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原始時代
目がさめると、そこは原始時代だった。
昨日は、2018年9月8日だった。
寝ていたはずの家は、跡形もなく吹き飛んでいて、俺は地面で寝ていた。
あるはずの街は、なにもかも消えていた。
家族の名前を呼ぶ。
当たり前のことだが、誰も返事がなかった。
スマホは俺の脇においてあったが、充電は切れていた。
昨日、充電しておいたはずだったのに……。
俺は、行き先もわからぬまま、荒野を歩いた。
荒野には、原始人のキャンプがあった。
俺は、そのキャンプにいた女に話しかけた。
「ここは、どこですか? 今は何年ですか?」
通じるわけがない。
俺は、現代日本語で話しかけているのだから……。
しかし、女性が笑いかけてきてくれた。
そして、彼女は流ちょうな日本語でこう言ったのだ。
「今日は、西暦2018年9月9日ですよ」と……。




