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みどり
「ねえ、葉っぱの緑ってどんな色なんだろうね?」
彼女は僕に素朴な疑問をぶつける。
「そうだな。淡いようで、華やかで、生命を象徴しているような色なんじゃないかな?」
「キミは、緑色って色を見たことはある?」
「ううん、ないよ」
「図鑑とかも?」
「そんな貴重品、買えるわけないだろう」
「だよね」
ぼくたちの世界では、世界と言えば、赤く広がる荒野だった。
そこに生命は見つけられない。
でも、僕らの世界には、確かに緑は存在していた。
※
「ねぇ、もしパラレルワールドがあるとして、世界から色が消えていたら、キミはどうする?」
彼女は僕に素朴な疑問をぶつける。
「ぼくたちの色をふたりで見つけるんじゃないかな?」
僕は答えた。




