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文芸部の虚構  作者: 双鶴


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3/6

3話

沈黙はまだ続いていた。

蛍光灯の唸りが低く響き、机の上に濃い影を落としている。


窓の外では観覧車が静かに回り続けていた。

灯りは遠い祝祭の残響のように窓に映り、部室の重苦しさを照らしていた。


---


結衣のスマホが震えた。

画面には新しい通知が洪水のように押し寄せ、次々と流れ込む。


「炎上」「売名」「嘘つき」――

コメントは群衆の叫びのように押し寄せ、通知音は嵐の雷鳴のように重なった。


画面の光が結衣の頬を斑に染め、瞳孔が揺れていた。

指先の汗がスマホに滲み、熱を帯びた掌が震えていた。


心臓を掴まれるような圧迫感が広がり、呼吸を奪う煙のような不安が漂った。

通知音は耳鳴りのように残り、沈黙を切り裂く騒音となった。


結衣は唇を噛み、画面を机に叩きつけるように置いた。


「……見てよ。私、今、燃えてる。」


その声は乾いていた。

誰もが画面に目を落とし、言葉を失った。


---


陽介が顔を上げた。

「俺の嘘より、そっちの方がきついな……」


その言葉は慰めにもならず、ただ空気を濁らせた。

結衣の視線が陽介を射抜く。


「嘘は消せる。でも炎上は消えない。」


一拍置いて、冷たく続けた。

「あなたの嘘はここで終わる。

でも、私の炎上は外の世界で広がり続ける。」


陽介は結衣のスマホ画面を見つめながら、胸を締め付けられるように感じた。

缶コーヒーを握る手が震え、缶が潰れそうになった。

視線は机の木目を追い続け、声はかすれた。


嘘を守りたい気持ちと、崩壊する恐怖が胸の奥でせめぎ合っていた。

「……俺の嘘も、外に出たら炎上するんだろうな。」

その呟きは誰にも届かず、空気に溶けた。


後半になっても彼の視線は泳ぎ続け、声は途切れ途切れに震えていた。


---


直哉がスーツの袖を握りしめ、声を途切れ途切れに漏らした。

「……社会って、残酷だよな。履歴書の数字で人を測る。原稿の文字は誰も見ない。」


声が途切れ、手が震え、視線は窓の外を泳ぎ続けていた。

観覧車の灯りが彼の瞳に映り、揺れていた。


「未来が怖い。履歴書も原稿も、どっちも手から落ちそうだ。」


その断片的な吐露が、場の空気をさらに重くした。


彼は机を指で叩きながら、かすれた声を漏らした。

「……俺は、どこにも居場所がない。」


結衣の言葉に直哉は胸を刺されるように感じ、未来から逃げられないと悟った。


---


拓真が赤ペンを握り直し、低く言った。

「炎上も嘘も、結局は同じだ。外に見せる顔を飾るためのもの。」


その声は冷静に聞こえたが、赤ペンの先は震えていた。

「俺たちは、真実よりも虚構で競ってる。」


結衣は拓真を見据え、さらに皮肉を重ねた。

「炎上は私だけじゃない。あなたたちも、いつか外の世界に晒される。」


その言葉は部室全体を刺し、誰もが息を詰めた。


拓真は短く吐き出した。

「胸に刃を突き立てられたようだ。」


美咲は制服の袖を握りしめ、かすかに声を出した。

「私も……晒されるのかな。」


沈黙の中で、誰もが自分の嘘を思い返していた。


---


美咲は場を和ませようと、かすかに笑みを浮かべて言った。

「でも、きっと次は書ける。」


しかし誰も応じず、言葉は空気に溶けた。

その笑みはすぐに消え、沈黙が戻った。


沈黙を破るように、誰かのペンが机から落ちた。

乾いた音が響き、全員の視線が一瞬揺れた。


誰かの椅子が軋む音が続き、すぐにまた静寂に呑まれた。


---


結衣はスマホを再び手に取り、画面を見つめた。

コメントは止まらず、群衆の叫びのように押し寄せ、画面を埋め尽くしていく。


彼女の指が震え、画面を閉じることができなかった。

「……私の夢は、もう燃えて灰になるのかな。」


通知音が一斉に鳴り響き、部室が一瞬、騒音に包まれた。

その後、急に止まり、静寂が戻る。


誰かが小さく笑いかけて失敗し、空気はさらに重くなった。


呼吸が荒くなり、心臓の鼓動が聞こえるようだった。

直哉の指が机を叩き続け、声にならない震えが空気に混じった。


誰かの視線が窓から机へと揺れた。

誰かの手が震え、スマホの光がふっと消えた。


沈黙の中で誰かの呼吸が荒くなり、重く響いた。

沈黙は重く、誰もが次の言葉を恐れていた。


観覧車の灯りが窓に揺れ、沈黙を見守っていた。


次に暴かれるのは――誰の嘘だろう。


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