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ひらたけ(宇治拾遺物語改題)
少し昔のことである。
京都のとある村でヒラタケがたくさんとれるようになった。
村人は喜んでそれを食べたり売ったりしたが、ひとつおかしいことがあった。
それは、村の寺に住む僧侶たちがどんどん失踪してしまうことだ。
彼らは、どこかで難しい修業を積んだ者たちだ。
いつも「寄付をたくさんすることが極楽浄土への近道だ」とか「僧侶にはただで食物をあたえなくてはいけない」とか言っていた。
田舎の村人たちはその説法をありがたく受け取っていたのに。
都に出てきたその村の若者は、友人に僧侶の失踪とヒラタケの話をした。
友人は震えながら、村人に問いかける。
「なあ?それって本当にヒラタケだったのか?」
「えっ?」
「仏教の世界には、悪徳僧侶がキノコに変えられてしまう伝説があるんだよ」
今となっては真実は誰にもわからない。




