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されど勇者は剣を取る  作者: 森澤倭
王城篇
4/7

第四話 召還

一応本編開始です

一人の少年が薄暗い森の中を走る。肩を激しく上下させ一人の少女を抱えて。その追っ手もまた肩を激しく上下させて森を走る。少年は一気に加速し追っ手を引き離す。それからしばらくして加速を止め抱えていた少女を下ろした。少女とは少年が逃げている途中の小さな廃村で出会った。身長は少年の腰ぐらいで茶髪を肩ぐらいで切りそろえている。その少女に少年は言う。

 「ごめん。ここからは君一人だ。しばらくここに隠れているんだ。そしたら、俺の知り合いのお姉さんがくる。そのお姉さんと一緒に逃げろ。いいな?」

 少女がコクコクと頷くのを確認すると少年は元来た方に刃が中ほどで折れた剣、慈悲の剣(聖剣カーテナ)を握って走る。暫くすると少年は追っ手達鉢合わせする。その光景は誰が見ても多勢に無勢に見えるだろう。しかし、実際に脅えた表情をしているのは追っ手達の方だ。

 「さぁ、地面に沈みたい奴から掛かって来い。相手してやる」

 「ふざけるな!この裏切り者が!」

 「俺は何もしちゃあいないさ。だから、そのにやけ面とっとと止めろ」

 最初、少年は相手がにやけている理由が分からなかった。少年の胸からナイフの刃が生えるまでは。後ろからの 一突き、それは少しの間、旅を共にした少女に裏切られた事の証だった。

☆☆☆★☆☆☆

 「悠斗、起きて!朝だよ~」

 俺はその声に目をこすりながら体を起こす。俺の名前は吉良悠斗。近くの私立高校に通う高校二年生で元勇者だ。昔、国に裏切られ、仲間に裏切られ最期には滅多刺しにされて殺された。ん?何でここにいるかって?それにはちょっとした理由があるのだがそれはまた今度…。まぁ、大した理由があるわけではない。

 さて、皆さんは想像したことがあるだろうか?平日の朝、寝坊した時にかわいい幼なじみが起こしに来てくれ、その幼なじみと一緒に登校するという光景を。はっきり言おう。かなり迷惑だ。後、十五分は余裕で寝る時間がある。しかし、今起きなければこの少女、橋本真由美は後々うるさいだろう。さて、そこで疑問一、何故こいつは此処にいるのか?戸締まりはしたし、こっちでの両親は二人とも出張でいないはずだ。

 『私が鍵を開けました』

 この声は俺の使役天使のルシファーだ。使役天使とは、まぁこれもそのうちに。大ざっぱに言うと、読んで字の如くだ。俺は取り敢えず大きく溜め息をつくと布団から出る。

 「真由美、先に出といてくれ。すぐ追いつくから」

 そう言って、真由美を先に行かせる。俺は真由美が出て行った事を確認してから昼御飯のパンを鞄に詰め朝御飯を食べながら制服に着替える。朝御飯を食べ終え歯を磨くと靴をはいて家を出る。

 「はぁ~、また学校か」

 学校だと思うと憂鬱な気分になる。自慢ではないが、俺は虐められている。殴る、蹴るは当たり前。水をかけられた事もある。原因?主犯曰わくいつも一人でいる。お前らの所為だろ、と言う反論は黙殺された。曰わく、その目が気に食わない。生まれつきだ、と言えば笑いながら蹴られた。

 「もー、遅い!遅刻しちゃう!」

 もう一つの理由は真由美と幼なじみで他の男子と比べて仲が良い事だろうか。真由美はスラリとした長身に抜群のプロポーション誇る。背中の真ん中あたりまで伸ばされた黒髪のなかにある顔は誰が見てもかわいいと言うだろう。

 そんな真由美に追いついた俺は二人で校門をくぐり、教室に入る。すると、俺を虐めているグループが獲物を見つけたとでも言うようににやついた。その顔があの時の兵士と重なって嫌悪感をおぼえる。それを怯えと感じたのか真由美が間に入る。そいつ等はチッと舌打ちをしつくとて視線をそらす。でも席につくとその内のひとりが睨み付けてきた。そいつの名前は竹田隼人。文武両道でイケメン女子から絶対的な人気を得ている。ちなみに真由美の事が好きらしい。特に俺を虐めているグループのリーダー的存在だ。これが俺の日常。まったく、最強の勇者が聞いて呆れる。ルシファーが朝話しかけてきたように魔法も使えるしこいつ等を半殺しにするくらいそれこそ造作もない。勿論、そんなことはしないが。

そして、そんな日常は壊れた。俺が席につき授業の用意を始めようとした時だった。強い光が教室を包んだ。

来週はスカーレット・アイズ・オブ・ワーの更新予定です!



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