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ナイトメア ~一撃必殺ガールの物語~  作者: 蝶太郎
第1章

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第5話 なぜか死んだ悪夢



 ああ神様、もうちょっといい子にしてます。


 校長のズラを隠すような悪戯とかしません。通学路で知り合いのおばちゃんの家の敷地を横切って横着しません。


 だから、この現実なんとかしてください。


「どうしたの?」

「ゆず! 来ちゃだめ!」


 魔の悪い事にその場にゆずがやってきた。


 怪物はそっちに視線を向けてしまう。


 このままじゃゆずがやられてしまう。


 俺は、何かないかあたりを見回した。


 そしたら、神様が紙屑のような慈悲を与えてくださったりしたのか、バールが落ちているじゃありませんか。


 どっかの工事現場の作業員が落っことしてでもいったのか。


 なんでもいい。ありがたい。


 俺はそれを持って、怪物に殴りかかる。


 一撃だけ。


 たった一撃だけだ。


 あとは二人と一匹で逃げよう!


 なんて思っていたんだけど。


「りゃああああ!」


 ごんっ、と鈍い音を立ててバールがあたった瞬間。


 なんと怪物が砂のようになって、その場に崩れてしまった。


 え?


 何これ。




 呆然としているとその場に、少女二人の声が近づいてくる。


「はあああ、まったく今日は牙のやつをひっぱってデートでもしようかって思ってたのに、緊急招集だなんてほんとついてないわ」

「仕方ないわ。ナイトメアが脱走してしまったのなら、放ってはおけない」

「研究用に捕獲されたってやつでしょ? それが五体も? 信じらんない! 監視してた奴は何してたのよ」


 同年代くらいの女の子二人は、俺達の存在を見て「?」と顔を見合わせる。


 声の大きな気の強そうな子と、小さな声でしゃべる物静かそうな子のセットだ。


 数秒した後、物静かそうな子がスマホを取り出して、どこかに連絡する。


「本部、応答願う。ーーナイトメアの反応があった地点に向かったけれど、対象がどこにもいないわ。一般市民二人と犬が一匹。反応はどうなった?」


 ややあって、何か聞こえてきたのか、物静かそうな子は気の強そうな子に小声で話す。


「はぁ? さっきまでここにいた? で、いきなり消えたってわけ? それセンサーの誤作動じゃないの?」

「分からない。けれど、彼女達がナイトメアの消失に関わっているというのなら、保護すべき」

「はぁー、また仕事増えてんじゃないの」


 何がどうなったのか分からないんだが、そろそろ俺達に説明してくれよ。


 なんて思ってさすがに口を開こうとしたら、その場にぞろぞろと新しい人間がやってきた。


 十代後半から三十代くらいの男女数名。


 彼らは、俺達をぐるりと取り囲んで、提案してきた。


「少し、話を聞かせてもらいたい。同行していただけるだろうか」


 いや、提案じゃなくって、これ脅迫だろ。



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