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好きにならずにいられない  作者: 髙橋 清右衛門
3/5

その夜

そして、また2人はチャリを漕ぐ。しばらくの無言の中、小さな橋に差し掛かったところで、美香が口を開いた。「三郎君に言っといてね」。「うん」とミツルが返すのに美香は「バイバイ」。と言って橋を渡る。そんな美香の後姿を、横目で見ながらミツルは左に曲がる。

時計の長い針は4のところを指し、短い針は9に向かって8を通り過ぎた時、ピンポンとチャイムが鳴った。「お邪魔します」と言って、三郎がズカズカとミツルの家へ上がる。丁度夕飯を取っていたミツルは一気にご飯を掻き込んだ。そして、三郎と共に階段を登りミツルの部屋に入った。ちゃぶ台、テレビ、そのテレビにつながれたゲーム機、あとは勉強机があるだけのシンプルな部屋で、三郎が勝手に戸を開けベランダに座り込む。そしてニヤニヤしながらリュックから缶ビールを取り出した。「お前それヤバいだろ」。と言うミツルの言葉に耳も貸さず、三郎は栓を抜き一口飲んだ。「お前も一口飲めよ」。と言う三郎の言葉。ミツルはなんだかワクワクした。

ちょっと悪いことなのかもしれない。だがその思いがミツルの好奇心をそそのかした。そして三郎の左手から、缶を受け取ったのは良いものの、ミツルの自制心が一瞬だが、口に運ぶことを躊躇させた。だが覚悟を決めたミツルはそれを一口含んだ。苦さが口を覆い、鼻から嫌な臭いがした。そして「もう、いいよ」と言って三郎に缶を返した。三郎はミツルに「まだまだ子供だな」。なんて台詞を吐いたが、ミツルはお前も子供だろうがと内心思っていた。そして三郎に美香が言われたように佳奈が三郎と一緒に花火を見たがっていること、だけど二人きりは恥ずかしいからミツルと美香を含め四人で見ないか。と言う趣旨のことを言った。三郎はニヤニヤしながらミツルに向かって、「その四人でってのがな」。「どう考えても美香もお前と見たいってことだろ」。などど言うのでミツルは照れながらも、「そんなわけないだろ」と返すのが精一杯だった。

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