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特殊詐欺

 ある日、息子を名乗る男から電話があった。


「父さん、大変だよ。電車に仕事のカバンを置き忘れて、無くしてしまったんだ。中には会社の小切手1000万円分入ってて……このままじゃ俺、会社をクビになっちまう」


 また別の日は手紙だった。


「インターネットで有料サイトを使用した件で、未払いがあります。今日中に払わないと裁判沙汰になりますよ? つきましては示談のために、こちらに100万円を振り込んでください」


 そして、さらに電話があった。


「宝くじの当選金額を教えましょう。試しに、明日の朝刊に載る当選番号は……」


 ※


「これで5人目か」


 俺に現金を渡した時、じじいはそう言った。なんだ、ずいぶんと優しそうな爺だが、間抜けなもんだぜ。


「何を言っているんですか」

 俺は紳士的に答える。今日は金融関係のサラリーマンって設定だからな。


「なに、大金を手に入れたと思っておびきだされたバカな男が捕まる瞬間のことだ」

 

「はぁ?」

 その瞬間、俺の背中に複数の警察官が飛び込んできたのだった。


「わしはな、前途ある若者の人生を破滅させるのが好きなんじゃよ。地獄へようこそ、若者さん?」

 優しそうな老人は、アスファルトに叩きつけられた俺を見て邪悪な笑みを浮かべた。

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