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イルミネーション(300文字小説)
「司令、目的地へと先行している偵察機より伝令です」
「うむ」
我らガヘミア第七艦隊は、惑星アースに向けて進軍中だ。
「なんだとっ」
我らの前には、光輝いた街並みが映し出された。
木に光の装飾をまとわせている。
そしてキスや手を繋ぐカップル。
まさか、あの陣容か……。
「宇宙人に告ぐ。おまえらの狙いはわかっている。我が軍の弾道は通常にあらず。イルミネーションの嵐が降り注ぐことになるぞ」
やつらは無言でこう言っていた。
イルミネーション。かつて、カミラ戦争の末期に使われた大量破壊兵器の俗称だ。
それは、われらガへミア人の精神を著しく汚染させる。
「撤退だ」
地球は再び救われた。




