機関車
私は見てしまった。
横に割れたケツを洗濯ばさみで塞がれた(というか封印された)、動くでぶっちょの着物を着た人相の悪いこけし人形を。
この人形の言うことには、誰にも逆らうことができない。
そいつは機関車の先頭にどっかと乗っかり、私や私の見知っている私以外のか弱い女性を乗せてどこかへ連れ去っていくつもりだったのだろう。
ここの「か弱い」、とは誰かに支配されずには生きていけない、ということを意味しており、女性らしさを誇張したものでは決してない。
幸い戻って来ることができたが、もし戻らなければ一体どこへ行っていたのだろう。
考えれば考えるほどぞっとする……。
ホームにはホームの場所を知っているたくさんの学生たちが蠢いていた。
その中には誰かの帰りを待っているかのようにうろついている少年と、こっそりとその少年にくっついてきた少年がいた。
私が戻って来ることができたのは、ホームの場所を知っている彼のお陰であった。