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アグレッシブおばあちゃん

作者: フェンリル

皆さん初めまして!

私、フェンリルと申します!

ハーメルンにて小説を書いていたのですがこちらでも書いてみようと思い、リハビリ作品であるこちらの小説を最初の作品として投稿させて頂きました。

※この作品を読む上で注意事項があります。



1.自信の無い老人はお控え下さい。


2.もし「俺の(私の)お婆ちゃんに挑戦してもらおうかな・・・?」と思った際は予め救急車の手配をお願いします。


3.読者様達の御祖母達が体調を崩してしまっても作者は責任を負い兼ねますのでご注意下さい。


※こちらの小説はカクヨム、ハーメルンでも掲載しております。

それではどうぞww

ギッ・・・ギッ・・・ギッ・・・────


床が軋む音が響く。

・・・これがR18の音ならどれだけ良かった事か・・・

二度寝しようにもその音が煩くて諦めて起き上がり、その音のしてる部屋を覗く。


「フッ!フッ!フッ!フッ!フッ!」


俺の婆ちゃんが腹筋をしていた。

それも普通の腹筋じゃない。

足が頭より上になっての腹筋だ。

うん、見間違いでも何でもない。

婆ちゃんが俺に気付いた。


「あ!遅いよ(たかし)!おばあちゃんと一緒に筋トレせんか?」

「・・・」


もうね・・・この人が老人かを疑うよ・・・

見た目は老人だが中身に若いアスリートが老人のマスクをしてんじゃないかって思うよ・・・

突然腹筋を止め、腕立てをし始める。

この部屋の壁を見る。


【おばあちゃん、楽々メニュー♪】

腹筋100回×2セット

腕立て100回×2セット

背筋100回×2セット

スクワット100回×2セット


ランニング5時間

etc・・・


もう昼から下を見るのは諦めた・・・というか見たくねぇ・・・

改めて言おう・・・これで”楽々”だ。

調子のいい日には余った時間内に出来るやつをもう1セットらしい。

いや、調子のいい日っていつだよ?

てか調子のいい日にもう×2って・・・今日は調子が悪いのかよ・・・?

なんとなく溜息が出た。


「なんじゃいため息なんか付いて?あ!分かった!こんな逞しい身体をした婆ちゃんが羨ましいんじゃろ!」

「逆に怖ぇんだよ!!!!何!?90歳にもなって握力50kg超えって!?ソフトボール投げで30mオーバーって!?ゲートボールじゃなくて野球をやるって!?」


そう・・・俺の婆ちゃんは90代なのに他の御老人とはかけ離れた運動神経の持ち主だ。

何?この人の生前ワン〇ンマンとかですか?

俺はもう見てられないと思って廊下を歩く。

そしてとある部屋の前に来て、再び襖を開けた。


「おう隆、おはよう」


爺ちゃんがちゃぶ台の前に座り、日本茶を啜っていた。

あの婆ちゃんとは違い、落ち着いた爺ちゃんだ。

俺はいつも通りの爺ちゃんを見て安心し、肩に手を置いた。


「どしたい?」

「いや・・・爺ちゃんが爺ちゃんらしい爺ちゃんで良かったと思って・・・」

「・・・本当どうした?」


スッ・・・と無言で婆ちゃんのいる部屋を指差す。

その動作を見て爺ちゃんは、あぁ~・・・と苦笑いした。


「まぁ、あれで健康なんだ。やりたいようにやらせてやろうじゃないか」


爺ちゃんも爺ちゃんでマイペースだし・・・

まぁ、そんなこんなでまた騒がしい1日が始まるのだ。



◇◆◇◆◇◆



「ちょっと出掛けてくるよ」


婆ちゃんがバイクのキーを持って外に出る。

俺の婆ちゃんは高齢者教習を難なくクリアしている。

そして普通二輪のバイクにも乗り、ボルタリングやランニングマシーンのある本格的なジムに毎日通ってるのだ。

初めて行った際、そこのトレーナーからは『君の祖母って年齢詐称してない?』とガチで言われた。

それを聞いた婆ちゃんは『失礼な!これをみんしゃい!』と保険証を見せていた。

そりゃそうだ。

当時婆ちゃんは80代後半。

それなのにジムに毎日通って身体を動かしてるから周りは驚いている。

中には『無理しなくていいですよ?』、『少し休みましょう』等、若い人が漸くこなせる内容を余裕な表情でこなしているから本気で心配されていた。

なのに・・・『あたしゃそんなに脆くないわ!!!!』とガチ切れされたらしい。

そして毎日こなせるのだからトレーナーの人はもう「(゜д゜)」の顔で見ていた。

そして初めてそのジムに来た人は当然その光景に驚くものだから近くのトレーナーに『御老人が無茶なワークしてるんですけど!?大丈夫なんですか!?』と驚いた表情でトレーナーに詰め寄る。


御老人


無茶なワーク


このたった2つのキーワードでうちの婆ちゃんとすぐ判明される。

その度トレーナーは『あの人はおばあちゃんであっておばあちゃんじゃない人だから大丈夫ですよ』と意味不明な言葉で説明している。

そして横で運動してる婆ちゃんを見てその人も「(゜д゜)」という顔になるのだ。

もうあの人おばあちゃん辞めてるよ・・・

これ・・・そう遠くないうちにスーパー〇イヤ人とかになれんじゃね?

・・・この話を高校でやると最初は笑われる。

だよな。そりゃあ高齢者がそんなハードワークするとは思えねぇもんな・・・

それで動画を見せると「(゜д゜)」の顔の後に『これ・・・CG・・・な訳ないよな・・・』と何とも言えない反応を見せる。

あ、話してたら婆ちゃん帰ってきた。


「あー今日はダメだ」

「なんかあった?」


こんな悔しそうな婆ちゃんは久々に見る。


「握力鍛えるボールあるでしょ?何百回か握ってたら壊れちまったよ・・・」

「壊れる程の強さで握るなよ!?てかボールが壊れるって初めて聞いたわ!!!!」


すると婆ちゃんのガラケーに着信が入る。


「もしもし?あー監督さん?」


・・・相手は地元のシニア野球の監督らしいです・・・

あぁもう展開分かったよ・・・


「助っ人で来てほしい?こんな老人に無茶させんじゃないっての」


アンタの頭の辞書に《無茶》って字がある事に驚きだよ・・・てか握力鍛えるボール壊してて無茶とかねぇだろ・・・

結局婆ちゃんは行く事になった。

皆にも分かるように行って見せるよ・・・

婆ちゃんがどんだけ人を婆ちゃんを辞めてんのかを・・・



◇◆◇◆◇◆



キィン!!!!


ウオオオオオォォォォォオオオオオ!!!!!!!!


婆ちゃんの打ったボールがフェンスを越えた。

しかも初球で、初打席でホームランだ・・・

向こうのチームのピッチャーはこれまた「(゜д゜)」の顔だ。

次のバッターがアウトになり、攻守交代となる。

ピッチャーは・・・はい、婆ちゃんです。


パァン!


パァン!


何球か投げて感覚を確かめる。

バッターが打席に入り、試合が再開する。

婆ちゃんは思い切り腕を振りかぶり、キャッチャー目掛けてボールを投げる。


スパアアアァァァアアアン!!!!!!!!


「ストライク!!!!」


ど真ん中にボールは収まった。

以前球速を測れるピッチングマシンを使って球速を測ったら163kmも出ていた。

もう一度言うよ?90代で163km出してんだよ?

次々に三振を出してすぐに交代となった。



◇◆◇◆◇◆



「いや~勝てた勝てた♪」


あの後、婆ちゃんは全打席でホームラン。

そして連続三振を取った。

向こうのバッターは、その球速から足がガタガタと震えていた。

うん・・・気持ちは分かるよ・・・

どこの国に160キロ越えの投球する90代がいるんだって話になるよね・・・


「いや~私抜きでも勝てたんじゃない?」

「というか婆ちゃん1人でも充分だろ・・・」


婆ちゃんはまだ勝てた高揚感に浸っている。

そう・・・これが俺の婆ちゃん・・・

人呼んで「アグレッシブおばあちゃん」の生活のほんの一部である・・・

な?言うたろ?

てなわけでリハビリ作品はこれにて終わります。

ですが、もっと読みたい!という方がいらっしゃるのでしたら続編を考えさせて頂きます。

4月から始める連載小説に関しては初投稿は4月2日を予定しておりますのでお楽しみに!

それでは皆さんさようなら~(・ω・)ノシ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 笑わせて貰いました。 こんな婆様がいれば、そりゃ溜息もつきますよ。 運動がダメダメな私にとっては憧れの存在になりそうですね。 うちの婆様には健康維持はしてもらっても、やりすぎは勘弁して欲し…
2018/03/31 18:38 退会済み
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