11/124
不老不死の薬(歴史)
「皇帝陛下、お望みの薬が出来上がりました」
博士はわたしにひざまずいてそういった。
運ばれてきたのは、それはとても輝かしい赤い個体であった。
「これにはどのような効果があるのかね?」
「おそれながら申し上げます、陛下。こちらはとある山奥で、とれた鉱物になります。熱すれば銀のように、輝かしいものになります。言い伝えによれば、これを服用することで、大地の力を体に蓄えることができるということです。さすれば、体の老化は止まり、体が鉱物のように頑丈となるでしょう」
「なるほど、それはすばらしいな。服用させていただこう。そちも飲むがよい」
不老不死。
なるほど体を老いることのない金属にしてしまえばよいのか。
さすがは天才と呼び名が高い博士だ。
※
1年後。
はかせはしんだ。
どうやらあの「くする」をのむのが、「おすかった」ようだ。
わたしは「かかせ」よりも、わかい。
ぜったいにでいじょうぶだ。
すこし、はらがいはい。
はやく、あの「くする」をのまなくては。