侵略宇宙人(SF、新作)
「相変わらず、勉強熱心ですね」
部下のAは、私に言った。
我々は、マリウス星人。
移民先の惑星を求める者たちだ。
故郷を失った我々は、宇宙に散り散りとなり、新しい故郷を探している。
そして、我々はたどり着いたのだ。
新しい故郷となるべき惑星に……。
「課長は、ずっとあの惑星のデータを見ていますからね」
私は笑って答える。
「あの惑星、原住民は《地球》と呼んでいるが、あれは我々の希望なのだ。今回の作戦は、絶対に失敗できないのだ」
「それで、どうやって、あの惑星を奪うのですか? やはり、武力制圧ですか?」
Aは、若者らしく威勢がいいい。
「あの惑星の原住民をなめないほうがいい。確かに、 宇宙関連の技術はまだ、発展途上だが、軍事技術に関しては優れたものがある。レーダーを無効化する飛行機、恐ろしい威力を持つ核兵器、ネットワークシステムを混乱させる技術。すべてが、宇宙規模でみても、一級品だ。武力衝突したら、われらも大きな損害を出してしまうだろう」
「では、どうやって、あの星を……」
私はニヤリと笑う。
「わからないのか?」
「はい」
「寝て待てばいいんだよ。そうすれば、やつらは自慢の軍事力で勝手に自滅してくれるよ。じゃあ、俺は二百年くらい昼寝してくるから……」