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詐欺師(ホラー、新作)
僕は人がいい。
そんな風によく言われる。
僕の短い人生の中で、何度も裏切られてきた。
いじめの黒幕が親友だったり、恋人は僕のほかにも恋人がいた。
彼らは、僕のお金が目的だった。
だまされるたびに、周囲の人は僕に言うのだ。
「あなたは、優しすぎる」
でも、それは間違っている。
僕は、だまされているのではないのだ。
僕は、彼らをだましているのである。
すべては、僕の欲求のため……
彼らが本性を明かしたとき、僕は高揚感に包まれる。
「ああ、これでまたひとり、僕は人を裏切ることができる」
僕の服は、赤く染まっている。