第19話 この後はどうするの?
席を立つものゴッツい男を見送るとトイレに行ったようだ。
それを見送っていた背の高い男が無言で立ち上がり、トイレに入った。
3人になったので、
「ヨウイチ、あの人がコール主で間違いないの?」
と顔をのぞき込んだ。
「たぶん。
最初に話した通り俺からはコール主が誰か知る方法は無い。
でも、コール時間・・・コールされてからの経過時間がステータスの端に表示されているんだが、それが合っていた。
コール主以外で答えられそうなのは、すぐに会ったケーボーとトオルくらいだろう。
今まで俺のマップ内に表示されなかった人物が分かるはずがないから、間違いなくコール主だと思う。
ただ・・・。
ケーボーもそうだけどケーボー以上に、前とずいぶん見た目が違う。」
トオルと目を見合わせる。
「じゃぁ、この後はどうするの?」
恐そうな二人だったし心配になって聞いてみると
「ま、コール主について行くしか帰る方法無いだろうから、ついて行くことにするよ。」
肩をすくめて言うヨウイチを見た後トオルと目を合わせる。
「一つ確認したい。」
トオルが顔だけでなく体ごとヨウイチに向き直り真剣な顔をして
「あの二人、もしくはあの二人を含む複数人から逃げることは出来るか?」
ヨウイチは、“?”を浮かべている。
「つまり、あの二人が非道い人間だった場合の話だ。
体格差がかなりある。
ヨウイチの身体能力が高いのは知っているから、大丈夫だとは思うが・・・なんだ、ステータス?だったかな?
ステータス的に同格なのかどうかを聞いておきたい。」
ヨウイチをジッと見つめている。
ステータス的に同格か?
ヨウイチが僕がよくレンタルしていた妖精タブの1番目のキャラクターなのだとしたら、まぁまぁ大丈夫だと思う。
けど、確かに少し心配になってしまう。
最初に来たものゴッツい男の方はまだいいとして、次に来た背の高い男はイヤな感じだ。
「んー・・・まぁ、大丈夫かな。
ダンジョンで俺を囮や盾に使うヒドイ奴なんてごまんと居るし、それでダウンして一定時間復活が無ければ帰れる。
問題ない。」
確かに。
ヨウイチがレンタルキャラなのだとしたら、プレイヤーは盾や囮に使っても非道いことしてるなんて思わないもんなー。
ヨウイチの目的が家に帰る事だから、コール主について行くしかないんだろうしな・・・。
「そうか。ヨウイチがそう言うのなら、俺がこれ以上口を挟む事じゃないな。
無事家に帰れるといいな。」
そう言って笑顔を向ける。
「あぁ、ありがとう。
昨日からすごく世話になった。」
頭を下げる。
「二人に使わせてしまったお金は、今は返せそうにない。
この先返せる機会があれば必ず!」
頭を下げたまま言うヨウイチに
「了解。」
笑顔のままトオルが答え
「あ、うぅん。気にしなくて良いよ。」
僕も慌ててヨウイチに答えた。
僕もヨウイチに何か一言言おうかと口を開きかけたが、戻ってくる二人を目にして口をつぐんだ。
ーーーヨウイチーーー
コール主が席を立ち、続けて背の高い男も席を立つ。
3人になった所でケーボーが
「ヨウイチ、あの人がコール主で間違いないの?」
顔をのぞき込みながら聞いてくる。
「たぶん。
最初に話した通り俺からはコール主が誰か知る方法は無い。
でも、コール時間・・・コールされてからの経過時間がステータスの端に表示されているんだが、それが合っていた。
コール主以外で答えられそうなのは、すぐに会ったケーボーとトオルくらいだろう。
今まで俺のマップ内に表示されなかった人物が分かるはずがないから、間違いなくコール主だと思う。
ただ・・・。
ケーボーもそうだけどケーボー以上に、前とずいぶん見た目が違う。」
俺の返事を聞いたケーボーがトオルと目を見合わせ
「じゃぁ、この後はどうするの?」
心配そうな顔で聞いてくる。
「ま、コール主について行って条件クリアするしか帰る方法なさそうだから、ついて行くことにするよ。」
肩をすくめて答える。
「一つ確認したい。」
トオルが真剣な顔で口を開いた。
「あの二人、もしくはあの二人を含む複数人から逃げることは出来るか?」
質問の意味がわからない。
「つまり、あの二人が非道い人間だった場合の話だ。
体格差がかなりある。
ヨウイチの身体能力が高いのは知っているから、大丈夫だとは思うが・・・なんだ、ステータス?だったかな?
ステータス的に同格なのかどうかを聞いておきたい。」
ステータス的に同格か・・・?
“同格”をどう捉えるかで違ってくるんだが・・・。
そこが問題じゃないんだろう。
あの二人と対等な関係になれるかと言うことだろうな。きっと。
まぁ、コール主と俺って別に上下関係が有る訳じゃない。
ただ、コール主の指示通りにダンジョン内でサポートすると言うのがコールだから、指示には無条件で従うけどね。
それでダウンしても俺にペナルティないし。
「んー・・・まぁ、大丈夫かな。
ダンジョンで俺を囮や盾に使うヒドイ奴なんてごまんと居るし、それでダウンして一定時間復活が無ければ帰れる。
問題ない。」
俺の答えに
「そうか。ヨウイチがそう言うのなら、俺がこれ以上口を挟む事じゃないな。
無事家に帰れるといいな。」
トオルは笑顔を向けてくれる。
「あぁ、ありがとう。
昨日からすごく世話になった。」
頭を下げる。
「二人に使わせてしまったお金は、今は返せそうにない。
この先返せる機会があれば必ず!」
頭を下げたまま感謝を伝える。
「了解。」
トオルが気軽な感じで答えてくれる。
「あ、うぅん。気にしなくて良いよ。」
ケーボーも機嫌が悪くなった様子もなく答えてくれた。
何かお返しが出来るチャンスがあれば、その時は必ず恩を返そう。
そう心に決めた。
ーーートオルーーー
席を立つ筋肉隆々の男。
気合いを入れていた俺は少々肩すかしを喰ったような気になったが、見送るとトイレのようだ。
だが、ドアの手前で少し立ち止まり横に腕を出す。
立てた腕を前に倒すような動きをする。
?
あまりに不自然な動きが何かのサインのようだ。
そう思っていたら、背の高い男が無言で立ち上がりトイレに行く。
“ついて来い”と言う意味のハンドサインだったのだろうか?
そう考えていると
「ヨウイチ、あの人がコール主で間違いないの?」
了がヨウイチに聞いていた。
「たぶん。
最初に話した通り俺からはコール主が誰か知る方法は無い。
でも、コール時間・・・コールされてからの経過時間がステータスの端に表示されているんだが、それが合っていた。
コール主以外で答えられそうなのは、すぐに会ったケーボーとトオルくらいだろう。
今まで俺のマップ内に表示されなかった人物が分かるはずがないから、間違いなくコール主だと思う。
ただ・・・。
ケーボーもそうだけどケーボー以上に、前とずいぶん見た目が違う。」
その答えに了と目を見合わせる。
「じゃぁ、この後はどうするの?」
心配そうな顔で了が聞くと
「ま、コール主について行って条件クリアするしか帰る方法なさそうだから、ついて行くことにするよ。」
ヨウイチは気軽な感じで答え肩をすくめる。
了と目が合ったが考え込んでいるのかすぐに言葉が出てこないようだ。
俺は、しっかりとヨウイチが見えるように体ごと向き直り質問する。
「一つ確認したい。
あの二人、もしくはあの二人を含む複数人から逃げることは出来るか?」
ヨウイチは、“?”を浮かべている。
「つまり、あの二人が非道い人間だった場合の話だ。
体格差がかなりある。
ヨウイチの身体能力が高いのは知っているから、大丈夫だとは思うが・・・なんだ、ステータス?だったかな?
ステータス的に同格なのかどうかを聞いておきたい。」
ヨウイチの様子を見逃さないようにジッと見つめる。
「んー・・・まぁ、大丈夫かな。
ダンジョンで俺を囮や盾に使うヒドイ奴なんてごまんと居るし、それでダウンして一定時間復活が無ければ帰れる。
問題ない。」
気軽な感じで言う様子に無理は無さそうだ。
あの体格差を特に脅威に感じている様子もない。
まぁ・・・な。
あのビルに身体能力だけで上れるんだしな・・・。
心配は必要なかったか。
「そうか。ヨウイチがそう言うのなら、俺がこれ以上口を挟む事じゃないな。
無事家に帰れるといいな。」
笑顔で言うと
「あぁ、ありがとう。
昨日からすごく世話になった。」
ヨウイチが突然頭を下げる。
「二人に使わせてしまったお金は、今は返せそうにない。
この先返せる機会があれば必ず!」
頭を下げたまま言うヨウイチに少し驚いたが
「了解。」
と答える。
「あ、うぅん。気にしなくて良いよ。」
了も慌てて答えている。
返してもらわなくても全然良いんだが、ヨウイチはお金に関してはシビアと言うかナーバスな面があるようだ。
本人がちゃんと返したいと思っているのなら、その時はきちんと受け取ろう。
ファンタジーなヨウイチと又会えるのか分からないが、会えるのを楽しみにしておこう。
ーーーものゴッツい男ーーー
席を立った。
この場面で違和感ないのはトイレだろうとトイレに向かうが、ギルド長がついて来ていない・・・。
おぃ・・・。わからんか?!
しゃーない。
トイレのドアの前でハンドサインを送る。
席を立った気配がしたのでトイレに入る。
後を追ってギルド長もやって来た。
「さて、どうするか・・・。
最初にレンタルキャラと一緒いたのはプレイヤーだが、条件を満たしていないようだ。
アイコンがついていなかった。
後から来た男は、プレイヤーでさえないようだ。
お前が言ってた『他ギルドが横取り』説は無くなった。
で、
どうする?
説明するか?」
じっと聞いていたギルド長は
「必要ないでしょう。
条件を満たしていないと言う事は、弱小ギルドの弱小プレイヤーでしょう。
説明した所でこちらには何の利も無いでしょ。
だいたい、条件を満たしていないプレイヤーが信じるとでも?」
冷たく言い放つ。
ま、こいつはいつも口調が冷たいから、特に冷たく言い放ったと言う訳では無いのかもしれないが。
「そうだよな。
アレは、実際に見て体験しないと・・・。」
少し考え込む。
どう話を持って行くか。
・・・。
丸1日チョイ。
いつの時点で行動を共にしているのか分からないが、たぶん世話になったのは間違いないだろう。
お礼伝えて、後は説明無しの方向でうまく話を終えてあの二人とは別れよう。
よし。
「わかった。
じゃ、その方向で話を終わらせよう。
行くか。」
そう話をつけて、テーブルに戻った。
ーーー背の高い男ーーー
ギルドマスターが席を立ち、行き先を見るとトイレだ。
このタイミングでトイレかよ。
と思っていたら、ドアの前でハンドサインを送ってきた。
あぁ・・・。
打ち合わせか。
席を立ち、トイレに入るとギルドマスターがすぐに口を開いた。
「さて、どうするか・・・。
最初にレンタルキャラと一緒いたのはプレイヤーだが、条件を満たしていないようだ。
アイコンがついていなかった。
後から来た男は、プレイヤーでさえないようだ。
お前が言ってた『他ギルドが横取り』説は無くなった。
で、
どうする?
説明するか?」
その状況で、説明する選択肢が残ってる訳ないだろ。
「必要ないでしょう。
条件を満たしていないと言う事は、弱小ギルドの弱小プレイヤーでしょう。
説明した所でこちらには何の利も無いでしょ。
だいたい、条件を満たしていないプレイヤーが信じるとでも?」
そう言うと
「そうだよな。
アレは、実際に見て体験しないと・・・。」
とつぶやいて考え込む。
しばらくして
「わかった。
じゃ、その方向で話を終わらせよう。
行くか。」
俺は横に座っときゃいいだろう。
そう思いながらテーブルに戻った。