表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/63

第2話 フルネームで呼ばないで T ^ T

待ち合わせ場所で待っていた相手に軽く手を上げながら近づき、

「お待たせ」

にこやかに挨拶しようとしたけれど、顔がこわばっているのが自分でもわかる

それに対して

「おぅ!」

と手をひらりと振って気軽に応える人物。

一瞬、また宙を見るような目をして何かに気づいたようにピクリと反応したけれど、何事も無かったように目線を戻して

「二人でゆっくり話せる場所ってある?」

と聞いてきた。

どうしよう?

家はイヤだし。

個室になっている居酒屋とも思ったけれど、空間に二人きりになるのは正直怖い。

となると、周りに人が居て、尚かつザワついていてわざわざ他人の話に聴き耳を立てないと思われるファミレスがいいかな?

「あ…の。名前聞いてもいいかな。」

呼びかけようとして知らない事に気づいて尋ねた。

聞いた途端に、眉をよせて眉間に深いシワを作った怪訝な顔で見つめられる。

「名前??…ステータスで見れるだろ?」

えー!?この人アレか!

脳内作成したステータス画面がゲーム内同様有るってていで生活しているイタい系の人!

うゎーどうしよう。

せっかく心配してくれてたんだし、ついてきてもらえば良かった(><)

動揺して考えていたら、会話に間が開いた。

じっと僕を見つめてた相手が、

「確認したいんだけど。いいか?」

と聞いてきた。

うなずくと

「まず、おまぇ…じゃなくて。え…と、君?

君は、ケーボーなんだよな?

『リースト』ギルドのマスターで、武器『フォルトゥーナ』の所有者のケーボーこと、ケ=ツゲボー=ボー マスターで間違いないよな?」

顔がまた熱くなったが、情報に間違いは無いのでうなずく。

「で、今現在はステータス画面が見えない状態って事か? それで、それは異常状態ではなく、ケーボーにとっては正常な状態って事なんだよな?」

コクコクとうなずく。

腕組みをして考えていた相手が、うんとうなずくと笑顔で右手を差し出してきた。

「俺はヨウイチ。よろしくな。」

人好きのする、警戒心が解かれる笑顔に

「あ、よろしくお願いします。」

と素直に握手を交わす。

「で、ずっとココで話をするのもナンだし。

どこかに落ち着いて話さないか?」

確かにそうだ。

「わかった。二人きりになれる訳じゃないけど、ファミレスに行こうかと思うんだけどいいかな?」

「オーケー!じゃそこに行こう。」

快諾したヨウイチの目線が自分の斜め後ろにいく。

今回は宙を見る目じゃなかった。何だろう?

そっと振り返って見たけど何も見当たらない。

ヨウイチにうながされてファミレスに向かう。



ーー ヨウイチ ーー

待ち合わせ場所に来たケーボーが軽く手を上げながら

「お待たせ」

と近付いてきた。

顔がこわばっているケーボーに戸惑いながら

「おぅ!」

と手をひらりと振った。

ステータスを確認すると、変わらず混乱中…。

あれ?ひも付けされてる?

ラインを追うと、さっきケーボーと一緒に居た人物が居る。

一緒に来ないのか?

ま、いっか。

ケーボーに目線を戻して

「二人でゆっくり話せる場所ってある?」

と聞いた。

少し考えたケーボーが

「あ…の。名前聞いてもいいかな。」

と聞いてくる。

イヤイヤ!さすがにそれは無いだろ。

混乱中とは言え、ステータス見りゃわかる事を!?

「名前??…ステータスで見れるだろ?」

そう言うと、ケーボーがまるで可哀そうな人を見るような目をしてちょっとのけぞる。

混乱アイコンが更に混乱中になった上に、もう一つアイコンが付く。

このアイコンって、モンスターが出会い頭によく浮かべるアイコンだよな…。

警戒してる とか、攻撃体勢に入る時のアイコンだったはず。

と言う事は、もしかしてケーボーはステータス表示を見られない状態なのか?

じゃ、秘匿モードにしてないのも

“してない”んじゃなくて”出来ない”と言う事だろうか?

じっと見つめながら考えるけれど、推測じゃわからない。

真正面から聞いてみるしかないな。

「確認したいんだけど。いいか?」

ケーボーが頷く。

「まず、おまぇ…じゃなくて。え…と、君?

君は、ケーボーなんだよな?

『リースト』ギルドのマスターで、武器『フォルトゥーナ』の所有者のケーボーこと、ケ=ツゲボー=ボー マスターで間違いないよな?」

何故かケーボーがまた顔を赤くしながら頷く。

だよなー?そうステータス表示に出てるし。

「で、今現在はステータス画面が見えない状態って事か? それで、それは異常状態ではなく、ケーボーにとっては正常な状態って事なんだよな?」

ケーボーが何度も頷く。

マジか。

じゃどうすりゃいいんだ?

名前も知らない初めて会った相手だと思われてるんだよな?

……。

んじゃ、初めまして からやり直すか。

よし。自分で自分に答えるようにうんと頷き。

笑顔で右手を差し出した。

「俺はヨウイチ。よろしくな。」

いつも初対面の人と交わす挨拶と笑顔で握手を求める。

「あ、よろしくお願いします。」

とケーボーも素直に握手を交わす。

んじゃとりあえず移動だな。

「で、ずっとココで話をするのもナンだし。

どこかに落ち着いて話さないか?」

と言うと。

「わかった。二人きりになれる訳じゃないけど、ファミレスに行こうかと思うんだけどいいかな?」

ファミレス??なんだ?

まぁいいや、場所はケーボーの混乱が落ち着くように、ケーボーが選んだ場所の方がいい。

「オーケー!じゃそこに行こう。」

歩き出そうとして、ひも付けされてる人物が出て来ない事に引っかかる。

何か仕掛けて来るつもりか?

チラリとケーボーの斜め後ろに居る人物に目線を向けたが、相手がスッと壁に体を隠したので、存在を警戒しながら歩き出した。

まぁ勝てない相手じゃなさそうだし大丈夫かな。



ーー トオル ーー

同僚に気付かれないように遠目で様子をうかがう。

待ち合わせ場所で合流した二人が何か話している。

途中二人とも何か考え込んでいる様子だったが、相手から手を差し出されて握手を交わしている。

どういう関係だ?

二人連れ立って歩き始める前に、相手がチラリとこちらを見た気がして壁に体を隠した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ