93話「ガンマ皇帝とナッセの因縁!?」
夜道をアクラスとガンマ皇帝が歩いている。
「つい散策してたら遅くなったなぞ」
「うむ」
夜空の下で、サンライト王国は生活感のある窓からの灯りでほんのり闇夜を照らしていた。
城下町の中心の交差点の大きな時計台。
サンライト王国の看板とも言えるそれは観光地としても有名だ。
その側に大きなホテルが荘厳と建っていた。
「お待ちしておりました。ガンマ皇帝様とアクラス王子様ですね」
巨乳の受付嬢が笑顔で会釈。
「あ、ああ。親父と一緒だぜ」(オッパイでけーな)
「……うむ」
二階へ案内され、二人部屋となる大きな個室。高級感がある白で統一されている。入ってすぐに二つのベッドが目に入る。
向こうの奥行きに大きな窓があり、そこからサンライト城下町が一望できる。
「はぁ~」
アクラスはベッドへ仰向けに倒れてご満悦。心地良い柔らかな弾力が気持ちいい。
ガンマ皇帝こと、黒頭蓋骨は窓越しに城下町を眺めている。
「親父……?」
寝転がったままアクラスは黒頭蓋骨の背後を見やる。
……弟が暮らしてる国だもんな。すぐにでも会いたそう。
明日からはサンライト王様と協議するんだろうが、流石に宣戦布告って事はないよな?
厨二病拗らせて「ククク、サンライト王国を制圧しようぞ」とかみたいに言ってたけどぞ。
父の胸中が気になったが、アクラスはベッドへ仰向けに倒れた。
「……………………そういや弟は今何してんだろうな」
黒騎士として潜伏してた頃が思い出される。
弟と一撃をぶつけ合ってたっけな。
あと下手にカッコつけず、普通にエレナちゃんを誘えば付き合えてたかもしれない。(ロリコンの勘違い)
コミュ症の自分の愚かさを恨めしながらベッドの上でうつ伏せに寝転がる。
まるで黒歴史を思い出したかのように悶えたぞ。
クッソ! あの頃のオレ……殴りてぇ……!
黒頭蓋骨はチラリとベッドのアクラスを見やる。
……我もナッセのループの最中、繰り返された人生の記憶はある。思い返してみれば本当に愚かな事ばかりしてきたものだ。我が息子をどれだけ無下にし続けてきたか……。それは償いきれないだろうぞ。例え、ループでなかった事にしても数々の罪は潰えないだろう。
「アクラスよ!」
「な、なんだよ!?」
「……浴場行くか?」
「あ、ああ……」
黒頭蓋骨とアクラスはホテル内の銭湯へ向かい、湯気篭る大きな浴場で湯に浸かる。
どう見てもモンスターとしか思えない黒頭蓋骨と人間のアクラス。シュール過ぎるのだが、場にいる男達は空気を読んでか気にしないようだ。
「……ナッセが人生をループしているのは前に話した通りだ」
「ああ……、いつ聞いても信じられないけどな」
「我は元々、ドラゴンの頂点に立つ皇帝竜であり、アストラル界にも干渉できる存在。大抵の人はループで記憶をリセットされるが、我はそのまま引き継いでいる」
「今更なんだよ?」
アクラスはパチクリする。
「…………我が改心した理由を教えてやろう」
「え、親父……!?」
「今世のお前に愛情は注いできたが、前世ではそうではなかった。道具として扱い失敗すれば処刑してきた冷酷非道な我であった」
「…………!?!」
驚き固まるアクラス。
「それだけ我は本当に邪悪な皇帝竜だったぞ…………」
~回想シーン~
傷ついていながらもナッセは気張って激しいフォースを噴き上げていた。
「ふははははッ!! 来い! 愚かな息子よ!」
「おおおおおおおおッ!!」
星獣と融合したガンマ皇帝と、妖精王ナッセが激しい格闘を繰り返し、激突の度に全てを震撼させている。
上空を縦横無尽に飛び回りながら一進一退の激戦を繰り広げていた。
しかしナッセは押されていって「ぐっ!」と吐血を漏らし、苦い顔。
「深淵の闇へ消えるがいいッ!! カラミティ・ディザスターッ!!」
竜さんと同様に、ガンマ皇帝もドラゴン族として口に光子を集め、圧縮された漆黒の光弾が撃ち出す。
すかさずナッセは掌をかざす。
広範囲を削るかのような大爆発球が膨れ上がるが、次第に花吹雪へ霧散していく。
「ほう!」
「無効化……だ!!」
妖精王ナッセは激しい息を切らし、ガンマ皇帝を睨む。
しかし限界に近い。
再びガンマ皇帝と格闘を始めるが、ナッセは押されっぱなしで徐々になぶられていく。
「このままじゃ糞餓鬼もやられて、こちらも全滅だ」
切羽詰まるオウガ。そしてドラゴリラは、ゴリラのままドラゴンを入れた副作用により六〇代に老化を加速していた。
「今の内、ワイいくで! 最期まで命を燃やしきるんや!! うほおおおおおおおおッ!!」
「行くしかないか……! 仕方なし、思う存分行け! 我が親友よ!」
オウガに押され、ドラゴリラはゴリラの顔のまま、長い龍へと身を変えていった。
「命を燃やし尽くして、ワイの最終奥義!! ドラゴリラ頭突きマッハやーッ!!」
命を賭してドラゴンフォースを全開放し、マッハを一〇〇超えた超神速の体当たりを放つ。
大地を裂き、大気を引き裂き、空間さえ歪む。
ナッセとの激戦で疲弊しつつあったガンマ皇帝竜は見開き、そのまま体当たりを受けてしまう。
「がはああああっ!!」
森林を裂き、連ねる山脈を貫き、地平線の彼方から衝撃波の噴火が高々と噴き上げられる。
煙幕が立ち込める最中、力を使い果たしたドラゴリラは仰向けで白い目をひん剥いていた。
やがて足から崩れ、徐々に全身が朽ちていく……。そしてチリとなった彼は風へと流されていった…………。
「ど、ドラゴリラ……ッ!!」
「ドラゴリラァァァァァ!!!」
涙する妖精王ナッセと、絶叫するオウガ。そして……煙幕に包まれた星獣。
「くっ、はぁ……はぁ……! ここまで追い詰められたのは……初めてだ! 貴様らの底力……褒めてやろう………………!! だ、だが星獣と合体し我は無敵! そして不滅の存在なのだぞ!!」
怪獣のように超巨大なカエルのような体躯に妙な仮面の顔、そして長身の龍の尻尾を持つ星獣、更に仮面上部に半融合している巨大龍。
所々欠けていたのに、光の粒が収束し再生されていく。再び無傷の姿へと戻ったのだぞ。
「グオオオオオオ!!!」
星獣の咆哮が大地を揺るがし、海がさわぐ! 上空の暗雲が渦を巻いて稲光を迸らせる!
「そ、そんな……!」
絶句するオウガ。ナッセは苦しい息を切らし、しゃがみ込んだまま絶句する。




