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おやばなれ(寓話)
わたしのこどもたちは、おやばなれができない。
もういい歳なのに。
最初は、とてもかわいかった。
はじめて、立ったとき、しゃべったとき本当に幸せだった。それはもう涙がでるほどに。
わたしがかわいがりすぎたのかもしれない。
彼らがおなかが空いたといえば、ご飯をあげた。寒いといえば、部屋の温度を上げた。
しかし、かれらはどんどん増長した。
わたしの大事にしている木を次つぎに切り倒し、かんたんにほかのものに暴力をふるってしまう。
さらに、兄弟けんかは絶えない。
挙句のはてに、「核兵器」というものをつくって、わたしの体すべてを傷つけようとしているし、貯金していた資源は掘りつくされはじめている。
もう、わたしの我慢も限界だ。はやく、人間にはおやばなれしてほしいと切に願っている。