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廃課金の起源(※諸説あり)

作者: おでん

あまり知られていない「廃課金」という言葉の語源です。もちろん諸説あり…

現代では、ソーシャルゲームなどに多額のお金を投じる行為を指す「廃課金」という言葉。しかし、その語源が遥か昔、春秋時代に遡ることはあまり知られていない。この言葉の起源とされるのが、伝説的な聖人「課金かきん」と、彼が生涯を捧げた街「すい」の物語である。




課金は春秋時代、現在の中国河南省付近の裕福な豪商の家に生まれた。幼少期から聡明で心優しい性格だった彼は、貧しい者を助けることに大きな喜びを感じていた。青年期、学問の師である「操社芸そう・しゃげい」に導かれ、彼の人生を大きく変える街「推」と出会うこととなる。


「推」は豊かな自然に恵まれ、穏やかな人々が暮らす美しい街だった。しかし、街の長である「運栄うんえい」の話によると、慢性的な財政難だという。課金は街の美しさと人々の純粋さに心を打たれ、「この街を栄えさせるためなら、全てを捧げよう」と誓った。




課金は自らの財産や労働力を惜しみなく「推」の発展に捧げ始めた。農地の改良や商業の拡大、さらには祭りや文化活動の資金提供まで、課金は尽力を惜しまなかった。その姿は街の人々に希望を与え、次第に彼を「聖人」として崇める声も高まった。


ある年、運栄が「今年は季候も良く、上手くいけば豊作になるやもしれません。しかし如何せん資金が足りません。是非、投資を増やしていただきたい」と提案すると、課金は素直に協力を約束し、投資額を増やした。しかし、その年の成果は期待したほどではなかった。日頃温厚な課金も、この時ばかりは苛立ちを隠せず、運栄を責め立てた。


「これだけ投資して、この程度の結果とは何事だ!お主、何か不正を働いているのではないか?」


運栄は落ち着いた口調でこう返した。

「不正など滅相もない。成果が上がらぬのも天の配剤。天に唾を吐くようなものです。もっとも、ここには天井がございますから、唾は天井を汚すだけですが……」


その皮肉交じりの言葉に一瞬怒りがこみ上げた課金だったが、次の瞬間、彼は吹き出して笑った。

「ははっ、そうか。そうか。よくぞ言ってくれた! それではこのわしは天にまで唾を飛ばせば良いというわけだ!そうと分かれば話は早い。まずはその天井を突き破るほど投資してくれよう!」


この言葉をきっかけに、課金の行動はさらに大胆になり、街への投資額は天井知らずに増えていったという。




課金の献身はその後も続き、自身の生活すら顧みなくなった。家財を売り払い、食べ物すら満足に得られない生活を送りながらも、「推」の発展のために惜しみなく全てを注ぎ込んだ。その姿に感動しつつも心配した人々は、何度も彼に忠告した。


「課金様、ご自分のこともお考えください。これでは身体が持ちません。」


だが、課金はいつも笑顔でこう返したという。

「推が栄えるなら、我が身はどうなっても良いのだ。」


課金の言葉通り、「推」の街は大いに栄えた。訪れる商人や旅人が絶えず、繁栄の象徴となったのだ。しかし、その裏で課金は全財産を失い、ついには乞食同然の生活を送るようになった。それでも彼は誇りを持ち、一切の見返りを求めなかった。


このような彼の生き様から、「課金廃れて、推栄える」という諺が生まれたのだ。このため中国では、何かに全力を尽くして自己を犠牲にする姿勢を称える言葉として、現在でも広く使われている。そして、これが本来の「廃課金」の語源であると言われている(※ 諸説あり)。




なお、「推」が繁栄する一方、街の長である運栄は、課金が困窮しても一切助けようとはせず、むしろ更なる投資を求め続けたと言われている・・・


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民明書房刊「知られざるソシャゲの世界」より
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