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わたしはのっぺらぼう(ヒューマンドラマ)
わたしはのっぺらぼう。
わたしの顔にはなにもない。
生まれたときには顔があった。
とてもかわいらしい顔だった。
お母さんはいつも泣いてばかりだった。
だから、よい子になろうと思った。よい子にならなくちゃいけなかった。
その日から、私は親や先生に逆らったことはない。
そして、わたしは顔を失ってしまった。
ある日突然顔がなくなってしまったのだ。
わたしは泣いた。目もないのに涙はでる。不思議だ。
そして、わたしは自分がなにもできないことに気がついた。
優等生だったのに、なにもできないことに。
わたしの顔はどこにいってしまったのだろう。
いまだに顔を探し続けている。