94/124
夏
私は彼を待つ。
今日は暑いから髪を結んでしまった。
蝉の声と人の喧騒。
屋台からは、ソースや甘い匂いが漂う不思議な空間。
世界がすべてお祭りになってしまったように錯覚する。
「明日、お祭りに行こうよ」
彼がそう誘ってくれた時、私の心には打ち上げ花火が舞った。
地上から一気に上空まで打ちあがった私の心は、即座に「うん」と返事をした。
心の空に花が舞った。
「お待たせ」
彼が来てくれた。
「浴衣似合うね。とてもかわいいよ」
「ん、ありがとう」
私は変な声を上げてにやけた。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
そう言って私たちは別の世界へと旅立つ。
私の手はいつの間にか彼の大きな手に握られていた。
ポニーテールが宙を舞った。




