明日、世界が……(新作)
ある日、突然神さまが舞い降りた。
巨大な神さまは、わたしたちに向かってこう言ったのだ。
「わが子どもたちよ。残念だが、明日、汝たちの世界は滅亡する」
世界の時間が止まった瞬間だった。
みんな、パニックになった。
政府は慌てて、声明文をだした。
「あれは、神などではありません。悪質ないたずらです」
そんな話だった。
みんな「やっぱり」などと言って、落ちついた。
しかし、それは始まりにすぎなかった。
政府声明の一時間後、再び神は舞い降りた。
「ああ、おろかな民たちよ。わたしの言うことが信じられないのか。では、わたしが神である証拠を見せよう。今から一〇分後、火山が噴火し、大きな被害がでるだろう」
みんな、半信半疑だった。
しかし、一〇分後……。
ハワイのキラウエア火山が噴火した。
火山は大爆発を起こして、世界を灰色に変えた。
「あの予言は本物だったんだ」
「アルマゲドンがはじまる」
「終わりだ、もう、終わりなんだ」
世界中が大パニックとなった。
略奪、殺人、強盗……。
ありとあらゆる犯罪が世界ではくり広げられた。
わたしは、家族と一緒に家に閉じこもった。
ここが一番安全だから……。
ニュースやネットで情報を集めた。
隣国では、混乱のさなか、クーデターが起こり、独裁者が処刑されたらしい。
世界中の国が戦争状態になりかけている。
わたしがそのニュースを見た時、世界が大きく揺れた。
※
目がさめた時、わたしがみた世界は、死の街だった。
街がガレキの山になっていた。
意識がもうろうとした時、世界に神は降り立った。
わたしは朦朧とする意識のなか、彼の声を聞こうとした。
「独裁者……自暴自棄……刑寸前……ミサイル……報復……世界中……の炎……」
よく聞き取れない。しかし、最後の言葉は聞き取れた。
神さまは笑っていた。
「な? わしが言うとおり、世界は滅んだじゃろ?」




