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99話「望んでいた結末!」

挿絵(By みてみん)


「竜と妖精の究極回復魔法……、絶対完全治癒(アブゾルリカバリア)(ツイン)究極魂気(アルテマフォース)!!!」


 ガンマ皇帝とミキちゃんが揃って手をかざして最強の回復魔法がナッセへ放たれた。

 眩い閃光を放ち、ナッセを中心に凄まじい激流の光柱がズンと天井を抜けて天高く衝いた。

 地響きと共に、凄まじい光の余波が花吹雪と共に周囲に撒き散らされた。


 数十分しばらく続いていたが、終わりを迎えバシューッと放射状に光礫が四散される。

 暖かな余波と風に撫でられながら、一同は呆然としていたぞ。


「よし、もう全快したぞ……」

「確かな手応えありであります」


 皇帝竜はフウと息をつき、収縮して黒頭蓋骨へ戻った。ミキちゃんも猫の姿に戻っていた。


 なんとナッセの目が薄っすら開いてくる。

 誰もが二度と覚まさないものと思っていたのに、この奇跡は周囲に希望の光をもたらす。


「ん…………?」


 ムクリと身を起こすナッセ。未だ事情が掴めていない。


「お、おおおおおおおおおおおお!!!!」


 一同は歓喜に沸いた!


「ナッセ! ナッセ!! ナッセェェ〜〜〜〜!」


 リョーコは嬉し泣きでナッセの胸元へ抱きついた。うえ〜ん!

 ミキちゃんは微笑む。そして黒頭蓋骨へペコリと会釈する。黒頭蓋骨も会釈し返す。


「…………お、オレ……あれ……!? みんな……??」


 病室のベッドの上だと把握し、周囲の人々に呆然とする。


「我が息子よ。これがせめてもの償いだ。……個人的に足りないくらいだがな」

「…………え?」


 黒頭蓋骨にキョトンするナッセ。


「親父と猫ちゃんがあんたを治したんだぞ!? 感謝してくれよ!」

「……あ、本当だ! 全然治ってる!? 体が軽い!?」


 自分の左右の手を交互に眺め、内なる感覚を感じ取り、これまでの違和感がすっかりなくなっている事を知った。

 しかも魂が全快した事により、はちきれんばかりに漲る活気に逆に戸惑うくらいだ。


「これでまた『運命の鍵』を使えるようになったはずだ。例え使用の際に魂を削ろうとも、我が全回復してやろう。故に、ループでもなんでも望みも叶えられるぞ」

「え? 妖精王に変身するたびに傷ついてたんじゃ……?」

「ん? 勘違いしていたのか? 既に魂が傷ついていたから、妖精王の変身に耐えられなかっただけだろう」

「って事は……??」

「ああ。いつでも好きなだけ妖精王に変身できるぞ」


 ナッセは足元に花畑を沸騰するようにポコポコ広げ、背中から羽が浮き出して四枚が蝶々のように並ぶ。凄まじいフォースを噴き上げていく。

 負担もなにもなく、むしろ体が軽い。


「ホントだ!! すっげー軽い!! まるで生まれ変わったみてぇだー!!」


 嬉しくて飛び跳ねるナッセに、黒頭蓋骨はニコッと微笑む。

 息子が元気になって嬉しいからだ。

 アクラスも兄として、弟の様子に安堵の笑みを漏らす。


「まだ『運命の鍵』で何か叶えたいものがあるか?」


 黒頭蓋骨に聞かれ、ナッセは微笑んで「ううん」と首を振る。

 オウガは「え? 待って待って!? なんでも叶えられるのかっ!?」と割って入ってきた。

 思わずナッセは「い……一応」と頷いた。


「じゃあ俺様をバーニング復活、世界最強、若返りとイケメン化、賠償額の解消、更に美女でモテモテのハーレムにして欲しい! やってくれないかい?」


 オウガが喜々と言い出してきて、ナッセはドン引き。

 しかしフクダリウスにオウガは抑えられてしまう。

 

「おまえはいい加減黙れ! さっき裏切り者と言っておいて厚かましいわ!」

「ぐう……」


 ドラゴリラは「平和になったんやし、ええか」と割り切ってた。


「必要ない。ループもこれで終わり。使う事はもう無いだろうな…………」


 叶えたかったものは……もう叶ったから…………!


 もうやり遂げた、と感無量の気持ちで沸いた時、ナッセの胸元にポウッと光が灯る。なんと花が咲く。

 パシュン、と輝く『鍵』が抜け出す。

 周囲を照らすように『運命の鍵』は燦然と輝いている……。


「鍵さん、今までありがとう。お疲れ様」


 テカテカ輝きの信号を送っている。不思議とその言葉は心に伝わってきた。

 ただの道具じゃない。ちゃんと人間と同じように心を持っているのだ。


「そうだな。寂しくなるが、人の天命を全うしたらまた会おう。そんときゃ人生の土産話してやるぞ」


 鍵は嬉しそうにテカテカ輝きの増減を見せた。


「…………じゃあな!」


 手を振るナッセの笑顔に、鍵はフルフルと揺れる。互いに挨拶しているのだ。


 パシュ────ッッ!!!!


 遥か上空へと飛び去っていき、輝きも収まっていった。

 キラキラ光礫が降ってくる……。



 上空に向けて手を振り続けるナッセに、黒頭蓋骨が近寄る。


「それでいいのか?」

「ああ! アイツは休んでた方がいい。今まで助けてくれたし、ゆっくりしてて欲しい」


 ナッセのやり遂げたような笑顔に、ガンマ皇帝は胸中に悦が満ちた。

 大きくなったな、父として涙ながらに感服した。



「ってか、気になったんだけど……この頭蓋骨がナッセの父親だよね?」


 怪訝な様子のリョーコに、ナッセは「ああ。父さんだ」と頷く。

 モリッカ、ドラゴリラ、コンドリオンが続々と詰めかける。


「すごいですね! まさか帝国の王子様だなんて! ワクワクするしかないぞ!」

「おいおい! じゃあナッセはんは実はドラゴン族でしかも帝国の王子様って事やん??」

「俺もドンイ王国の王子様ですし! 負けません!」


 ノーヴェンとフクダリウスは「まだ隠してたか」とナッセに呆れながらも笑む。


「あ、いや……。オレは王位継承は放棄してる。アクラス兄さんの方が王様に向いてるよ」

「なんか(しゃく)だけど、愚弟が元気になったならいいや。フン!」


 腕を組んで不機嫌そうに頬を膨らますアクラス。だが「兄さん」と言われたからか、密かに口が緩んだ。

 相変わらず無欲だな、とそして兄弟の仲も大丈夫そうだ、と黒頭蓋骨は安堵。


「……ナッセよ。王位継承戦は無かった事にしてもいい。お前の勝ち取った人生だ。好きに生きるがいい。だが、たまに帝国へ里帰りしてくれないか? 我らは家族なのだからな……」

「分かったよ。父さん」


 柔らかい笑顔のナッセと黒頭蓋骨。そんな光景に、ミキちゃんとリョーコは優しく笑む。


 奇妙な光景だが、れきっとした親子。そんな暖かい家族愛が感じられた。

 これこそがきっと、ナッセが望んでいたハッピーエンドなのだろう。

あとがき


 今更知ったのだが、我が息子ナッセは限界でループできない状態だったらしいな。

 そして完全に復活して『運命の鍵』を放棄した。

 ……この二つのタイミングを狙えば、ナッセに勝ってたな。


 まぁ無粋だし、元からする気はないので永遠に実行する事はないぞ。

 父さんって言われるのも悪くないのでな……。


 byガンマ皇帝(カラミティ・エンド・ガンマ・エンペラードラゴン)

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