第3話 先ずはご飯だよね?
ファミレスの席についた。
「僕は夜ご飯ここで食べちゃうつもりだけど、ヨウイチ君はどうする?」
店に入って来た時にグルリと店内を見渡した後は、よく来る場所のような気楽さを感じさせる雰囲気のヨウイチに話しかける。
少し驚いたように目を見開いて、周りを見回しだした。
「? どうかした?」
さっきまでの軽快な様子が無い事に驚いて聞いてみた。
「・・・あ、いや。俺はいいや。」
と答えた後に何かつぶやいている。
何だろう?と気にはなったが、とりあえずスルーする。
ココに来たら頼むお気に入りメニュー、ハンバーグとステーキのコンビにサラダ付きご飯セット。スープをコンソメからコーンスープにアップして、ホクホク顔で注文をした。
ヨウイチ君にも何か頼むよう促したけれど、首を思いっきり振って「イラナイ」と言われた。
何も頼まないのは、お店にも悪いし自分だけ食べて相手の前に何もないのは居心地が悪いので勝手にドリンクバーを二人分頼んだ。
ドリンクバーで好きなのを注ぐよう勧めたら、ティーバッグのお茶を淹れていた。
注文の品が運ばれてきた。
「いっただきまーす」とルンルンで食べ始める。
ヨウイチは変わらず飲み物を飲みもせずに、宙を見るような目をしている。
食事を食べ終えて、飲み物をおかわりして席に着く。
覚悟を決めて話を聞こうと座り直す。
「ごめんね。お待たせ。」
とヨウイチに声をかけた。
ヨウイチも、ふるっと頭を振った後に座り直した。
ーーヨウイチーー
ケーボーについてファミレスに入った。
ぐるりと見渡して、やっぱりここも弱いのばっかりだ。警戒は必要ないな。
食堂か?皆何か食べている。でも・・・まぁいっか。
席についた。
「僕は夜ご飯ここで食べちゃうつもりだけど、ヨウイチ君はどうする?」
と言うケーボーに驚いて、もう一度周りを見回す。
マジか!
まぁでも、今のケーボーはいつもと違うみたいだし・・・大丈夫・・・なのかな。たぶん。
「? どうかした?」不思議そうに聞いてくるケーボーを見る。
ケーボーには普通の事のようだ。
「・・・あ、いや。俺はいいや。」
と答えた。
でも、周りの皆が食べてるアレ。
皆は大丈夫なのか?
ステータス情報が確かなら、ダンジョン内で用意されてても食べないだろ。
考えてたら、ケーボーが更に注文を勧めてきた。
特にウラは無さそうなので、気遣っての事だろうけれど。
キッパリと「イラナイ」と首を振った。
にもかかわらず、何かを二人分注文している。
注文しないと居られない場所なのだろう。
確かに、俺が知ってる食堂のようなオープンスペースの店の適当さは無いな。
ケーボーが飲み物のコーナーで好きなのを注ぐよう勧めてきたので、一番大丈夫そうなティーバッグのお茶を淹れた。
ほどなくして、ケーボーが注文した料理が運ばれてきた。
「いっただきまーす」と大好物を食べる子供のような顔で食べはじめた。
ステータスに注目していると、マイナスポイントは確かに反映されている。
やっぱりな・・・。
ただ、HPに相当すると思われる数値は跳ね上がった。
その為だけにコレを食べてるのか?
でも、バッドステータスの効果がでかすぎるだろ!?いくらなんでも。
ケーボーが食べている間 暇なので、周りの人間のステータスを観察する。
「ごちそうさまでした。」食べ終わったケーボーが飲み物を飲みほして席を立った。
おかわりか?
飲み物を持って戻ったケーボーが、ホゥと息をついて居住まいを正した。
「ごめんね。お待たせ。」
ケーボーは満足げだ。
まぁいいや。頭をふるりと一振りして、とりあえずスルーと決めた。
ーートオルーー
距離を取りながら二人の後を追う。
よく同僚が行くと聞いているファミレスに入って行った。
しばらく入るかどうか迷ったが、同僚が心配な気持ちが勝った。
もし気付かれても偶然だと言えばなんとか・・・・・・苦しいか?まぁいい、その時の成り行きで考えよう。
テーブルに案内された。
同僚から程よい距離感。
ただ、話の内容は全く聞こえない。
表情や雰囲気で様子を探るしかない。
同僚は、夕飯をココで済ませるようだ。
相手にメニューを指して話しかけているが、相手は首を振っている。
どうやら注文をしないらしい。
たかられている訳ではないようで少しホッとした。
ファミレスの食事以上の何かを狙われている可能性はまだあるが。
同僚が食べている間、同僚や周りの人を観察しているらしい相手を観察する。
年齢がわかりにくい外見だ。
10代後半と言われても20代と言われても、へぇ〜と納得しそうだ。
佇まいは、あまりにも自然体過ぎて隙が無いような・・・まぁ武術の心得なんて無いから実際 隙があるとか無いとか分からないんだけど。ただ自分の方が弱いだろうと思わせる落ち着きがある。
食べ終わって飲み物も準備した同僚が話しかけたようだ、相手も座り直して同僚と向き合う。