転生(新作、コメディー)
「ああ、俺もなろう小説のように転生してえな」
ひきこもりニートの俺は、パソコン画面に向かってそうつぶやいた。
もう現世にはなにも未練がない。
高校時代にいじめられて、それ以来の不登校。
それから、早十年。
筋金入りのニートの完成である。
ちなみに、ニートには年齢制限がある。
三十四歳だ。
それを超えてしまうと、もうニートですらないらしい。
「かもん、転生トラック」
俺はそう叫びながら、昼寝に入った。
「おきない。たけしよ」
謎の声にたたき起こされた。
起きた場所は、なにもない空間だった。
これは、よく小説で読んだところだ。
この後に来るのは……。
「よく来た。たけしよ」
神さまだった。
「神さま。ここはどこですか?」
俺は、目の前の老人を神さまと決めつけて、話を進める。
これで、俺はチート能力を身につけて、俺tueeeeできるのだ。
さあ、早く異世界へ。
「話は、長くなるのじゃが……」
「転生させてください」
「まだ、なにも言っていないんじゃが」
「いいから転生だ!」
「はっきり、言っておくぞ。たけしよ?」
老人はあきれておれに話しかける。
「なんですか?」
「恵まれた現代日本ごときで絶望していたお前が、過酷な異世界にいってやっていけると思ってるのか?」
俺は、なにも言い返せなかった……。
転生(するとは言っていない)




