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ば・く・だ・ん(ヒューマンドラマ)
「火遊びはいけないよ」
親はいつもぼくにこう言っていた。
大人は本当に勝手だ。
こどもに禁止しているのに、自分はライターやガスなど自由に使っている。
ぼくだって火を使ってみたい。
ぼくが口答えするといつもこう言う
「大人はいいの。火の使い方わかってるんだから」
ある日、近所の家が火事になった。天ぷらの油の不始末らしい。
家はとてもよく燃えていた。
まるで、爆弾が爆発したみたいだ。
「大人だってちゃんと火をつかえてないじゃん」
こころのなかでぼくはそうつぶやいた。
そして、決心したのだ。
ちゃんと火を使える大人になろうと。