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砂漠と遭難(新作)
私は、砂漠で遭難している。
どうして、ここにいるのか。よくわからない。
飛行機に乗っていた時、大きな衝撃を感じて気がついたらここにいた。
周囲には、飛行機の残骸も他の乗客もいなかった。
私は、ひとりで砂漠に取り残されていた……。
「くそ」
焼けただれた大地を歩きながら、私は天を恨んだ。
「どうして、こんなことにならなくてはいけないんだ」
誰も答えてくれなかった。
限界がきて、私は焼けついた大地に倒れこんだ。
そこは、安住できる場所ではなかった。
背中が猛烈な刺激に襲われる。
声にならない悲鳴を上げながら、私は太陽をにらんだ。
ここで、死ぬのか。
私がそう思った瞬間……。
奇跡は起きた。
私の体が少しずつ変わってきたのだ。
皮膚はゴツゴツ厚くなり、体は大きくなっていく。
火傷したかのように皮膚はただれていく。
全身が真っ赤になっていた。
まさに、怪物だった。
異形の姿になってしまった自分に、なぜだか絶望はしなかった。
むしろ、そこに希望を垣間見たのだった。
これで私は生きていける。
この日から、私は砂漠で生きている……。




