第三話 帰還──そして…
お久しぶりです。
魔王城を出発して二カ月、遂に、
「王都に着いたぁぁぁぁ!」
王都到着したのです。今は私と勇者様の二人だけです。道中にはたくさんの事がありました。勇者様の御家族にもお会いしました。元気なお兄ちゃん子な可愛いユニス・ユウトちゃんや、ご両親。あと、幼なじみとか言うアンジェリーナ・バランスと言う少女とも会いました。他の仲間達はそれぞれの祖国へ一旦帰っていきました。講和会議の時にまた酒を飲み合う約束です。
私達はまず王城へ向かいます。玉座に座るのはこの国の王、ヴィルヘイム・フォン・ラーサル様です。年齢は四十歳。王としてはまだ若い(もちろん、過去には二歳で王になられた方もいますが)のですがこれまで何度か遠征を行い歴代の中で最も広い領土を持っています。しかし、目的の為ならどれほど残虐な事も平気でする事でも有名です。
王の間に入ると王は私達を睨みつけるように見下ろしてきます。
「ご報告します。我々は魔王城にて魔王ラティファと戦闘。しかし、勝負はつかず魔王との講和を結ぶ事によって三百三十年にも及ぶ争いに終止符を打つことを取り決めさせました」
「分かった。主らの働きごくろうであった。メイドよ、お主は一度国へ帰って親に顔を見せてやれ。勇者には悪いが少し後始末があるのだ。城に泊まってゆけ」
「ありがたき幸せ」
その二日後私は勇者様に見送られ故郷に向かいました。
「気をつけてな」
「ありがとうございます」
「仲間の心配をするのは当然だ。気にするな」
私はもう一度お礼をいい馬車に乗ります。
「じゃあな(・・・・)」
「それだと今生の別れみたいですよ」
「気のせいだ」
私と勇者様の最後の会話でした。
☆☆☆★☆☆☆
「それで、陛下『後始末』とはなんでしょうか?」
歴代最強の勇者と言われている俺は国王に問いかける。もっとも、その内容も粗方、想像できるが…。そのための準備も既に終わっている。
この数日後、歴代最強の勇者と呼ばれた少年は魔王領のとある森で討伐された。謀叛を起こそうとした罪として。魔王ラティファは勇者の無実を声高に叫ぶがこのことによって勇者の罪は事実だったのだと人々は思ってしまう。これを深く悲しんだラティファはある学校の近くに墓を建てこう刻んだ。
『我が友、キラ・ユウトここに眠る。願わくば、永久なる平穏と安らぎを』と。
さらに数ヶ月後、二度魔王軍と王国軍の戦端が開かれる。
これでプロローグ終了です!