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第1話 謎のフルフェイスライダー

思い付きで書いた短編です。バイク便はやったことないですが、昔、配達の仕事をしてました。まあ、郵便局ですが。多分、オチは読めると思いますが、想像しながら読んでいただけると。いいオチを考えるのは難しいです。

 東京都内にあるその会社は、主にPCや産業機械のメンテナンスによる部品交換、コピー機などの修理部品の配達のために「バイク便」を利用していた。


 例を挙げると、例えばコピー機のメンテナンスの場合、不具合の連絡が顧客から入ると、同時に該当するパーツを発注して、修理のサービスマンが現場に到着する頃には、パーツの配達が現地に届いている。依頼者、つまりその会社からすればとてもありがたいサービスだった。


 近年、バイク便の需要自体が減っているが、そんな中でも、彼らはまだまだ利用していたのだ。


 そして、そのバイク便を委託していた某バイク便業者の契約ライダーのことが、社内で噂に上った。


 きっかけは、営業部長の藪田やぶたと、サービスマンの大竹、そして話好きの女子社員である田井中たいなかの、昼休憩中の何気ない会話だった。

 彼らが、弁当を食べながら、会話を始めたのだ。


「あの人、名前なんだっけ?」

「ああ、佐藤さんですね」

 藪田は、年齢が50歳くらいの営業部長。髪が薄く、上から見るとバーコードのような頭が特徴的な中年男性。彼が尋ね、大竹が答える。


 大竹は、30代後半の男性で、がっしりとした体格の体育会系の男だった。眼光が鋭く、たまに怖いと感じられると噂に上っていた。


「普通の名前ですよね。でも、誰も佐藤さんなんて呼ばないですよね」

 女子社員の田井中は、30代前半。まだ幼い印象を残す童顔の女子で、婚活中だった。サラサラのストレートヘアーが特徴的な明るい性格の女性。


「まあな。フルフェイスとか、あのフルフェイスとか。とにかくヘルメットを脱いだところを見たことがない」

 藪田が返す。そう。佐藤というライダーは、常に白いフルフェイスヘルメットをかぶっており、配達に行く時も、そして配達を終えた後も、決してヘルメットを脱がない。


 つまり、誰も素顔を見たことがなかった。


「バイクは何てバイクかわかるか、大竹?」

「うーん。私はあまりバイクに詳しくないのですが、多分、カワサキのニンジャだと思いますよ。ライムグリーンですし」

 そのライダーがまたがっているバイクは、カワサキのニンジャ。通常、バイク便などに使われるバイクは、頑丈で、壊れにくい、長持ちするバイクが選ばれるから、ニンジャは選ばれにくい。


 それは、ニンジャがどうこうというより、耐久性と利便性に関しては、結局、ホンダが勝るためか、ホンダのVTR250などのバイクが多いし、特に東京のような都会では、PCXのように機動性があり、すり抜けも容易なスクーターの方が多い。


 しかし。

「大型バイクですよね?」

「そうだね。しかも乗ってる人は女性だ」

 大竹の問いに、藪田が渋い表情を作る。


「ですよね。私がよく応対しますが、確かに女性の声です」

 噂好きの田井中が応じる。

 フルフェイスに荷物を渡すのは、田井中が多かったのだ。


 だが、それまでほとんどこの話を聞き流して、一人、離れた席で、カップラーメンを食べていた、中年の吉田という60代の天然パーマの少しふくよかな女性が、ボソっと呟いたことで、場の空気は一変した。


「でも、あの人。30年前から全然変わってないけど」


「えっ?」

「ウソでしょ!」

「マジで?」


「うん、マジで」

 吉田という女性は、勤続年数が40年を超える、超ベテラン社員だ。


 定年が65歳なので、吉田はもうすぐ定年を迎えるが、再雇用で、さらに働く予定という噂があった。

 その40年以上働いてきた彼女が見たというのだ。


「30年以上前。やっぱり今と同じような格好でバイクに乗ってたわ。まあ、バイク自体は多少古い物だったと記憶してるけど」


 それを聞いた、藪田が思い出したように呟いた。

「それについて、噂を聞いたことがある。確か、佐藤というライダーが、30年前にこの辺りで事故死したって」

 薮田は、勤続年数が吉田と似て長いが、他の支社からの転属組だった。つまり30年前にはここにはいなかった。


「えっ。じゃあ、あの人、まさか幽霊?」

「そんなわけないじゃないですか。ただの都市伝説ですよ、部長」

 藪田の脅しめいた一言に、田井中が青ざめた表情を作り、大竹は笑っていた。


 果たして、「彼女」の正体とは。

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