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ゼロゼロゼロ(新作)
今日も、わたしが投稿した小説にはひとが来なかった。
投稿サイトの小説情報には、ブックマーク0、評価者0、感想0の3つの0が並んでいる。
「トリプルオーゼロ。殺しのライセンスじゃないんだから……」
わたしは、今の若い子には通用しないだろうネタで自虐する。
どうして、ひとがこないのか。
それはよくわかっている。
需要がないのだ。
「センスが古いんだよな、わたし」
その致命的な欠陥がわかっているのに、自分のやりたいように書いている。
わたしは、酷い頑固者だ。
「まあ、しかたないか」
少しだけ落ちこんで、わたしは新しい話を書き始めた。
「鳴かぬなら、鳴くまで書こうホトトギス」
さきほどの落ちこみなんてわたしはすぐ忘れてしまった。
わたしは、幸せ者だ。




