出逢い
翌日2人は9時に起きた。むさ苦しい自分の寝汗で。テレビをつけて、朝食を取った。そして三郎の提案により、ミツルの家の蔵に入ることとなった。最初は嫌がっていたミツルも、自分も蔵の中には入ったことが無いからか、少し興味本位な感じになっていた。三郎が鉄の青い扉に手をかけると錆がこびりついてきた。「うわ、きったね」と、思わず三郎は声を上げた。鼻を近付け臭いを嗅ぐと鉄臭い感じが鼻を鋭く突いた。そして三郎は否応無く目を瞑らされた。そんな三郎を横目にミツルは重い扉に体重をかけ一気に引いた。やっと扉は開いた。そして2人は中に入る。すると埃っぽい空気が2人を包む。見渡せどまだ目がなれない。目の前にある階段を上る。二階につくと薄暗い中に窓があった。その窓には鉄格子がついていて、蜘蛛が巣食っていた。その窓から光が刺していて、その先に古い机が置いてあった。その机の上に何かあることに気付いたミツルは、恐る恐るその何かに手を伸ばす。四角くて紙製の何かは蔵の中ではよく見えず、ミツルは三郎を残して蔵を出た。外は眩しくて、ミツルの目には全てが白く映った。少しして目が戻ってきたところで、何かの埃を払う。そこに描かれていたのは素晴らしくダンディな男と好きにならずにいられない、という文字だった。男は眩しいほどの笑みを浮かべ、リーゼントというのだろうか、ミツルには見慣れない髪型をしていることに驚いた。そこでミツルはわかった。恐らくこれはレコードのジャケットだろう。中身は入っていないようだが。その曲がどうしても気になった。好きにならずにいられない。そのタイトルがミツルの頭に、強く強く、その頭が揺れるほど響いていた。