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日常(ヒューマンドラマ)
妻とけんかした。
きっかけはささいなことだった。
飲み会の予定があったのに、連絡を忘れてしまった。たまにある不手際だった。
帰ってきたら妻はカンカン。
「ごはん作って待ってたのに」
運が悪いことに機嫌も悪かったらしい。
そのまま売り言葉に買い言葉。
妻はふて寝をはじめていまに至る。
「もう寝た?」おそるおそる妻にはなしかける
「寝たよ。爆睡中」
「そっか。ならこれはひとりごと」
「ふうん」
「さっきはごめん。言い過ぎたし、連絡も忘れてた」
「ふうーん」
「いつも忙しいのに、おいしいごはんありがとうね。大好きだよ」
おれは布団にはいった。横では妻の「フフッ」という声が聞こえたような気がした。
こうして、おれたちの日常はまたはじまる。




