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第24話 ヨウイチ 1日目

喫茶店を出て大股で歩くコール主について行くと

「とりあえず、一回上に上がるぞ!」

気合いの入った声で言われる。

上?

建物に上るんだろうか?

ついて行くと

もしかしてココってトオルが言ってた“駅”?

「切符だ」

と小さい紙を渡される。

そのまま歩いて行くコール主について行くと

ピコンピコンピコン!!!

大きな音がして、通路が閉まった。

「何やってる?」

振り返ったコール主が

「あぁ・・・。」

何かを納得したように頷き

「さっき渡したコレ(顔の横に掲げる)。

切符をその切れ込みに入れろ(横向きに持ち、差し出すジェスチャーをする)。」

見ると差し込めるような切り込みがある。

そこに“切符”を近付けると吸い込まれた。

通路が開いたのでコール主に近付く。

「出てきた切符を取れ。」

見ると半分くらい出た“切符”が有る。

それを取ってからコール主について行く。

無言のままイスに座ったコール主の横に座る。

動き出した・・・。

窓の外を見て、コール主の顔を見るが腕を組んで目を瞑っている。

コール主は何もしゃべりそうにないのでマップを開く。

マップがどんどんと新しくオープンになっていく。

トオルが言っていた方法がコレか・・・。

確かに速い。

「降りるぞ」

声をかけられてついて行く。

駅から出て、かなり大股で足早に歩くコール主について行くと

前方に魔法陣が光っているのが見えた。

「アレ。見えるか?」

指さして聞かれ、無言で頷く。

「よし。」

魔法陣の中で立ち止まる。

「お前も一緒に入れ」

そう言われて魔法陣の中に立つ。

背の高い男がいつ来たのか、一緒に魔法陣の中に入り

コール主が二人の肩に触れ

「・・・」

何か言った。

今なんて言った?

そう思った瞬間目の前の光景が変わる。

見慣れたダンジョン入り口前の光景だ。

!!!

戻って来れた?!

そう思ってマップを開いたが、今居るブロック以外マップがオープンになっていない。

え?

どこだ?ココ。

そう思ってコール主を見ると装備品を着けて武器を取り出していた。

「お前も準備しろ。」

声をかけられ、言われたとおり準備する。

「準備が出来たら行くぞ。」

背の高い男に言っている。

「お前は、回復メインで余裕が有れば強化だ。」

指示される。

「わかった。」

頷くと二人がダンジョンに入って行く。

二人について入ると、開けたスペースの奥に細い通路が有るようだ。

人二人分の幅だろうか・・・。

ただ、この二人は体が大きいから二人並べないだろうな。

そう思いながら観察していると、通路のすぐ手前に

ぽわん と何かが現れた。

なんだアレ?

握り拳2個分位の白い物が浮いている。

初めて見る。

「コレの威力を一度見ておけ。

お前も端に寄れ。」

コール主に声をかけられ、通路入り口の反対側に寄る。

矢に持ちかえた背の高い男が射る。

命中した瞬間大爆発が起こる。

見た目以上の威力に驚いた。

二人を見ると体力ゲージが減っている。

回復魔法をかける。

この程度のダメージならこまめに回復の重ねがけでいいだろう。

回復を重ねがけして全回復した二人が通路に走る。

「お前も早く来い!」

と言われ走ってついて行く。

通路に飛び込み、二人の後ろについて行く。

しばらくするとまた前方に

ぽわん とさっきのが現れた。

「回避して進め」

そう言われ、触らないように避けて進む。

また

ぽわん と前方に現れた。

ただ、今度は2個だ。

「触るなよ!」

と注意され、屈んで避けて進む。

しばらくするとまた

ぽわん と前方に現れる。

今度は4個だ。

??!

倍倍で出現?

1個であの爆発力だから・・・。

あと何回か倍々で出現したのが爆発してダメージくらったらダウンなんじゃないかな?

そう思いながら避けて進む。

しばらくするとまた現れる。

予想通り、今度は8個だ。

出現のタイミングは何が基準だろう?

移動距離?時間?

現れる場所は、たぶん同じ場所だ。

進行方向のおおよそ10歩先。

次は16個が現れる。

少し密集気味に現れるから、正確な出現数を数えるのは難しくなってきた。

これも回避して進む。

これ。

このままじゃヤバイんじゃ?

どうするつもりなんだろう?

次はまだいいだろうけど、その次辺りで通路をかなり塞がれて回避できないと思う。

32個が出現する。

ギリギリ回避して進む。

出現条件が時間にしろ、距離にしろ、そろそろ現れるタイミングで二人に防御強化をかける。

出た。

64個。

通路をかなり塞いでいる。コレの回避はキビシい。

立ち止まった二人が後ろに下がってくる。

それに合わせて一緒に下がる。

距離をとり、さっきと同じく背の高い男が矢を射る。

矢は一番手前の1個に当たり爆発する。

その爆発の影響で次々と爆発し、大爆発になる。

二人に次々と回復魔法をかける。

回復魔法無しでは、ダウンするだろうと思われるダメージ量だ。

爆発が収まり、二人をほぼ全回復まで回復させ、最後に自分に全回復をかけ立ち上がる。

「よし!今の内だ!走れ!」

コール主に言われ走る。

そして、また

ぽわん と現れ始めた。

次が8個出現のタイミングで先頭の背の高い男が立ち止まる。

先を見ると背の高い男が剣で戦っているようだ。

戦闘が終わるまでの間に、後ろを振り返る。

ぽわん と現れて浮いていたはずの場所から姿が消えていた。

追い越したら消えるのか?

・・・どうなんだろう・・・。

戦闘が終わって、また走り出す二人について行く。

64個出現で矢を射て一掃して進む、の繰り返しで進んでいく。

後どのくらい繰り返したら、次のエリアに行けるんだ?

そう思いながら走ってついて行くと、先頭の背の高い男がフッと曲がった。

俺のマップでは通路以外無いが、ついて行くと小部屋が有った。

マップをもう一度見ると、小部屋が表示された。

へぇ、ココまでは探索済みだったのか。

この小部屋の出現条件は何だったんだろう?

3人が入ると、コール主が

「この間は調べる時間がなかったから、この部屋を調べる。

お前も手伝ってくれ。」

背の高い男に言って、二人で小部屋の中を調べ始めた。

ぺたぺたと壁を触り、床を触り、コンコンといろんな場所を叩く。

ひとしきり調べた後。

「やっぱりココはセーブポイントが無い部屋のようだな。」

・・・・。

二人の様子を見ながら、自分の中の引っかかりを考える。

なんだろう・・・。

ケーボーとトオルと一緒に居た時のほんわりあたたかい感じがこの二人からは感じられないよな・・・。

俺に指示以外で話しかける事も無いし、意見を聞こうとする様子もない。

まぁ、それは今までのコール先でのあたりまえと言えば言えるんだけど。

ケーボーだって、ダンジョンで俺に意見を求めたりする事はなかったしな。

でも、ケーボーにコールされるのって好きだったんだよな。

ケーボーのコールでは、レアアイテム持って帰れる事が多かったし。

何より、最後の「ありがとう。助かったよ。また一緒に冒険しよう!」って言葉が嬉しかったんだよなー。

・・・。

小部屋を一周回った後考え込んでいるコール主を遠目に見ながら、小部屋をグルリと回ってみる。

一番奥に行った時にマップの次のブロックがオープンになって、セーブポイントが表示された。

かなり分厚い壁を挟んで向こう側。

その場所に行く為の道は全くわからないけれど、有るのは有る。

どうするかなー。

なんとなく言いたくないけれど、家に帰るためだ。

しょうがない。

コール主に呼びかけようと口を開いたが、

・・・。

あれ?

でも、さっきコール主も歩き回って調べてたよな?

なんでわかってないんだ?

俺のマップと機能が違うんだろうか?

ん~・・・。

・・・。

もうしばらく様子を見てから話すかどうか決めよう・・・。

考え込んだ後話し合っていた二人が、顔を上げてこちらをみた。

「今日はここまでにして下りよう。」

小部屋を出て、入り口方面に歩く。

時間が経っても移動距離が長くなっても、さっきの

ぽわん と出現していたのは最後まで出現せず元のダンジョン入り口前のエリアに戻ってきた。

やっぱり、奥に行く時しか現れないようだ。

ダンジョン入り口前に出てくると、端の方に光っている魔法陣が有った。

中に入ると、最初の魔法陣の中に居た。

周りの光景が、ケーボー言うところの“異世界”だ。

「よし。

今日は帰ろう。

ただ、俺は明日からしばらく出張だ。

お前の家で預かってくれ。」

俺の事を話しているようだ。

「了解」

コール主が俺に向かって、

「と言う訳だ。

出張から帰ってくるまで、こいつの所に居てくれ。」

「わかった。」

と答える。

「ダンジョンに行くなら、絶対に無理はしないようにな。」

背の高い男にコール主が声をかけて、歩き出した。

背の高い男は、無言のまま歩き出す。

ついて行く。

無言のまま歩き続ける背の高い男について行く。

かなり歩いた後、背の高い男の家に着いたようだ。

鍵を開けた男がドアを開け顎をしゃくって入るように促す。

男の脇をすり抜けるように中に入る。

男は床に寝転がり、

「俺はもう寝る。お前も適当に寝ろ。」

とだけ言って寝息をたてはじめた。

・・・・・・・・。

寝るか・・・。

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