ディストピアの尋問
私は、エレナ。元反乱軍の女リーダーだ。この世界は、すべてが腐っている。環境汚染によって、食料はほとんど手に入らなくなってしまった。一部の特権階級だけが、食料と水を確保して、大多数の国民を従えている。
最下層の人間たちは、酸素すら希薄な地下で強制労働させられている。
だから、この国を変えたいと思って、私は立った。
しかし、政府軍は巨大で、私はついに捕虜となり、拷問を受け続けていた。
「すべては、私がいけないのです。愚かにも私は党と政府に歯向かいました。死をもって贖罪します」
血と暴力に支配された私はついに罪を認める。反乱軍のリーダーが政府に従った。その光景は、権力者たちにとっても最高の瞬間だったはずだ。
これで死よりもつらい暴力から解放されるはず。そう思ったのは私の浅はかな考えだった。
尋問官は不敵に笑って続ける。
「ご苦労。処刑の前にひとつだけ教えてやろう。お前が反乱を起こし、ここで党に忠誠を誓って死ぬ。それまでが、すべて我々に管理されていたことなんだよ。とてもおもしろいノンフィクションだったね。キミは女優の才能があるのかもしれない。おい、エレナシリーズのDNAを調整しておけ。次の個体は、もっと悲惨に命乞いをするようにしろ」