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好きにならずにいられない  作者: 髙橋 清右衛門
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夏休み前日

気付くと男は、頭を縦に揺さぶられていた。


その日は暑い日で、蝉が五月蝿く鳴いていて、少し湿っぽかった。ジメジメというほどでは無いが、ジメっとしてその中に蝉の声が響いていた。ある中学では、校長の長々と下らない話しが終わり、生徒達がぞくぞくと学校から帰宅し始めていた。「おい、ミツル。お前夏休みはどうする」。と三郎が聞くのに、「特に予定はないよ」。と静かにミツルが答えた。「だったらお前ん家泊まってもいいよな」。と三郎がミツルの肩を叩いた。ミツルが応える間も無く三郎は「んじゃ、8時にお前ん家行くわ」。と強引に取り決めチャリを漕いで行った。後に残されたミツルと言うと、別に予定も無いし嫌でもないから、そのままチャリを跨いだ。その時後ろから声がした。「ミツル君待っててくれたんだ」。声の主はミツルと同じクラスの美香だった。美香は、クラスのマドンナ的存在で、上級生からも告白されたりと、モテる女であったが、遊ぶどころか男の手も握ったことの無い、ウブな女であった。そんな美香にミツルも密かに想いを寄せていたが、臆病で、クラスでもいつも端っこにいて目立つこともなく、何の取り柄もないミツルが、簡単に想いを伝えられるわけも無かった。何よりミツルは自分に自信が持てなかった。それでもミツルは途中まで帰り道が同じ美香と一緒に帰れるだけで充分過ぎる幸せを感じていた。



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