お料理ロボット(新作)
お料理ロボット。
それは、人類の大発明だった。
安価な金額で、家にプロの料理人を雇うことができる。
D社で発明されるやいなや、それは世界中に拡散された。
ひとびとは料理から解放されて、最高級の料理を家で楽しむことができるのだ。
この発明は、副作用もあった。
世界中のレストランは、お役ごめんとなり、次々と潰れていった。
それから、百五十年が経過した。
すでに、料理の方法は、ひとびとから忘れられて久しい。
プロの料理人は絶滅し、レストランという単語は古語辞典にしか載っていない。
レシピ本等は古書となり、ほとんど流通していなかった。
ひとびとは、【料理】といえばロボットがすることだと思っていたし、それをするなんて考えることもなかった。
そして、惨劇は発生したのだった。
【料理ロボットに新型ウィルス蔓延】
このニュースが発表された時、ひとびとは特に問題にしなかった。
壊れたら、新しいロボットを買えばいいくらいに思っていたのだ。
しかし、新型ウィルスはそんな甘いものではなかったのだ。
やつは、ロボットに侵入すると、独自のネットワークを構築し、感染を拡大させる。
それは、非常に巧妙な手口でおこなわれて、いつの間にかロボットの生産ラインまで蔓延してしまった。
そして、世界中の工場ラインに侵入すると、すべてを消滅させたのだった。
これにより、料理ロボットは絶滅した。
しかし、民衆はその深刻さに気がついていなかったのだ。
誰かが言った。
「新しいロボットに料理の仕方を教えればいいじゃないか」
専門家は答える。
「では、聞きます。どこに料理の専門家がいるんですか?」




