表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
されど勇者は剣を取る  作者: 森澤倭
王城篇
6/7

それぞれの決意

説明回?

 気がつくと私たちはローブを被ったいかにも魔法使いといった風貌の集団に囲まれていた。

 「おお、ついに成功したぞ!」

 周囲にいた人たちは私達を見て目を輝かせている。私は咄嗟に悠斗の姿を探す。すると悠斗は明らかに不機嫌な様子で私の隣に立っていた。

 「勇者様方、おそらく突然のことで驚いたことでしょう。しかし一度我らの王の前においでください」

 そう言って前に出てきたのはひとりの老人だ。混乱する私達を落ち着かせるようなこえだ。私達はその老人に先導されるままに扉の前に連れてこられる。

 「ここより先は玉座の間にございます。くれぐれも粗相のないよう」

 そう老人は一言注意を入れてから扉を開ける。その扉の先には玉座の間と呼ばれるに相応しい贅の限りが尽くされた部屋が広がっていて私達はそれに圧倒される。

 「勇者様をつれて参りました」

 「そうか!召喚の儀よくぞ成功させてくれた!早速つれて参れ」

 「では勇者様方こちらに」

 中に入らせてもらった私達を待っていたのはまだ青年でしかない王と呼ばれるにはまだ若すぎるひとりの男性。まぁ、イケメンではあるけど…。

 「そなた達が今代の勇者か!頼りにしておるぞ!まずそなた達の名前とステータスを教えてくれ」

 「お待ちください。勇者様方も突然召喚されとまどっております故、まずは陛下のお口からご説明ください」

 興奮気味の国王を私達を先導した老人がいさめる。

 「そうであった。すまなかったな。ありがとう、ガーフ」

 ガーフと呼ばれた老人は恭しく頭を下げる。

 「しかし、ガーフよ、当時のことを余は事を直接体験したわけではない。よって説明を変わって欲しい」

 「仰せのままに」

 そう言うと、ガーフさんはこっちを向く。

 「では、少し長い話になりますので食事をしながらに致しましょう」

☆☆☆★☆☆☆

 「さて、まずはこの世界についてお話します。

 この世界には我が国を含めて五十近くの国があります。その中でも大国と呼べるのは我々《ラーサル王国》、北の大地にある獣人の国《ノーザ皇国》、魔神教共の総本《ウェーブ国》、魔族の国《イース帝国》。この四つの国がひしめき合っております」

 「そう言うことは今はいいからさ、何で俺たちが喚ばれたのか理由を教えてよ」

 そう声をあげたのは学級委員長の冬田俊之だ。容姿端麗、運動神経も抜群。成績も学年二位で絵に描いたような優等生だ。ついでに正義感が強くて女子からの人気ナンバー1。

 「そうですな。常識はこの後いくらでも?語る時間もある。

 では、話は三年前にまで遡ります。歴代最強と呼ばれているラティファという魔王が即位したのです。その事はすぐさま王国中に伝えられました。当時の先王は悪政や飢饉が重なって国民の不満が爆発しないか気が気でなかった。そこで、我々は魔王に唯一対抗できると古より伝わる勇者を召喚することにしたのです」

 「それが私達?」

 「いえ、これは先代の勇者の事です。彼もまた、歴代勇者の中で最強の勇者となりました。そして二年前、先代の勇者はついに魔王と相対したのですが、魔王を倒さず我が王国に反旗を翻そうとしたのです。幸い事が起こる前になんとか先代の勇者を捕らえる事ができ、彼を泣く泣く絞首台に送ったのですがそれまで従順だった先代の勇者は絞首台の上で暴れ逃げ出したのです。王国はこれに対し三万の兵を派兵したのですが全滅。特殊部隊によってなんとか討伐したのですが払った犠牲も多かった。魔王が率いる帝国軍が侵攻。しかし頼れる王国軍も勇者討伐によって疲弊仕切っており連戦連敗。幸いにして現在一般住人には被害はありませんがそれがでるのも時間の問題。そこでもう一度勇者召喚を執り行ったのです」

 「それで喚ばれたのが俺達だと?」

 声をあげたのは竹田隼人。ガーフさんはそれに対して頷くとさらに続ける。

 「そうです。我々が不甲斐ないばかりにあなた達の大切な日常を壊してしまった事は謝罪するほかありません。頭を床に擦り付けろというならそれを致します。勇者様方が望むなら金も名誉も権威も差し上げます。なのでどうか王国民に平和で安心して暮らせる国にするため魔王の討伐をどうかお願いしたいのです!やってはいただけませぬか?」

 そう言ってガーフさんは勢い良く頭を下げる。

 「ガ、ガーフさん。まずは頭を上げて下さい。お話は分かりました。あの、俺たちの国では戦うなんて機会がないんでどれほど役にたてるか分かりませんが、お話を受けようと思います。なぁ、みんなだってそうだろ?さっきの話を聞いて。それに俺たちには自称神様がくれたチートがあるし、みんなで力を合わせればできないことなんて無い!」

 そうやって一番始めに声をあげたのは河西春樹。クラスのリーダー的存在でこっちも容姿端麗、成績優秀。それに呼応して他の皆も頷く。

 「ありがとうございます。ありがとうございます。このご恩は一生わすません!」

 ダメだ。みんな場の雰囲気に呑まれてる。

 「その前に聞いてもいいですか?」

 「私に答える事ができるのなら」

 「まずは、私達は元の世界に帰れるのですか?」

 「難しい魔術で必ず成功するとは残念ながら参りません。ただ、送還の魔術そのものはございます」

 「分かりました。じゃあ、今私達の世界では私達の存在はどうなってるのですか?」

 「今は『居ないもの』となっております。しかし、送還の魔術が成功すれば記憶も補填され元通りの生活ができるはずです」

 外堀が埋められるようないやな感覚。とにかく逃げ場が無い。私はまたこっそりと悠斗の方を見る。悠斗は何かを必死で耐えるように目を瞑っていた。

  「分かりました。質問に答えていただきありがとうございます」

 悠斗が必死に何に耐えているのか分からない。けれど、私は悠斗を守る。それが私にできる数少ない恩返しなんだから!

☆☆☆★☆☆☆

 『なぁルシファー、俺はどうすれば良いと思う?』

 俺の漠然とした問いに

 『あなたは誰ですか?』

 とルシファーは逆に問いで返してきた。一瞬、ルシファーの問いの意味が分からなくなる。

 『お前も俺は勇者だ、なんて言うのか?』

 最も欲しくない答えを聞いてみる。

 『あなたは勇者です。戦う力もある。でも、あなたはキラ・ユウトで吉良悠斗で私の唯一無二の主様です。それで、あなたは誰ですか?』

 『俺は今は悠斗でいたいよ』

 『それが分かるのならばあなたのしたいことも分かるはず。休憩するのも時にはいいものです。あなたは十分働きましたから』 

 『お前は本当に俺に甘いな。でも……今はそれに甘えたいよ』

 『もちろん。あなたは来るべき時が来れば逃げないのを知っていますから』

 『訂正する。お前は誰よりも厳しいな。だって、答えをくれないんだから』

 『心外です』

 プイッと顔を背けながら拗ねたように言うルシファーの姿はいつもより愛らしい。

 『何か失礼な事を考えているでしょう』

 『そんなことないさ。あと、答えはでたよ。俺の手が届く範囲は俺の国だ。ならそこくらい俺が守るよ。そのときが来たら』

 『それでこそ私の主様です』

☆☆☆★☆☆☆

 玉座の間に二人の男がいる。

 「ガーフよ、余の選択は正しかったのだろうか?」

 「陛下、将の将は優れた戦術家である必要はございません。そこそこ優れた戦略家であればよいのです。王と言うのも同じなのです。王は善人である必要はないのです。極悪人でなければいい。むしろ悪人でなければいけない。でなければ他国になめられてしまう。それは結果的に国民に不満を抱かせてしまう。もし陛下が罪にお心を痛ませるのであれば僭越ながら私めが共に背負わせていただきます」

 「感謝する。ガーフよ、しかし余は良き王でありたいと思う。父のこともある」

 「その気持ちがあればそれも叶いましょう」

 

春課題が……来てしまう。

と言うことでまた更新が不定期になるかもしれない(^。^;)

なるべく頑張ります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ