーが赤い顔をしながら手を伸ばしてくる。

軽くかわして

「次のコールはケーボーがしてくれないかと頼んだのは俺だ。

ケーボーが了承した以上、“レンタル料”に関しても大丈夫と言う事だろう。

とにかく、俺はケーボーとダンジョンに入る。」

言い放つ。




ーーートオルーーー

さとるがフェーリを見上げて口を開くが、疑問が浮かんだのか黙ったまま考え込んだ。

「・・・・・・・。」

しばらく考えた後口を開く。

「あの・・・。

『フォルティス』のギルドマスターのフェーリさんで間違いないんですよね?」

「ん?あぁ。間違いない。」

「そうですか。

じゃぁ女性でキャラメイクしたと言うことですね。」

「あ・・・あぁ。そういうことだ。」

女性でキャラメイク?

と言う事は、ゲーム内では女性として振る舞っていたという事か・・・。

ゲームの遊び方がよく分からないが、それもアリなんだろう。

確認がとれてスッキリした様子のさとるが、ヨウイチと会った時の事から順を追って話し出した。

「前回、ここでお会いした前日。

お昼ご飯を終えた後、ヨウイチに声をかけられました。

ーーーーー。

それで。今日ヨウイチと一緒に来た理由なんですが。

今はコール画面のヨウイチはグレイアウトしていて、コール出来ない状態ですが。

次、ヨウイチがゲーム世界に戻ってコール出来るようになったら僕がコールします。

と言う事をお伝えにきました。」

最後に、フェーリ達に会いにきた理由を言って、二人の返事を待っている。

二人は目を見合わせてから

「それは?どう言う事だ?」

少しけんが有る口調で尋ねるフェーリに

「えっと・・・?

システム上、僕がヨウイチをコールする事は出来ると思いますが・・・。

もしかして、コチラではゲームと違って最初に呼んだ人しかコール出来なくなる仕様だったりしますか?」

さとるが、少し小首を傾げて尋ねる。

「いや、コールは一度ヨウイチが帰れば俺以外でも出来る。

・・・はずだ。

グロースのコール画面は、一度帰った後は呼べる状態になっていた。

ただ、俺が聞きたいのは何故“君が”コールしないといけないのか?と言う事だ。

コールは、・・・ヨウイチが言っているからコールと言っているがゲーム内でのレンタルだ。

ゲーム内同様レンタル料がかかる。

『フォルティス』は巨大ギルドで、そのギルドマスターの俺にはいろんな特典がある。

そのおかげでレンタル料を全く気にしないでいい状態なんだ。

グレイアウトしていたという事は、レンタル料も見えてないよな?」

へぇー。

フェーリのギルドは巨大ギルドなのか。

ゲーム内でかなりの地位にいる人物と言う事かな。

質問に頷くさとるに対して

「通常プレイヤーには、少々キツいと思うぞ。」

少し心配そうにフェーリが言い、

さとるもフェーリも考え込む。

ふと、思いついたように顔を上げたフェーリが

「そう言えば、ケーボー。

君の所属ギルドはどこなんだ?

聞いていなかったな。

人見町ひとみちょうのダンジョン条件を満たしていると言う事はかなりのレベルだろうとは思うんだが・・・。

それに、あの魔法陣に行った時点で条件を満たしていたのか?

それとも、まさかとは思うが、昨日今日でクリアしたのか?

まさかだよな?」

最後の質問は少し探るような口調で尋ねる。

「僕は、ギルド『リースト』のギルドマスターです。」

へぇー。

さとるもギルドマスターなのか。

ギルドって何人くらいメンバーが居るものなんだろう?

「『リースト』のギルドマスター。

『フォルトゥーナ』の所持者5人の内の一人。

『ケ=ツゲボー=ボー』。

だよ。」

ヨウイチが、憮然とした態度と口調で横から割って入る。

隣のさとるが、慌てたようにヨウイチに手を伸ばしている。

軽くかわされているが。

この光景、最初にヨウイチに会った時にも同じだったような・・・。

それにしても、顔が赤くなっているようだしあの慌てよう・・・さとるは何に反応してるんだ?

「次のコールはケーボーがしてくれないかと頼んだのは俺だ。

ケーボーが了承した以上、“レンタル料”に関しても大丈夫と言う事だろう。

とにかく、俺はケーボーとダンジョンに入る。」

ヨウイチが高らかに宣言すると、フェーリとグロースは驚きの表情で目を見合わせている。

今の所、俺が助言したり手助けしたり出来る事は無さそうだ。




ーーーフェーリーーー

「・・・・・・・。」

一度、目が合って口を開いたケーボーが固まる。

そのまま考え込んでいる。

質問か?

そのまま少し待っていると

「あの・・・。

『フォルティス』のギルドマスターのフェーリさんで間違いないんですよね?」

と聞かれる。

「ん?あぁ。間違いない。」

「そうですか。

じゃぁ女性でキャラメイクしたと言うことですね。」

「あ・・・あぁ。そういうことだ。」

・・・・・・・・・。

ギルド長の、思いっきりショックを受けた態度もなかなかにキツいものがあったが、その、へぇーそうなんだぁと言うかのような正面から来ない感じも結構クルな。

・・・・・・・・・。

現実の俺のガタイじゃ、フェーリなんてニックネームはミスマッチだよな。

・・・ニックネーム変えるか。

何度か頷いて納得したような様子のケーボーが話し始めた。

「前回、ここでお会いした前日。

お昼ご飯を終えた後、ヨウイチに声をかけられました。

ーーーーー。」

リアルでヨウイチに会ってからの事を話しているケーボーの話を聞きながら、結構すんなりファンタジーなこの状況を受け入れている様子に驚く。

「それで。今日ヨウイチと一緒に来た理由なんですが。

今はコール画面のヨウイチはグレイアウトしていて、コール出来ない状態ですが。

次、ヨウイチがゲーム世界に戻ってコール出来るようになったら僕がコールします。

と言う事をお伝えにきました。」

ん?

どう言う事だ?

自分がヨウイチと一緒に俺達より先にダンジョン攻略するという宣言か?

でも、そんな雰囲気は無い。

思わずギルド長に目が行くが、同じく疑問を浮かべた目だ。

「それは?どう言う事だ?」

聞くと、可愛らしくと言う表現を使うのもどうかと思うが・・・可愛らしく小首を傾げながら

「えっと・・・?

システム上、僕がヨウイチをコールする事は出来ると思いますが・・・。

もしかして、コチラではゲームと違って最初に呼んだ人しかコール出来なくなる仕様だったりしますか?」

仕様の確認をしてきた。

一度目にヨウイチが戻った後、二人で確認をしていた。

情報開示にもなる内容なのでギルド長を見るが、ギルド長は怪訝そうな顔をしているだけだったので分かっている範囲で答える。

「いや、コールは一度ヨウイチが帰れば俺以外でも出来る。

・・・はずだ。

グロースのコール画面は、一度帰った後は呼べる状態になっていた。

ただ、俺が聞きたいのは何故“君が”コールしないといけないのか?と言う事だ。

コールは、・・・ヨウイチが言っているからコールと言っているがゲーム内でのレンタルだ。

ゲーム内同様レンタル料がかかる。

『フォルティス』は巨大ギルドで、そのギルドマスターの俺にはいろんな特典がある。

そのおかげでレンタル料を全く気にしないでいい状態なんだ。

グレイアウトしていたという事は、レンタル料も見えてないよな?

通常プレイヤーには、少々キツいと思うぞ。」

料金の事がちゃんと頭に入っているのか疑問だったのでアドバイスも含めて言ったのだが、すぐに無理だと言う反応が無く考え込んでいる。

ゲーム内通貨は潤沢なのか?

それに、あのクリア条件を達成しているプレイヤーなんだよな?

目の前のケーボーは、俺から見れば小柄で線が細いからそう思っていなかったが・・・もしかしたら高ランクプレイヤーなのか?

そう言えば、所属ギルドを聞いていないな。

「そう言えば、ケーボー。

君の所属ギルドはどこなんだ?

聞いていなかったな。

人見町ひとみちょうのダンジョン条件を満たしていると言う事はかなりのレベルだろうとは思うんだが・・・。

それに、あの魔法陣に行った時点で条件を満たしていたのか?

それとも、まさかとは思うが、昨日今日でクリアしたのか?

まさかだよな?」

まさかだよな・・・昨日今日で達成できる条件じゃない。

俺だって、その条件だけに集中したとしても無理だ。

そう考えると、日頃からソロクリアをしていたと言うことだ。

とは言え、中級はまだしも上級ダンジョンのソロクリアはなかなかにハードだ。

それをこなせるという事は、やはり高ランク高レベルのプレイヤーだろう。

そう言うプレイヤーなら所属ギルドも有名だろうし、フルネームが聞ければランカーかどうかもわかるんだが・・・。

フルネームをギルド外に明かさないプレイヤーも多い。

・・・聞くだけ、ダメもとで聞いてみるか?

「僕は、ギルド『リースト』のギルドマスターです。」

『リースト』?

??

記憶をかするが・・・・。

知っているギルド名のはずだ。

記憶を手繰たぐっていると

「『リースト』のギルドマスター。

『フォルトゥーナ』の所持者5人の内の一人。

『ケ=ツゲボー=ボー』。

だよ。」

ヨウイチが、わからないの?と言わんばかりに言い放つ。

『フォルトゥーナ』の所持者!!!???

『ケ=ツゲボー=ボー』!!??

あの?!

あの???!!

この目の前の線の細い人物がそうだと言うのか!????

最初期以外は、ギルド長にギルドメンバーの勧誘や申請者の許可却下を任せているのだが。

女性ギルド長が、名前が下品すぎて即刻却下した!

と言っていた人物だ。

その後個人ランキングで毎回20位以内に入っていて、頑張ってるなー。と思っていた。

確か、・・・・一人ギルドだったんじゃ?

それでギルド名をあまり覚えてないのかも。

一人ギルドじゃギルドランキングには全く出てこないし。

名前のインパクトが有りすぎて、ギルド名覚える必要も無いというか・・・。

目の前の、顔を真っ赤にしてうつむいている青年を見て

みんなの予想がことごとくハズレていた事が面白く、少し口元がゆるむ。

みんなさんざんな予想をしていたからな。

毛むくじゃらの大男だとか、名前を見て女性が恥ずかしがったり悪態をつく事を想像して興奮する変態だとか、あるいは本当は女性だとか・・・女性説はナイだろ!と総ツッコミを受けていたけれど。

俺は、俺自身がキャラメイクしている事もあってその会話はスルーしていたが。

そうかー。

この目の前の青年が・・・。

「次のコールはケーボーがしてくれないかと頼んだのは俺だ。

ケーボーが了承した以上、“レンタル料”に関しても大丈夫と言う事だろう。

とにかく、俺はケーボーとダンジョンに入る。」

『ケ=ツゲボー=ボー』の正体に驚いている間に、ヨウイチが宣言している。

何故、ヨウイチがそう頼んだのか。

・・・・。

もしかして、ギルド長となにかあったか?

ギルド長と目を合わせながら、一度ギルド長と二人で話す時間を取った方がいいのか迷っていた。




ーーーグロースーーー

少し間が空いた後

「あの・・・。

『フォルティス』のギルドマスターのフェーリさんで間違いないんですよね?」

ヒョロガキがためらいがちにギルマスに聞いている。

「ん?あぁ。間違いない。」

「そうですか。

じゃぁ女性でキャラメイクしたと言うことですね。」

「あ・・・あぁ。そういうことだ。」

ぷふぅっー。

思わず吹き出しそうになるが、心の中だけで吹き出した。

ヒョロガキの、へぇ~って顔も面白いが

その反応を受けてギルマスがダメージ食らってる顔も笑える!

そうなんだよ!

リアルキャラがゲーム内キャラと違うのは、ある程度覚悟できているが

あんたは違いすぎなんだよっ!

「前回、ここでお会いした前日。

お昼ご飯を終えた後、ヨウイチに声をかけられました。

ーーーーー。」

ヒョロガキの話を、あまり意外性も感じず聞いていると

「それで。今日ヨウイチと一緒に来た理由なんですが。

今はコール画面のヨウイチはグレイアウトしていて、コール出来ない状態ですが。

次、ヨウイチがゲーム世界に戻ってコール出来るようになったら僕がコールします。

と言う事をお伝えにきました。」

最後にぶっ込んで来やがった!

それは、なんだ?俺達への宣戦布告か?

レンタルキャラ奪って、先にダンジョン攻略します宣言か?

こっちを見てきたギルマスと目を合わせた後、ヒョロガキを睨む。

「それは?どう言う事だ?」

ギルマスの質問に、ヒョロガキが理解できない顔で首を傾げる。

「えっと・・・?

システム上、僕がヨウイチをコールする事は出来ると思いますが・・・。

もしかして、コチラではゲームと違って最初に呼んだ人しかコール出来なくなる仕様だったりしますか?」

的外れな質問で返して来やがった。

ギルマスが俺を見てきたので、目を合わせ。

おちょくってんのか?と、剣呑な目つきになってヒョロガキを睨む。

「いや、コールは一度ヨウイチが帰れば俺以外でも出来る。

・・・はずだ。

グロースのコール画面は、一度帰った後は呼べる状態になっていた。

ただ、俺が聞きたいのは何故“君が”コールしないといけないのか?と言う事だ。

コールは、・・・ヨウイチが言っているからコールと言っているがゲーム内でのレンタルだ。

ゲーム内同様レンタル料がかかる。

『フォルティス』は巨大ギルドで、そのギルドマスターの俺にはいろんな特典がある。

そのおかげでレンタル料を全く気にしないでいい状態なんだ。

グレイアウトしていたという事は、レンタル料も見えてないよな?

通常プレイヤーには、少々キツいと思うぞ。」

話が逸れてるよな?

宣戦布告か?って事を確認するんじゃ無いのか?

・・・。

ただ、目の前のヒョロガキの様子にそういう雰囲気が皆無だ。

なんで、レンタルキャラを自分がレンタルするって言ってるんだ?

「そう言えば、ケーボー。

君の所属ギルドはどこなんだ?

聞いていなかったな。

人見町ひとみちょうのダンジョン条件を満たしていると言う事はかなりのレベルだろうとは思うんだが・・・。

それに、あの魔法陣に行った時点で条件を満たしていたのか?

それとも、まさかとは思うが、昨日今日でクリアしたのか?

まさかだよな?」

まさかだろ!

あの条件を、一日二日でゼロからクリアするなんて出来るはず無い。

俺やギルマスと同じく日頃からソロクリアしていたはずだ。

上級ダンジョンのソロクリアは、結構大変なはずだが。

もしかして、目の前のコイツからじゃ想像できない有名プレイヤーだったりするのか?

「僕は、ギルド『リースト』のギルドマスターです。」

『リースト』!!

『リースト』だと?

あのぼっちギルドの?

と言うことは

「『リースト』のギルドマスター。

『フォルトゥーナ』の所持者5人の内の一人。

『ケ=ツゲボー=ボー』。

だよ。」

やっぱりか!

ヨウイチの補足情報で確定した。

チート野郎だ!

「次のコールはケーボーがしてくれないかと頼んだのは俺だ。

ケーボーが了承した以上、“レンタル料”に関しても大丈夫と言う事だろう。

とにかく、俺はケーボーとダンジョンに入る。」

ギルマスに目が行く。

俺は、ヒョロガキからの宣戦布告ではなく、レンタルキャラからの宣戦布告だった事に驚いて。

ギルマスの目の表情はよく分からなかったが、俺と同じような事を思っているだろう。

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